ヒトラーの贋札のレビュー・感想・評価
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史実に基づく、興味深い人間ドラマだ。
国家による史上最大規模の通貨偽造事件でもある、ナチス・ドイツの「ベルンハルト作戦」を描いた歴史ドラマ。実際に贋札を作ってきた、ユダヤ人収容者たちを描いている。 虐殺を恐れて贋札づくりに協力し、看守からの侮辱に耐えつつ、一定の環境を保証された専用の収容所を舞台に、銀行家から政治活動家まで、さまざまな経歴を持つユダヤ人の葛藤を描く。 史実に基づく衝撃的な話だが、殊更に善悪を強調せず、落ち着いたトーンの上質な人間ドラマだ。そのぶんだけ、中だるみを感じたり、物足りなさを感じた人もいると思う。 ナチスへの協力と生き残ることの間で、ユダヤ人収容者の間でも、心が揺れ動く。自らの技能を犯罪に使うことでしか生き延びられなかった人々の葛藤を取り上げた、実に興味深い歴史ドラマだ。
カール・マルコビクスがGTA4のニコ・ベリックに見えて仕方ない。ニ...
カール・マルコビクスがGTA4のニコ・ベリックに見えて仕方ない。ニコ・ベリックはジェイソン・スティサムに由来すると思ってたけど違ったようです。
【”生きてこそ!”敗戦濃厚のナチスのハインリヒ・ヒムラーが画策した「国家による史上最大の偽札制作、ベルンハルト作戦」を題材にした捕らわれたユダヤ人たちによる偽札づくりを描いたヒューマンドラマ。】
ー 収容所に集められた偽札づくりのプロのサロモン・ソロヴィッチを始めとした、ユダヤ人達が、自分の命を守るためにナチスの命令に従うか、逆らい殺された家族の為に正義を全うするかの間で葛藤する、ヒューマンドラマ。ー ■第2次世界大戦中のドイツ、ザクセンハウゼン収容所に、特殊な技術を持つユダヤ人たちが集められる。 イギリスの経済を混乱させるべくナチスが計画した「ベルンハルト作戦」。完璧な偽ポンド札を作るための人員だった。 そんな彼らは各々の思いを押し込めて偽札作りに励む。 ◆感想 ・ガス室に送られると思っていたサロモン・ソロヴィッチ。彼を捕らえたヘルツォークは戦時、ナチスSSになっており、ヒムラーから指示された「ベルンハルト作戦」の総責任者として、彼を任命する。 ー 故に、サロモン・ソロヴィッチや印刷のプロ、ヘルツォーク等は他の収容者とは違う厚遇を受ける。- ・そして、サロモン・ソロヴィッチらが作り上げたポンド札はイギリス銀行でも真札として認められる。 ー その労いで、サロモン・ソロヴィッチを自宅に招き、家族を紹介するヘルツォーク。だが、彼も全体主義の中で駒で有ったことが分かるシーンでもある。- ・更に、ヘルツォークはドル札の贋作作りも指示するが、家族が収容所で殺された事を知ったブリガーは原版に傷をつけると言ったりし、サボタージュする。サロモン・ソロヴィッチたちは全員殺されると彼を説得しようとする。 ■ラスト、ナチスは敗北し収容所に連合軍の配下が押し寄せるシーン。サロモン・ソロヴィッチらに銃口が向けられるが、彼らは腕に刻まれた収容所番号を必死の表情で見せるのである・・。 <ナチス・ドイツ関連の映画は、今までにどれだけ製作、公開されてきたのであろうか。私自身は50作は観ていると思う。 だが、ナチスが犯した誤りを風化させないという意味では、ドイツが制作に関わっている作品は観る側に深い余韻を残す。 自国の過去の誤りを、映画として残し二度と同じ過ちを繰り返さないという気概は素晴らしい。 だが、ドイツでもネオナチが数年前から台頭して来ている。 日本も同様である。(日本会議、右翼発言を繰り返す国会議員。又それを指示する人々。) 全体主義を封じ込める策は、ないのであろうか・・。 このままでは、再び世界的な戦争が起きてしまうのではないかと懸念する日々である。>
職人とユダヤ人の狭間
収容所で贋札作りに携わったユダヤ人達の物語。 ナチスドイツのユダヤ人迫害を描いた映画に外れはありませんが、この映画も例外ではありません。 人間の残酷さ、死の恐怖、無惨で簡単な死・・・そしてこの映画では贋札作りがテーマに加わります。 職人として贋札の成功を目指す主人公。チームを守る為に工夫しアイデアを出し、必死に成功へと導こうとします。 しかし、それは明らかな利敵行為。死との狭間で悩み苦悩する姿は、胸を大きく打ちます。 ただ、冒頭で大戦後の主人公を描くのは、個人的には如何なものかと思います。 少なくとも、「主人公は死なない」が分かってしまうわけで、余り良い演出ではないように感じてしまいます。 私的評価は4にしました。
第二次世界大戦中、ナチスドイツがユダヤ人たちに贋札を作らせたベルン...
第二次世界大戦中、ナチスドイツがユダヤ人たちに贋札を作らせたベルンハルト作戦の描いた映画。 経済混乱を狙って企てられた作戦があったなんて今まで知らなかった。 死と隣合わせの毎日、収容所での過酷さ、卑劣さが伝わってくる。生きるために贋札造りを強要されるユダヤ人、葛藤し辛かったんだろうな。贋札造りはよほど重要なのか、扱いの違いにも驚いた。 淡々と描かれているが、終始緊張感で目が離せませんでした。
偽札💵
ベルンハルト作戦、コレは恥ずかしながら知らなかった。こんな作戦があったのか。 贋札造りの作業に選ばれれば、きつい重労働は避けられ、命の補償もある。同じユダヤ人でも待遇がこんなにも違うんだ。 主人公は技術もあり、リーダー的な存在。この恵まれた待遇を続けるため、この作業者たちを守ろうと必死。悪いことをしている事実はもちろんわかる。そして悪いことだからと作業を怠る者もいる。でも密告はせず、1人も辛い環境に置かないように、贋作造りを行う。 収容所内で感謝祭を楽しむシーンがあったり、今まで知らなかった強制収容所の様子を知ることも出来、勉強になった。
プラテンといっても食べ物ではない。
ドイツといえば印刷技術先進国だ。現在の日本国内の印刷所をみてもハイデルベルグ社の印刷機がかなりのシェアのあることがわかるほど。多分、第二次大戦当時でもドイツの技術は素晴らしかったに違いない。そんなナチスドイツがユダヤ人たちに贋札を作らせたベルンハルト作戦の裏側を描いた映画です。 原作は映画にも登場する印刷技師のアドルフ・ブルガーが書いたもの。ドイツは敵国イギリスを経済的混乱に陥れ打撃を与えるため、ザクセンハウゼン強制収容所でユダヤ人技師たちに贋札作りを強要する。拒めばアウシュビッツ送りか、即銃殺。ポンド作りは間もなく成功を収めるが、これによってドイツの戦況が有利に運ぶとユダヤ人虐待も長引き、従順でいることは自分の命を長らえることになるものの、罪もないユダヤ人が殺され続けることをも意味する。 終戦を黙って待つよりも、ナチスへの協力を拒否し決起するなどと主張する原作者ブルガーは主人公ではなく、戦前から贋札作りで暗躍していたサロモン・ソロヴィッチ(カール・マルコヴィクス)が主人公。正義感の強い作者と元々悪人という2人の視点を変えたことによって、ブルガー(アウグスト・ディール)のサボタージュという行動が同胞を危機に晒すなどといった部分も見えてくる。逆に、悪党であるサリーが仲間を大切にしていることもわかるのです。まぁ、感情移入はしづらかったりしますが・・・ 収容所ではニセ札だけではなく、パスポートなども偽造している。そのため家族の不幸を知って自殺を図ろうとする者もいたり、薬を手に入れるためにナチ親衛隊少佐ヘルツォークと取引するという場面も登場する。ちょっとだけいい人のように思わせる少佐だったけど、ドイツの敗戦を悟って逃げだそうとする将校も実際にいたんだろうなぁ。この絶妙な駆け引きや、サリーの心の葛藤も見どころなのです。 興味深かったのはユダヤ人印刷技師たちが厚遇されていたところ。収容所の中でも彼らから数メートル先では毎日のように拷問や銃殺があり、それが見えないだけに彼ら自身の待遇の良さもわからない。同じ収容所内でも天国と地獄のような格差社会があったことだ。さすがに今日的テーマとまでは思えないけど、虐待されていた他の舎を感じていたならばブルガーに同調して暴動が起こるなどして、ベルンハルト作戦も違う形になっていたのかも・・・ 尚、プロローグ、エピローグともに戦後のサリーが描かれていたのですが、カジノの強運ぶりを見る限り、彼の判断が功を奏していたのかもしれない・・・
正義とは?
ナチの関わるところには、大抵ギリギリのところで、人間としての尊厳か、生きることへの欲望(に対する嫌悪感)か、という判断を迫られる悲しい選択があり、今になってみても、正しさとは何かという答えは見つけられない。それはナチ側も同じ。映画にすることで、ドラマチックに盛り上げなければならないところもあるだろうけど、極限状態の人々のさまざまな形態の勇気には感心させられる。過去を置き去りにせず、何が起こっていたか、知ることが大切だと教えてくれる。この映画はどこまでが史実に基づいているのかな。
ギリギリの攻防
なかなか興味深いナチスのユダヤ人収容所物でした。 ベルンハルト作戦で、強制的に収容所で贋札作りをさせられていたユダヤ人達の恐怖感が手に取るように伝わってきて、ハラハラドキドキ・・・まあ主人公はそこでは死なないことが分かってはいつつも、それでもハラハラドキドキさせられたのは、やはりいつ死んでもおかしくない収容所の状況が成せる業だったと言えましょうか。 まあユダヤ人虐殺を題材にした映画は今まで何作も作られてきましたが、今回は特別なスキルを持った者たちが集められた贋札作りの収容所と言うのが、かなり興味を惹かれた部分でしたね。 贋札作りを拒めば即銃殺、贋札作りが完成してもおそらくは即銃殺、こんな究極の状況で生きなければいけなかったユダヤ人達の心境たるや、いかほどのものだったのか・・・。 しかし他の収容所に比べて物凄く恵まれた環境だったのも、かなり印象深かったですね。 それだけナチスもこの贋札作りに運命が懸かっていたことへの表れなのでしょう。 そんなナチスに媚びへつらってでも生きようとする主人公のソロヴィッチと、正義感を振りかざして決してナチスには協力しようとしないこの作品の原作者でもあるブルガーの構図には、本当にヤキモキさせられました! 今日銃殺されるよりも明日のガス室を選ぶでしたっけ、それが究極の状況に置かれた本当の人間心理ですよね。 ただ仲間を決して裏切らない主人公は元々は悪党だっただけに、微妙に感情移入できない部分があったのは、ある意味実話ならではのリアルさだったでしょうか。 歴史を大きく動かした贋札作りの顛末は、淡々とした作りだったものの、とても見応えのある内容に仕上がっていたと思いましたよ。
今日銃殺より明日ガス室の方がいいかぁ…。
決して仲間を密告せず裏切らなかった主人公は本当に凄い…誰だって、同じ人間なのに生きるために贋札造らさせれ、媚を売り、汚い生活、恐怖に満ちた生活は最高の気分だったでしょう。もちろん皮肉な意味で。 そんな中、「そんなに命が惜しいか?」と聞いてきたブルガー…自分の命1つで収まれば何も文句はない。けど、他の人も犠牲になるだろう状況。 例えその行為が悪であろうと他人を巻き込み*自分の正義*ってのを貫くのに、私には理解できず腹がたって仕方がなかった。 皆…生きてさえいれば、この無意味な戦争は終わる…そんな希望を皆抱いていていたのではないかな。 でも、なんだよ!!!!!!このラストの報われなさッ!!!!!英雄気取るんじゃないよ!!!!あのドヤ顔に異常な苛立ちを覚えた…。 寝る前に見ると血圧上がっちゃうから、やめた方がいいです(笑) 事実苛々しちゃって眠れなかったよ!!!! 後味の悪さはTOP10入りする作品になった。
過酷な状況下におかれていた人々の心情が実にリアルに描かれているから緊張感がひしひしと伝わってくる
この映画は戦争がベースにあるものの戦争シーンはほとんどなくタイトルで使われているヒトラーが登場してくるワケでもないからイマイチ当時の現状が把握しきれない部分もあるんだけどそこはお勉強するしかないね(>_<) この作品はドイツのザクセンハウゼン強制収容所で行われた偽ポンド札を大量に作り出す「ベルンハルト作戦」という実際にあった出来事を背景におきていた実話で体験者が書いた原作をベースにしているだけに「従わなければ殺されてしまう」という過酷な状況下におかれていた人々の心情が実にリアルに描かれているから緊張感がひしひしと伝わってくる(>_<) そんな中にはやっぱり「死よりも戦うことを選ぶ」と正義感をもち反発するものもいて贋札作りを邪魔してくるんだけど作らないと皆殺しにされてしまうというこの状況下においては正義感こそが一番やっかいなものに感じられてしまう(._.)もう正義も何もないってことがよく伝わってくるね(@_@) 間違っているとか間違っていないかというよりもただ生き延びたいという必死な思いを描いているからテーマは“ただ生き残ること”でナチス軍におしっこをかけられようと仲間が目の前で殺されようと生きようとする主人功の姿を観て何を思うだろう??誰も彼をかっこ悪いなんて思えないはずだ!それはこの作品を観て実際にひとりひとりに感じてほしい(>_<)
自分たちの命と同胞の命の間で苦悩するサリーがよく描けていました。
早稲田松竹で6月6日(金)まで上映中だったので、 見てきました。 物語は、いきなりネタバレから始まります。 第二次大戦直後のヨーロッパ。 ある男は鞄から大金を取り出し、高級な服などを買いそろえ、ぱりっとした身のこなしで、颯爽とカジノに向かいます。しかしその表情は物憂げでうつろ。 カードゲームで役を揃えながらついこの間のような昔の出来事に思いをふせるのでした。 場面は変わり、第二次世界大戦のさなか。 ニセ札作りのプロ、サロモン・ソロヴィッチ(通称サリー)は極悪犯罪人として指名手配され、当時一介の捜査官だったヘルツォークに捕まってしまいます。 重罪を覚悟したサリーでありましたが、その贋札作りの腕を買われて、ナチスの極秘プロジェクトのリーダーとしてユダヤ人強制収容所の一画に連れて行かれます。 そこでは、敵国イギリス国内経済に打撃を与えるため、大規模なニセポンド札の製造に着手しようとしていたのです。奇しくも責任者は、自分を捕まえたヘルツォークが親衛隊少佐として現場を仕切っていました。そして、各地の収容所から印刷技術の専門家のユダヤ人をかきあつめていたのです。 塀の一枚超えて、外ではサリーの同胞たるユダヤ人が毎日当たり前のように惨殺されていました。けれども贋札作りに関わるユダヤ人たちは、柔らかなベッドやまともな食事が提供される"破格"の待遇を受けました。 その対比のなかで、のちにサリーに過酷な決断がのしかかります。 贋札作りは英ポンドで実績を出して、このまま贋札を作り続ける限りは、彼らの命も生活も保障されていたのでした。 しかし戦況が悪化して外貨不足になっていたナチスのもとで大量の贋札を作り続けるのは、それだけ家族や同胞の生命の危機を長引かせ、犠牲者を増やすことを意味していたのです。 それゆえ、同胞を守りたい正義感から意図的にサボタージュして、贋札の発行を妨害しようとする者も出てくるのです。けれどもそれは、命の危険を伴うものでした。 贋札の大量発行を迫るヘルツォークは期限までに作製しないと、チームのユダヤ人を5名も殺すと通告したのです。 方や同胞を守る大義を説くものと、命の危険にさらされたものとの間に板ばさみになったサリーの苦悩は見ていているほうも痛々しかったです。 結局サリーたちは、抵抗はしたものの、ナチスに協力した事実はぬぐえ切れません。む 冒頭の散財するある男の刹那ない表情は、どうもこのところと関係あるようです。その男の虚ろさにあるのは、あぶく銭をどんなに使っても満たされないのか、はたまた悔悟の思いが募るのか、大金持ちにしては哀愁たっぷりでした。 ルツォヴィツキー監督は、早めのカット割りでテンポ良く筋を進めて、重くなりがちな収容所の話を、サクサク見られる話にまとめています。 そしてサリーたちが自分たちの命と引き替えにナチスに協力したことの是非に一切主観を入れていないところが押しつけがましくなく良かったです。 サリーたち囚人の群像もひとりひとりの立場、演技上の役割を明確化して、すごく解りやすいドラマになっていました。アカデミー賞を取るだけに、なかなかの傑作です。 贋札作戦は、ドイツのスパイの視点から語られる著作が多い中で、この作品は初めて贋札作りに関わったユダヤ人の視点から描かれたことに意義があると思います。 なお、この贋札作りは、「ルンハルト作戦」と呼ばれる実在の事件がモデルになっています。実際にオーストリアの湖岸から贋札が発見されていて、贋札作りにかかわったユダヤ人が書いた原作を元に映像化しています。 エンドロールの最後でも、その経緯が触れられるので最後まで見てください。
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