「怪物襲撃のビデオ映像記録。」クローバーフィールド HAKAISHA 孔明さんの映画レビュー(感想・評価)
怪物襲撃のビデオ映像記録。
全編が「被災の現場から発見されたビデオカメラの撮影画像」によって構成されているという、
言わば「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」の怪獣襲撃バージョン。
深夜のニューヨークでパーティ中に建物が大きく揺れる。
外に飛び出した人々が観たのは・・・燃える街。爆発し、何かが飛んできた!と思ったら「自由の女神の首」だった。
そしてビル街の間を「何かが動き回っている」。
深夜であるために、最初は「それ」が何なのか誰にも見極められなかったが、やがて多くの人々が悟ることになる。
「巨大な生物だ」と。
正体不明の生物はさながら「蜘蛛のよう」で、事実として己の身体から小さな「子蜘蛛」を生みだしていた。
大蜘蛛・子蜘蛛に襲われてパニックになり逃げ惑う人々。破壊される街。出撃される軍隊・戦車・戦闘機。街は戦場になる。
カメラの主は4人組で逃げるが、友人の女性がアパートに取り残されていることを知り、危険を覚悟で救出に向かう。
とにかくカメラアングルがブン回しに近いくらいに次々と変化する様は「実際にその場にいたかのような」臨場感。
巨大な怪物の正体・どこからどうやってやって来たのか等の疑問については一切語られることもなく、全ては謎のままに唐突に終わります。
生き証人はなく、只、現場に残されたビデオカメラだけが無念の死を遂げたもの言わぬ犠牲者の代理として観客への「語り部」となるのです。
「結局、全ては謎」という点では「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」と同じですが、「怪奇現象」的なオチになるブレアに対して、明らかに実在したものによって多大なる破壊がもたらされたことが映像から明らかな分だけ、面白さではこちらが上ですね。
記録として見てもこちらのビデオ映像のほうが「後世への資料的価値」は高いはずです。(人類が滅亡していないことが前提ではありますが。)
