ダークナイトのレビュー・感想・評価
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ヒース・レジャーのジョーカーがかっこいい!
テレビでは二度観ていたけれど、IMAX版のリバイバル上映で映画館で観賞できて良かった。
バットマンシリーズは一度も観たことがないのでバットマン自体には思い入れはないけれど、良い意味で単純でわかりやすく面白かった。
ヒース・レジャーのジョーカーがかっこいい!
ナースコスプレのジョーカーの病院爆破シーンは最高!
派手でかっこいいシーンが多い分、ジョーカーに心酔している精神を病んだ男、妻が入院している警察官、人質が銃をテープで巻き付けられ構えさせられているシーンがやけに辛くなり印象に残った。
善と悪は表裏一体
果たして悪とはなんだ?
言うまでもなく名作。
脚本、演出、俳優どれをとっても満点。
ジョーカーが序盤から怖すぎる。
久しぶりに震え上がるほど怖いヴィラン。
笑いながら昆虫の羽をむしる子どもみたいに狂気を楽しんでる。
ヒースレジャーの怪演が素晴らしい。
本当にギレンホールと雪山でイチャイチャしてた人ですか?(※ブロークバックマウンテン)って疑うくらい人相が違う。
物語の中盤になるとトゥーフェイスも登場。
序盤で丁寧にキャラクターを描いているからこそ、正義が闇落ちする瞬間が光る。
アーロンエッカートのコイントスは自分の命すら天運に委ねる絶望が描かれていて良かった。
魅力的なヴィランに挟まれてバットマンがくすんでしまうのでは?と危惧していたけど、絶望しても人を信じようとする心がウェインには残っている。
それが、バットマンになるかヴィランになるかの違いだ!と感涙してしまう。
レイチェルも本当、早い者勝ちだったよ。
手紙を渡さないアルフレッド。
アルフレッドはバットマンシリーズの良心担当だよね。一番ブレない。
自分の世界を取り巻く人間が善良なら、人を信じていられる。
一番信じて欲しい相手が自分の正体を知っていてくれる。
些細なことかも知れないけど、一番難しい人間関係を続けていく力。
人を信じようとする力が世界を変えうるかも知れないと希望を持てるラストだった。
円盤は持っていないけど、定期的に見返したくなる良作。
もちろん、胸を張って人にオススメできる。
劇場で観てから、何度も見返すくらい素敵な作品です。
外道にしか断てぬ外道
このたびのIMAX公開の機会に観賞
自分のとこはIMAXレーザーのシングルなので
完全フルサイズではないと思います
バカみたいに予算かけてドッカンドッカンやる迫力は
IMAXで更に高まっていました
個人的にはバットマンはティム・バートン版の
印象が強くあれこそバットマンだってと思ってましたが
ダークナイトはそこへきて大型爆弾でした
やはりージョーカーの純粋に「悪」でしかない存在は強烈
金が欲しいとか何か根拠のある悪ならどこか隙がある
ところですがジョーカーは全くない
逆に正義の側の人間も信念を揺るがす力をも持つ
ある意味最強なんじゃないかという有様を見せつけます
本当に吹っ飛ばした病院
本当にひっくり返したトレーラーのシーンも
見応えありました
名作はやっぱりこういう機会にスクリーンで
観ておきたいなと改めて思いました
痺れる。とことん。
もう、いきなりだもんなぁ。知らんかったもんなぁ。ダークナイトやります、IMAXです、4DXです、だとお? この誘惑に勝てると思う?と言う事で、無抵抗でIMAX選択。コロナ明けリバイバルで一番混んでたのはローマの休日だったけど、それに次ぐ人の入りでした。
緊迫感の持続。鬼畜ジョーカーのトラップで、一時もココロ休まらないし、低音響かせる音楽の迫力。つきまとう恐怖感。ノーランの世界観がIMAX効果で全部2倍になった気がする。
と。やっぱりジョーカーは、こうでなくっちゃ!
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これが公開された2008年は訳アリで、映画館から遠ざかっていましたゆえ、劇場では見てないんです。ぶっちゃけて言うと、タイに居たんです。タイ語字幕で英語の映画見ても、訳わからんやないですかw
しかし(多分)翌年には海賊版のDVDが出回りました。即買いました、安いし。家で見ようとしましたが、バッタもんのコピーなので「字幕」の言語が選べません。ハングル字幕で見ました。笑えまっせ、ハングル字幕!よって、まともに見たのは帰国後の2012年か2013年、レンタルのDVD、自宅の42型の画面。だからだからだから。今回、IMAXで見れて本当に幸せです!
市民に受け容れられているとは言い難く、苦悩を抱えるヒーロー。容赦なく攻撃を実行し、忖度無く冷徹なヴィラン。一番失いたくなかった人を守れなかったヒーロー。誰も信用できない世界への絶望感と、それを否定するのが「人々の人間性」であったという「お花畑」にしてクールな決着の付け方。
起爆SWを押すと、自分の乗っているフェリーが爆発するのかと思ってたら。「10分前にすべきことを俺がやる」でポイ。「誰もやらないから俺がやる」も静かに起爆SWを戻す。それを見守る人々。
特別な道具も力も無い、無力な人々の覚悟と勇気こそが最強
ヒーローものの子供っぽさを上手く隠ぺいする寒色の世界。容赦なく命を奪う犯罪者。あまりにも残酷なフェイク。人間性を問うオチも含め、もう、何から何まで最高!次は4DX行こうか、もう一回IMAXか考え中w
アメコミ映画では最高部類
勧善懲悪のティーンエイジャー向けアメコミの領域を超えている。バットマンは悩み、ジョーカーは弱みに付け込む。正義の味方も実は過激で傲慢だったし、最愛の人を亡くす。傷心のバットマンにヒーローの華やかさはない。強さと弱さに正直で、つい応援したくなるヒーロー像だった。
ジョーカーはジャック・ニコルソンの喜劇的な狂気さはなく、不気味で恐ろしく新鮮だった。アカデミー賞も頷ける。
バッツとジョーカー。永遠に投げ続けられる両表のコイン…🃏 今なお語り継がれる、アメコミ映画の金字塔!!
『バットマン ビギンズ』に端を発するアメコミヒーロー映画『ダークナイト』トリロジーの第2作。
ゴッサムの街に突如として現れた謎の男「ジョーカー」とバットマンとの戦いが描かれる。
監督/脚本/製作/原案はクリストファー・ノーラン。
○キャスト
ブルース・ウェイン/バットマン…クリスチャン・ベール。
アルフレッド・ペニーワース…マイケル・ケイン。
ジム・ゴードン…ゲイリー・オールドマン。
ルーシャス・フォックス…モーガン・フリーマン。
ジョナサン・クレイン/スケアクロウ…キリアン・マーフィ。
新たなキャストとして、謎の怪人ジョーカーを演じるのは『ロード・オブ・ドッグタウン』『ブロークバック・マウンテン』のヒース・レジャー。ヒース・レジャーは本作の公開を待たずして亡くなってしまったが、ジョーカーを熱演したことにより、死後オスカー像を獲得した。
ゴッサム・シティの地方検事、ハービー・デントを演じるのは『エリン・ブロコビッチ』『幸せのレシピ』のアーロン・エッカート。
音楽はハンス・ジマー。
👑受賞歴👑
第81回 アカデミー賞…助演男優賞(レジャー)、音響編集賞!✨
第66回 ゴールデングローブ賞…助演男優賞(レジャー)!
第4回 オースティン映画批評家協会賞…作品賞!
第32回 日本アカデミー賞…最優秀外国作品賞!
第52回 ブルーリボン賞…外国映画賞!
『バットマンビギンズ』の続編なのだが、そのクオリティは正直比べ物にならないほどに向上(決して前作が悪い訳ではないが…)!
その要因は何か…?そんなものは言うまでもなく、ヒース・レジャーの演じる〈犯罪界の道化王子〉ことジョーカーが存在しているからである!
ジョーカーは本作のメイン・ヴィランであるが実はスクリーンに登場している時間はそんなに長くない。150分の上映時間に対して30分くらいだと思う。
それにも拘らず、この映画のインプレッションの全てを持っていってしまう程の圧倒的なパワーを持っている。
彼の前では、バットマンもトゥーフェイスも、しれっと配役が変わっているヒロインのレイチェルも脇役と言って良いと思う。
誰もが口を揃えて言うことだが、これは自分も言わせてもらいたい。ヒース・レジャーの演技、ヤバすぎるっ!💥💥💥
喋り方から姿勢、仕草、目線まで完璧にジョーカーを演じ切っており、この役に取り憑かれたことが彼の死を招いたという都市伝説じみた通説も信憑性を持つほどの恐ろしさ、異様さを放っている。
ジョーカーは常に人間の本質を問い詰める。彼は欺瞞に満ちた文明を許さない。彼の愛するものは人間の心の奥底に眠るケイオスと悪趣味なジョークだけ。
だからこそ彼はバットマンを愛してやまない。
自らと同じく暴力にまみれた狂気と、コウモリのコスチュームに身を包むという悪趣味なジョークを持ち合わせている存在だからだ。
恐怖により悪を滅しようとするバッツ。恐怖により人間の本質をあらわにしようとするジョーカー。
ベクトルは正反対だが、「恐怖」を用いることにより自らの野望を達成しようとする姿勢は共通している。
彼らは正に表裏一体、全く同じデザインが施されたコインの様なものなのだ。
この2人の関係を暗示する様に、両表のコインにより運命を決めるトゥーフェイスことハービー・デントをシナリオに組み込んでいる所が恐ろしく上手い!
完全にジョーカーに喰われて、影が薄くなってしまったトゥーフェイスだが、この映画にとって絶対に必要なキャラクターですね!
…まぁもうちょっと悪役としての活躍があっても良いとは思うけど。彼は5人殺したらしいけど、どれだけ数えても4人までしかわからない。あと1人は誰?
シリーズを通してのヒロインが殺されるという、普通ならトラウマものの衝撃がもたらされるのだが、そんなことどうでも良くなる程にジョーカーの策略が鮮やかすぎる。
極悪非道で悪趣味な計画を成し遂げた彼が、車の窓から身を乗り出し気持ち良さそうに風を浴びるシーンでの爽快感は一体なんなのだろう。
金や名誉には目もくれず、自分の信念を貫き通す希代の悪党に少なからず憧れを抱いてしまうからだろうか?
全ては彼の掌の中で起こる出来事だったのだが、最後の最後で人間の良心が彼の策略を打ち破る。
ここでのヒースの演技の巧さが凄い!自分の計画が失敗したと分かった瞬間に、凄く小物っぽくなる。
あの大胆不敵だったジョーカーの格が落ちることで、バッツにボコボコにされたわけでもないのにも拘らず、ジョーカーの完全敗北が観客に伝わる。ここの演技&演出の巧さが素晴らしいのです!
香港パートの退屈さとか、前作同様アクションシーンの撮り方があまり上手くないとか、犬にやられるバッツが情けないとか、多少の傷はあるもののそんなことはどうでも良くなるほどの魅力がこの映画にはある!
名著「キリングジョーク」に寄せられた、アーティストであるティム・セイルの言葉を借りるなら、
「いくらなんでもクールすぎるぜ、だろ?」
マイベストムービー
生涯何百本と観てきた映画作品の中でもトップクラスに入るほど大好きなマイベストムービー。
今秋公開予定のTENETを記念してIMAXで上映との事なので観に行った。
2時間半を超える映画だとどこかでダレるシーンがあってもおかしくないのにこの作品は最初から最後まで見入ってしまい楽しめる。本当に凄い作品だ。
その理由としてはジョーカー、バットマン&ブルースの魅力はもちろんのこと、ゴードン、ハービー、レイチェル、アルフレッド、フォックス等々メインキャラクター以外にも魅力が満載で彼らの今作内でも移りゆく心情描写なども丁寧に描かれている為飽きを与える隙がないんだと思う。
そしてこの作品のメインテーマである、「正義と悪」、「光と闇」これを分かりやすくそして考えさせながら観られるから楽しい。
異なる存在であるが誰しもこの対する性質を持っていると思う。
もちろん誰もが光を求め、正義となることを求めて生きていくわけだが自分が信じる正義が世間や社会に否定され、光を失った時どんなに高潔な人物でも簡単に闇に呑まれ悪となりえる。
これを自分の心の奥にある正義と悪の狭間をこの作品を観てると刺激される。時としてこの作品内で描かれている悪描写に心が踊らされてしまう場面もあるからまた面白い。
ダーティーな描写が多く観てない人は難しそうな印象を持ってる者が周囲にもいるがこの作品は決してそんな作品ではない。描写としては分かりやすく、気づくと自分の心の底が踊らされているそんな作品であるためまだ観ていない人はぜひ観てほしいものだ。
最後に今回のリバイバル上映では、TENETの本編も放映された。
5〜6分くらいだったのかな。全然内容は隠されたままだが惹きつけられるシーンであった。
TENETの公開がとても楽しみである。
なんとも言えない観後感。役者はいい、ストーリーは稚拙
U-NEXTにて視聴。
高評価が多く期待していただけに、ストーリーの雑さが目立ち残念。
「わざわざ見る価値は無かったな」という感想。
○Good point
ジョーカーを演じたヒースレジャー。『本当に狂ってるんじゃないか?』と思わせるほどの圧巻の演技は、単なる悪役じゃない奇人を、これでもかというほど表現している。
また、2艘のフェリーのシーンでは"善:悪"の対比を示しつつも、その中に人間の良心を希望として描く上手い魅せ方だった。
●Bad Point
ジョーカーの都合の良いように進んでいくストーリー。バットマンが人殺しをしない主義、続編がある以上ジョーカーを殺さない(殺せない)シナリオなのは分かるが、観てる方としたら何の納得もいかないご都合主義のオンパレード。
狂っていても人を従わせ、思い通りに人々を手玉に取っていく知能やカリスマ性が一切描かれていない。その場の思いつきで行動する狂人に忠誠誓うマスク軍団はバカなのかな?きびだんごでも食わされてんのかな?
そこが設定としてもう少し入ってると、ストーリー全体の浮き足立った印象は変わったと思う。
◉Others
映像は及第点だが、建物のド派手な爆発は金掛けてんなぁーと思った程度。
ツーフェイスの善人から闇落ちへの経緯や表現が浅い。自分の正義は運だ、なんだとコイントスしてたが「ほら両面表から表裏のコインになったよ!これで心までツーフェイスだよ!!」と、、もう察してくれ感が寒い寒い。
ストーリー諸々なら☆2程度だが、亡きロジャーの渾身の演技に敬意を表して☆は3つ。
船の二択のシーン、終わってから冷静に考えたら投票してないで川に飛び...
船の二択のシーン、終わってから冷静に考えたら投票してないで川に飛び込んで逃げればいいと思いついた。が、見てる間は全然思いつかなかったあたり自分もジョーカーの狂気に呑まれてたらしい…。所々小物っぽくも見えるけどやっぱり狂ってるキャラクターだ。
人の良心を信じる困難さと気高さ
※いつも以上の長文注意です
『JOKER』公開にかこつけて久々に『ダークナイト』
を鑑賞したが、思えばレビューも書いていないので、
折角だしジョーカー成分濃い目でレビューしてみる。
今観ても全く色褪せてるように思えないけど、
思えばもう11年も前の映画なんですよね……。
クリストファー・ノーラン監督が手掛けた
バットマン3部作の2作目にあたる本作。
前作『バットマン・ビギンズ』も"恐怖で悪を抑圧する
正義"というダークなヒーロー像、リアリスティックで
犯罪映画のような作風が従来のアメコミ映画化作とは
一味違って好みだったが、続く『ダークナイト』は
いわゆる"ヒーローアクション大作"という枠を完全に
逸した社会派サスペンスアクション大作へと異形の進化を
遂げており、当時劇場で観終えた際、一緒に観た友人と
「うわ、なんやこれ……」「すっげ、なんやこれ……」
「いや、うわ、え、なんやこれ……」と大変に豊かな
ボキャブラリーで議論を交わしたのを覚えている。
...
ひたすらリアル路線のアクション、そして全く勧善懲悪
にならないヘヴィな物語展開ゆえ、アクションエンタメ
としての爽快感は犠牲にせざるを得なかった本作だが
(ノーラン監督もアクション畑出身では無いし)、
それでも前作以上にアクションはアップグレード!
おまけにアクションの合間に細かなどんでん返しを
いくつも仕込んであるので、ハラハラ感がハンパない。
人質が敵に偽装され、バットマンとSWAT部隊とが
戦うハメになるクライマックスのビル突入シーンや
市長襲撃シーンのピリピリした緊張感等も良いし、
病院まるまる爆破倒壊させる見せ場にも口あんぐり。
白眉はやはり、中盤の護送車襲撃シークエンス!
大型トレイラー&ロケット砲での大破壊追撃!
バットモービルでの猛烈粉砕チャージ!
変形! 射出! バットポッド爆誕!
大型トレイラーの垂直"縦"転!
"C'mon, C'mon, HIT ME!"の名台詞!
機転を利かせろ死んじゃいないぜゴードン警部!
ここだけでいくつ名場面ぶち込むんだオイと
鳥肌立ちっぱなしになるくらいに物凄かった。
...
アクションスケールもサスペンスも前作以上だが、
キャラクター達の衝突と葛藤はそれ以上。
最大の魅力はやはり、故ヒース・レジャーが
全身全霊で演じ切った最恐ヴィラン・ジョーカー!
アカデミー賞級キャストだらけの本作だが、彼の
ジョーカーは主役のバットマンすら完全に呑んで
映画全編の空気を支配している。
裂けた口をくちゃくちゃ鳴らす仕草、
相手の神経を逆撫でしまくるジョーク、
だが全く笑っていないその真っ黒な眼。
アルフレッド曰く、
“ただ世界が燃えるのを見たいだけの男”。
人の本性はエゴの塊と信じ、それをさらけ出させる
ことを至高の悦びとする彼にとって、高潔な正義を
振りかざすバットマンは最高に壊しがいのある玩具だ。
悪人に恐怖を植え付けることで悪を制してきた
バットマンだが、彼がいくら脅し、殴り付けても、
ジョーカーは少しも恐怖の色を見せないどころか
ますます愉しげに彼を嘲笑い続け、こう言い放つ。
「あんたが俺を完成させてくれるんだ」
正義の名の元に、力と恐怖で悪を押さえ続けても、
それに耐え抜くための知恵と力を付けた悪が現れ、
同時にその争いに巻き込まれる者が増えてゆく。
そして進化した悪を止めるため、正義の側が
倫理やモラルを侵すようになっていく
(全市民の通信傍受など"正義"と呼ぶには危う過ぎる)。
正義が悪を育み、更なる犠牲と憎悪を生み出すなら……
果たしてそれは本当に“正義”と呼べる代物なのか?
“正義”を名乗る側と“悪”とされる側、
一体どちらの罪がより重いのか?
...
本作のジョーカーをもう少し掘り下げてみる。
アメコミでは同じキャラクターが作者や年代
ごとに異なる解釈で描かれることも多いようで、
先日公開の『JOKER』も『ダークナイト』の
ジョーカーとは似て非なるものになるだろうと
いう心構えで僕は観ていたのだが、実際に両者
の立ち位置はかなり異なっていたと考えている。
思うに、『JOKER』のジョーカーは貧富の格差や
社会的弱者を虐げる社会に対する市井の人々の
怒りを体現するような存在だが、『ダークナイト』
におけるジョーカーは市井の人々が抱く"恐怖"が
そのまま人格を得たような存在だ。
本作のジョーカーは相手の暴力に更なる暴力で応える。
カネにも権威にも興味がない。交渉にも一切応じない。
資金も技術も潤沢な相手に対し、安価な材料で
最大効果の物理的/精神的ダメージを与える
(「俺はダイナマイト、火薬、ガソリンが好きでね。
こいつらの共通点が分かるか? 安いんだよ」)。
一般市民をも標的にするため、どこにでも姿を現す。
安全圏といえる場所はどこにもない。
神出鬼没、交渉不能、そして無差別。
ジョーカーの目的とは異なるが、ジョーカーが
与える恐怖それ自体は、9.11から連綿と続く
無差別テロに対する恐怖に非常に似ている。
『バットマンビギンズ』公開の2003年から
『ダークナイト』公開の2008年までの5年間で、
イスラム過激派によると見られる大規模な
無差別テロは10件以上発生している。
イラク戦争の“戦闘終結”をジョージ・W・ブッシュが
宣言したのは2003年だが、その後も戦闘状態は続き、
テロの脅威は収まるどころか世界各地に飛散した。
2005年のロンドン同時爆破テロ、2006年のスペイン・
マドリードとインド・ムンバイでの列車爆破テロなど、
政治家ではなく多数の一般市民を狙った犯行ばかり。
イラク戦争は“国対国”という大きなスケールの戦争観を
もっとミニマムで混沌としたものに変えてしまった。
ジョーカーのもたらす恐怖は、イラク戦争以降の世界
を席巻した新世紀の恐怖そのものだったのだと思う。
...
ジョーカーは恐怖と憎悪でゴッサムを
醜く利己的な社会に変えようとするが……
バットマンの力と恐怖をものともしないジョーカーを
最も動揺させたのは、ゴッサムの小さな市民だった。
無言で起爆装置を投げ棄てた囚人。
起爆装置を回せなかったスーツの男。
恐怖に晒されても、自分の良心に従った人々。
そしてバットマン自身も決断する。
彼は人殺しの汚名を被り、人々から憎まれ追われる
立場となった。自分の身を犠牲にしてでも、人々が
人間に絶望しない社会を守ることを選択した。
真実でなく嘘で築いた平和は正しいのか?という
新たな問いも頭をもたげるが……何が本当に正しいのか、
そもそも正しい決断などあるのか、常に迷いながら
進み続けるからこそ、バットマンは人間臭く
そして魅力的なのだと思う。
善か悪かの単純な二元論では括れないこの社会で、
人の良心を信じ、己を犠牲にしてでも人を救う。
『ダークナイト』は、人の良心を信じる事がいかに
困難で、そして気高い事かを見せてくれる映画だ。
<了>
誰かを救う為に必死になって行動を起こしても その行動その誰かにとっ...
誰かを救う為に必死になって行動を起こしても
その行動その誰かにとっては、迷惑になっていたり
ジョーカーという敵には、人を心に語りかける言葉の力がありそのせいで善が悪に変わる。
現実でもそれほど簡単な事でも起こりうるような気がしました。
善悪の本質について考えさせられる映画です
久しぶりにいい映画を観た気がしました!
ジョーカーVS世界全て
混沌。
バットマンの仮面を剥ぐために全身全霊をかけて捨身で異常な闘いを挑んでくる。
悪が悪を裏切るのは普通。
その見せ方とテンポが切味鋭い。警官の中にジョーカーの一味がしのびこむ。デント検事が書いた裏のシナリオの裏をかいてジョーカーがバットマンに試練を与える。
ジョーカーは、ゴッサムシティに混乱をもたらしにやってきた。ピエロのマスクの下にピエロのメイクを施した狂人。金のためではない、秩序を破壊することに喜び。警察相手に身体を張って一芝居。単に面白いことをしたいだけというとんでもない男。バットマンとハービーデント、それに街のギャングたちと市警のジムゴードンを標的にし、市長、裁判官、警官、移送中の囚人、一般の市民が巻き添えを食らう。
生涯完璧な作品
映画館で鑑賞して以来、
DVD→ブルーレイと購入し
更になぜかVODでも観てしまった。
今回はジョーカー公開に先立ってまた観たくなったので観たのだが、生涯何回観たか。
不思議と毎回感じ方は違う。
まずこの映画を語るに欠かせない
ジョーカー扮するヒースレジャーの存在。
撮影後公開を待たずして急遽してしまったのだが、
役作りのためにホテルに篭って
精神を追い詰めて心も骨の髄までもジョーカーに
なり切ったらしい。
その後精神を病んで、睡眠薬を多用して
亡くなったのだとか。
ジョーカーに全てを、命までを捧げた男だった。
公開前、
アイドルフェイスで恋愛映画俳優の
印象が強かったヒースレジャーが
悪のカリスマジョーカーを演じる事に
かなりの批判が集まった。
むしろファンが相当怒った。
だが命をかけた熱演で
映画史に残るヴィランとなった。
ビジュアル、声、動き
歴代最高のジョーカーだ。
また、肝心のストーリーも圧巻だが
レイチェルが俺を選んだというブルースの言葉に
黙って手紙を引くアルフレッド。
続編でこの伏線は回収されるが、
本作に限ってそのシーンを観るとアルフレッドの優しさと、気遣いに思わず目頭が熱くなった。
レイチェルは自分が助からないと悟った際に
何を思ったのか。
ジョーカーは死の直前こそ人は本性を表すと言っていたが、レイチェルはハービーに
これで良かったのよ、大丈夫と言った。
なぜバービーやブルースがレイチェルに惚れるか良くわかった。
最後まで本当の正義を貫いたのはレイチェルだったような。
だが一枚上手のジョーカーにより
闇落ちしたハービーは、皮肉にも大丈夫という言葉に囚われ苦しんでいた。
こんな対比もうまいなーって思う。
書こうと思えばいくらでも書けてしまうが、
最も僕の心が揺れたのは
最後の船のシーン。
ゴッサム市民がジョーカーに勝つあのシーン。
ゴードン、ハービー、バットマン
みんなジョーカーには勝てなかったが、
ゴッサムの市民がジョーカーに勝った。
囚人が10分前にやるべきだった事を俺がやってやる。
そう言って起爆装置を投げ捨てた。
対して一般市民は囚人が死ねばいいと言い、やや危うい感じだったが
手を下せず結果起爆しなかった。
ここも絶妙。
だが我々は生きている。
セリフもうまい。
タイトルの意味なんかも最高。
生涯完璧な作品です。
レビュアーでも何でもない個人的な見解です。
タネ明かしではなく、嘘で終わる
【要約】※2020年7月12日追記
★ジョーカーは、嘘つきなのに真実を示そうとしている。「私は嘘つきです」という嘘をついているところが、やはり嘘つき。
★ バットマンの仮面も、人間の善性もみんな「装い」なんだ(お前ら嘘つきだろ?)ということを示したいジョーカー。
★ 作品の語り口自体も、「嘘→真実」という際限のないタマネギの皮むき(ミスダイレクションの連続)なところがメタ。
★そもそも映画も一種の「嘘」(現実には起こっていないことを、本当であるかのように語ること。あるいは映画製作という行為が、ある意味で嘘をつくこと)
★「嘘→真実」の種明かしを繰り返すこの映画は、真実を明かすことによっては終わらない。嘘をつくことによって終わる。だが観客の中には真実が宿る(何よりも守りたい嘘)。そこに余韻が、崇高さがのこる。
【本文】
ミスリード。ある可能性を真実であるかのように提示し、実は別のところに真相がある。ミステリの構成として基本だが、ノーラン監督はこの『ダークナイト』を、全編を通じた「ミス・ディレクション→種明かし」の細かな連続によって作り上げた。1つの真相が明らかになっても、また別の真実が隠されている。その連続によって観客は興奮を覚える。嘘が提示され、真実が明らかになるが、また別の嘘が浮上する。タマネギの皮剥きのように際限がない。(どんなに皮を剥いても残したい嘘、それによって守りたいモノとは何だろうか?)手品のように知的だが、エンターテイメントとしても傑作である。(cf.『ダークナイト』の前監督作といえば『プレステージ』だった)
そして「何かを表に出すことによって何かを隠す」のはバットマンという仮面装着ヒーローの本質(単に隠すのではなく、攻撃効果を持たせる)である。また人間社会の世渡り術の基本でもある。それゆえ、この『ダークナイト』という映画は、何かを隠しながら何かを見せるという語り口1つで「知的行為として」「娯楽として」「奇術との類似として」「ミステリ作品として」「バットマンの本質として」「人間の性質として」、豊富な側面を見せてくれた。
それだけではない。映画を作るということ自体が「何かに目をつぶりながら何かを作り上げ、見せる」ということである。ある種のごまかしや曖昧さを残しながらも、「本物(らしく)」にこだわりあげる。見せられた通りのことは起こっておらず、タネは隠されている。嘘を嘘と知りながらも、実際には存在しないことを、あたかも本当のように見せること。それはやはり奇術というパフォーマンスに似ていて、またノーラン監督作品の設計思想のようなものだ。奇術というパフォーマンスを行うように、ノーラン監督は映画をパフォーマンスとして見せる。
そんな世界にあって、ジョーカーだけが何ら包み隠すことなく(ルール無視で)欲望のまま本能的に行動する。ジョーカーの発言は嘘ばかりだが、嘘すらも"本物"に思える。登場人物は皆、本当の目的を隠して何かを装う。ジョーカーには装いがない。嘘すらも装いがない。それゆえ彼はジョーカーであり、冗談しか言わない。それなのに彼の言葉を信じて行為する正義漢たちの姿は滑稽で、振り回されているように思える。ジョーカーを抑えるには、ただ彼の行為だけに(発言ではなく)注目し、物理的な力によってオリに入れるしかない。
ジョーカーはバットマンにとっての「装い」である仮面や「殺しは無し」というルールを剥ぎとり、自分の側へ来いと唆す。次には市民たちの抱く善やモラルというものが「装い』(建前)に過ぎず、利己的な動機(まさに自己という最上の保護対象を包み隠すためのもの)からきているものに過ぎないのだと示そうとする。犯罪行為も、バットマンの仮面を剥がそうとするのも、船のジャックも、一貫して「装いを剥ぐ」という目的のもとで行われるのだ。
(ノーランの嘘に引っかからない人間にとって、明かされた真実も真実ではなくただの設定になってしまうから、つまらないかも知れない。)
追記:冒頭で「この映画は『嘘→真実』の連続で出来ている」と述べた。これは「発言が全て嘘」のジョーカーと語り口が同じだ。ジョーカーはびっくり箱。ジョーカーが語るのと同じやり方で、この映画は観客を驚かせるように作られている(のだろう)
.
自宅にて鑑賞。C.ノーラン共同製作・共同脚本・監督の米英合作。シリーズでは初めてタイトルに「バットマン」表記が無くエンドロールでも“バットマン”のクレジットが無い(C.ベールのクレジットは“ブルース・ウェイン”のみ)。39台ぶつけたと云う車のチェイスシーンを含め盛り沢山で厭きさせない。“ジョーカー”も“バットマン”もアグレッシブな反面、人間味がある。描かれる世界観等を含めシリ-ズ最高傑作と呼ばれるのも頷ける。ただ大胆な変更が多く良くも悪くもシリーズ他作と比較してしまうのがマイナスポイント。75/100点。
・プロダクションロゴ等は青く変更されてるが、タイトルやクレジット表記は無く、同監督のシリーズ前作『バットマン ビギンズ('05)』より一新された鋭角的な“バットマン”のロゴが映し出されただけで、イキナリ始まった。フェリーの囚人と云うチョイ役乍らT.T.リスターが存在感有り。滑空するシーンが印象的だが、この“バットマン”はフルCGらしい。亡くなった“ジョーカー”のH.レジャーと特殊効果のC.ウィックリフに捧げられている。
・鑑賞日:2011年12月2日(金)
正義とは?ヒーローとは?
「正義」について考えるのが趣味になってる身としてはとても面白かった。
そしてひたすらにジョーカーが怖い(ジョーカー役の役者さん、すさまじい演技だ)。ジョーカーの映画と言っても過言ではないくらいの存在感を放っていた。
街を破壊し人を殺しまくるジョーカーが楽しそうにイキイキと行動するのに対し、バットマンやハービー検事ら「正義」(街や人々を守るという、利他的行動)の人々がことごとく苦悩し、辛酸をなめることになるという本作。
正義とは、ヒーローとは何なのか。
かくも辛く厳しいものなのか。
自己犠牲なしではいられないのか。
バットマンは法からはみ出して正義を執行する存在。
ハービー検事は世の中の法にのっとって正義を執行する存在。
ジョーカーは倫理や常識が通用しない純粋悪(金銭目的や過去のトラウマによる人格破壊といった背景を必要としない)としての象徴。
この作品では世の中の法は敗北し、世の中の決まりを逸脱して執行される正義と純粋悪が生き残る。
そして正義は正義であるための一線を守ろうとする限り悪すら壊せないというジレンマ(一線を越えたら正義ではいられなくなる)を抱えるため闘いは終わらない。
私は本家バットマンやアメコミヒーローものはあんまり観てないけど、夫に話を聞いたら勧善懲悪のアメコミヒーローへのアンチテーゼになっているのがわかる。
ハッピーエンドで終わらない、考えさせ続ける作品だった。
いかんせん内容が重くてツラいので、バットマンの脇を固めるマイケル・ケインやモーガン・フリーマンといったベテラン俳優の穏やかさが癒し。
ただのヒーローものではない。 正義とは何か、悪とは何なのか。 アメ...
ただのヒーローものではない。
正義とは何か、悪とは何なのか。
アメリカの闇の部分も描かれている、社会派の映画でした。
ジョーカーのとんでもない悪役っぷりに魅了されました。
そして何より、クリスチャン・ベールがかっこよすぎる。
最後の闇に消えて行くバットマンが、かっこよくて、哀しくて、切なくて。大好きなシーンです。
身に迫る恐怖
ジョーカーがとにかく強烈。まさに主役食い。
物語の終わり方も、結局ジョーカーの勝ちになってるのが衝撃。
身に迫る恐怖は簡単に人を壊してしまうものだと実感。ゴッサム市民もハービーも、ジョーカーの思うつぼだった。
日の目を浴びない正義の味方はそりゃカッコいいけど、なんかもっとこう、上手く組織的に力を発揮できないものかな笑 一人で背負いこむことないと思うんだけどな〜
ヒースレジャーの遺作になってしまったのが残念。この悪役をもっと見てみたかった。
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