劇場公開日 2008年1月19日

「【”生きてこそ!”敗戦濃厚のナチスのハインリヒ・ヒムラーが画策した「国家による史上最大の偽札制作、ベルンハルト作戦」を題材にした捕らわれたユダヤ人たちによる偽札づくりを描いたヒューマンドラマ。】」ヒトラーの贋札 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0【”生きてこそ!”敗戦濃厚のナチスのハインリヒ・ヒムラーが画策した「国家による史上最大の偽札制作、ベルンハルト作戦」を題材にした捕らわれたユダヤ人たちによる偽札づくりを描いたヒューマンドラマ。】

2023年11月6日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

悲しい

知的

幸せ

ー 収容所に集められた偽札づくりのプロのサロモン・ソロヴィッチを始めとした、ユダヤ人達が、自分の命を守るためにナチスの命令に従うか、逆らい殺された家族の為に正義を全うするかの間で葛藤する、ヒューマンドラマ。ー

■第2次世界大戦中のドイツ、ザクセンハウゼン収容所に、特殊な技術を持つユダヤ人たちが集められる。
 イギリスの経済を混乱させるべくナチスが計画した「ベルンハルト作戦」。完璧な偽ポンド札を作るための人員だった。
 そんな彼らは各々の思いを押し込めて偽札作りに励む。

◆感想

・ガス室に送られると思っていたサロモン・ソロヴィッチ。彼を捕らえたヘルツォークは戦時、ナチスSSになっており、ヒムラーから指示された「ベルンハルト作戦」の総責任者として、彼を任命する。
ー 故に、サロモン・ソロヴィッチや印刷のプロ、ヘルツォーク等は他の収容者とは違う厚遇を受ける。-

・そして、サロモン・ソロヴィッチらが作り上げたポンド札はイギリス銀行でも真札として認められる。
ー その労いで、サロモン・ソロヴィッチを自宅に招き、家族を紹介するヘルツォーク。だが、彼も全体主義の中で駒で有ったことが分かるシーンでもある。-

・更に、ヘルツォークはドル札の贋作作りも指示するが、家族が収容所で殺された事を知ったブリガーは原版に傷をつけると言ったりし、サボタージュする。サロモン・ソロヴィッチたちは全員殺されると彼を説得しようとする。

■ラスト、ナチスは敗北し収容所に連合軍の配下が押し寄せるシーン。サロモン・ソロヴィッチらに銃口が向けられるが、彼らは腕に刻まれた収容所番号を必死の表情で見せるのである・・。

<ナチス・ドイツ関連の映画は、今までにどれだけ製作、公開されてきたのであろうか。私自身は50作は観ていると思う。
 だが、ナチスが犯した誤りを風化させないという意味では、ドイツが制作に関わっている作品は観る側に深い余韻を残す。
 自国の過去の誤りを、映画として残し二度と同じ過ちを繰り返さないという気概は素晴らしい。
 だが、ドイツでもネオナチが数年前から台頭して来ている。
 日本も同様である。(日本会議、右翼発言を繰り返す国会議員。又それを指示する人々。)
 全体主義を封じ込める策は、ないのであろうか・・。
 このままでは、再び世界的な戦争が起きてしまうのではないかと懸念する日々である。>

NOBU