JUNO ジュノ : インタビュー
弱冠20歳でアカデミー賞主演女優賞ノミネートを果たし、一躍時の人となったジュノ=エレン・ペイジ。先頃、キャンペーンのために来日した彼女に話を聞いた。(取材・文:編集部)
エレン・ペイジ インタビュー
「正直でまっすぐに生きているジュノに共感するの」
「うーん……時差ボケでちょっとボーっとしてるの」と、少しお疲れの様子でインタビューに応えてくれたエレン・ペイジ。コーディ賞主演女優賞にノミネートされ、いまやハリウッドでも最注目の女優となった彼女だが、そんな周囲の喧騒はどこ吹く風といった様子でマイペースに話してくれた。
「ジュノに共感できるのは、すごく正直でまっすぐに生きているところ。私もあのくらいの歳のときは、ちょっと生意気だったかもしれないし。特に音楽や映画の趣味についてはね。今はよりオープンになって、なんでも受け入れられるようになったけれど。脚本を読んだとき、こんな素晴らしい役が若い女性のために書かれているということが気に入ったの。正直で恐れを知らない部分につながりを感じたし、私もそうなりたいと思ったから」
インタビューに先立って行われた来日記者会見でも、ペイジはディアブロ・コディによる「脚本の素晴らしさ」を何度も口にしていた。
「脚本がすごくよく書けているのよ。映画は、私が最初に読んだ脚本がほとんどそのまま表現されてる。ディアブロはとても才能のある人で、この脚本を読んだときも最高だと思ったし、これ以降に書いたものも読ませてもらったけど、素晴らしかった。彼女は恐れるものがないのよ。(ジュノが数多く口にするスラングなど)普通だったらちょっと問題発言かもしれないと思われるセリフも、彼女は恐れずに書くの。そこも面白いと思った」
もちろん、その脚本を映画としてまとめあげたジェイソン・ライトマン監督への賛辞も惜しまない。
「ジェイソンは自分が何を望んでいるかしっかりとしたビジョンがあり、同時にみんなの意見も聞き入れる。バランス感覚がとても優れてるの。今回は、今までのどの映画作りよりも最高でベストな体験が出来たと思う。みんなでいいものを作ろうと団結し、つながりを持てた。私は自分の演技を見るのが得意じゃないけど、完成した映画を見たときは、とても誇りに思えたわ。笑える楽しさ、心温かいものもあるし、俳優たちの演技も良かったし、監督がそれらのバランスを上手く取ってくれたから」
オスカーにノミネートされても「私自身は何も変わらない」と淡々としながら、「オファーは増えたけど、この若さで選択肢やコントロール出来ることが増えたのは、とても恵まれたこと」と冷静に自身の置かれた状況を分析するペイジ。そうした数々のオファーから作品を選ぶ基準は、やはり脚本にあり?
「まず脚本だけど、例えばどういう人と一緒に仕事をするかということもあるわ。それから、今まで体験したこともないチャレンジが出来るかという理由もあるけれど、まずは脚本が気に入らなければ、それは面白い体験にはならないと思うから(笑)」
ちなみに一緒に仕事をしてみたい監督と尋ねると、個性的な名前がズラリ。
「リム・ラムジー、ダニー・ボイル、アレクサンダー・ペイン、ミシェル・ゴンドリー。あと三池崇史も好きなの。『カタクリ家の幸福』が面白かったわ」
海外の映画人に“好きな日本の監督”を尋ねると、「クロサワ」と返ってくることが多いが、ここもまた、彼女の若くユニークなところか。では、尊敬する女優は?
「ほんの一部を挙げれば、ケイト・ウィンスレット、ローラ・リニー、シシー・スペイセク。彼女たちは熱意をもって演じているし、ただ注目されたいがために演じるのではなく、役をちゃんと選んでる。私はとにかく映画が大好きだから、ああやっていい作品、演技が毎回出来るというのは、尊敬に値するわ」
マイペースな中にも強い信念をのぞかせるペイジが、そうした女優の仲間入りを果たすのは遠くなさそうだ。