劇場公開日 2008年8月9日

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ダークナイトのレビュー・感想・評価

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5.0 こんなに重く、せつなくさせる映画であったなんて、思いもよりません

2008年7月29日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 ジャパンプレミア試写会場は、主要出演者の登壇で異様な興奮に包まれました。クリスチャン・ベールの紹介の時には、きゃーという黄色い歓声も。そのテンションのままエンディングを迎えて、大きな拍手と喝采に包まれました。そればかりではありません。エンドロールに、出演者のクレジットが映し出されるたびに拍手が起こるのです。試写会でこんな光景は初めてみました。特に、「この作品をヒース・レジャーに捧げる」というテロップが出たところでは、一段と大きな拍手が起こったのです。
 それくらいヒース・レジャーが演じたジョーカーは、衝撃的でした。まずはジョーカーについて語らせてください。
 舌を蛇のようにくねりながら独自の韻を踏んで語りかけるジョーカー。
 それはまさにイカれた悪そのものでした。全身から極悪非道を退屈しのぎと遊びにしてしまう彼の狂気、そして妖しさをヒース・レジャーは、まるで人格が乗っ取られ、完全に憑依されたような感じて演じていたのです。バットマンとの直接対峙するシーンでは、思わず感極まって涙がハラハラと止まりませんでした。なぜでしょう。なぜあんなジョーカーに涙するのでしょうか。いえいえ、そうではありません。小地蔵の心は、ヒース・レジャーにつながって、演じることの喜び。そしてパーフェクトな演技が出来た達成感に浸って、もう思い残すこともないという気持ちにつながって、感動したものと思います。
 彼は今天国にいます。きっとこの作品の演技について、一点の悔いも残さなかったでしょう。もうみれないと思うと本当に残念でなりません。心より感謝します。

 さて作品紹介に戻ります。

 冒頭のジョーカーによる銀行強盗シーンから、アクションに次ぐアクション。短いカット割りとスピーディ過ぎる展開に、追いついていけなくなることも。それもすぐさま次のどんでん返しや事件が起きるので、飽きさせる暇がないほどなんです。
 すごかったのは、病院のビル1棟がまるまる爆破されるシーン。どうもこれはCGではなさそうです。さすがに1.6億ドル映画です、やることがでかいデス。

 そして裏の裏をかくストーリー展開で、何度もクライマックスが訪れます。長めの作品なので、2~3本まとめてみたような充実感を感じました。
 ノーラン監督は、「同じことは繰り返さない」と自身の前作とも決別。ゴッサムシティーも一新し、今までなかったようなヒーロー像に挑戦したのが本作です。何しろバットマンが自らヒーローでないと宣言し、町の警察に追われるお尋ね者の身であるというから驚きです。ただでさえ罪人扱いされているのに、輪をかけてある人物の警官殺しの汚名をかぶってしまうのですから、アメコミヒーローもの範疇を超えています。
 原題の「The dark night」とは、「暗黒の騎士」を意味します。たとえ人々から恐れられて語られる存在と思われても、自分は町を守っていくのだというパットマンの決意を表したタイトルでした。
 けれども本来ヒーローであるはずだったバットマンをそこまで追い込んだのは、ジョーカーの悪知恵ゆえでしょう。けれどもこれまでのヒーローものでは、「光は闇に勝つもの」であったはずです。
 しかしこの作品は、バットマンの方が思い知らされてしまうのです。光が闇に堕すことを。ヒーローがたとえ一面でも敗北するなんて設定は、あり得ないことでした。そういう点ではお約束ごとをことごとくノーラン監督は打ち砕いていまったのです。
 その象徴がハーベイ・デント地方検事の二面性に表されていたのだと思います。デントの顔がジョーカーの仕業によって、半分を破壊され二面によってまるで違う顔つきになったとき、精神面でもジョーカーによって隠された顔が引き出されてしまいます。
 彼はバットマンをしのぐ表の世界のヒーローであり正義の象徴でした。一時バットマンは、彼に託して引退し、愛するレイチェルのよき夫として生きようと決意したほどです。
 そのレイチェルはどうだったかというと微妙なんです。
 実は、バットマンの活動のためブルースはレイチェルが巻き添えにならぬよう、交際を避けていたのです。間に、彼女はデントにも恋してしまいます。レイチェルを演じたマギー・ギレンホールが気をつけた点としては、偏りなく両方愛することに徹したそうです。確かにどっちともいえない演技でした。彼女は、レイチェルを演じつつ、真のヒーローとはどうあるべきか考えながら演じたそうです。
 この恋の意外な結末にも注目ですぞ。
 あともう一つ衝撃だったのが、重要人物が死んでしまうことです。「24」のパーカー大統領暗殺以上の衝撃を受けました。そしてとても悲しみを感じたのです。

 こんなに重く、切なくさせる映画であったなんて、思いもよりませんでしたね。

追伸
 作品の冒頭。強盗に遭う銀行の現場責任者として、プリズン・ブレイクシーズン2でマホーン刑事役を演じたウィリアム・フィクナーが出演しています。彼らしい勇敢な役所で、ジョーカー一味に単独で立ち向かっていきました。冒頭だけの出演で消えてしまい、もっと出てほしかったと思います。

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流山の小地蔵

5.0Anarchy in the Gotham city!!

2008年7月21日

怖い

興奮

幸せ

 うぎゃー。見ちゃいました。ダークナイト。まじですごかったー。他のレビューアーの方と同様、私的にも今年No.1間違いないです。(WALL-Eと僅差!)ていうか、人によっては10年に1本あるかないかの名作かもしれません。ヒーローものとかの枠を完全に超えちゃってます。どこの新聞の批評家も軒並み☆4つや5つの満点で、IMDbでも現時点で史上最高の9.7をマーク。私の行った映画館でもエンディングでは満員の劇場で割れんばかりの拍手。(映画の途中でも何度も何度も拍手のシーンあり。アメリカ人って褒めるときは全力で褒めます。)ボックスも15800万ドルという凄まじい勢いで1位。

 監督は前作から続いてクリストファー・ノーラン(メメント、プレステージ)。勿論、今回の目玉はジョーカー(ヒース・レジャー)ですが、我らがバットマン(クリスチャン・ベール)を中心に、アーロン・エッカートという新しい人材を入れ、もう一つのテーマ「顔」にも挑みます。顔にコンプレックスを持つジョーカーが顔を見せろとバットマンに迫り、そうしてもう一つの・・・・。人間への絶望と希望という壮大なメッセージも込めてますが、そんな固いこと抜きに楽しめるという映画らしい映画!上映時間2時間30分を感じさせないその構成力に脱帽。

 しかしながら、何と言っても今作が遺作となってしまったヒース・レジャーがすごすぎ。ジェームス・ディーン、マリリン・モンローのような、00年代におけるアイコンとして歴史に残ることは間違いなし。この映画が彼を見ることができる最後の映画なんて悲しすぎますが、すさまじいジョーカーです。これまでの映画でここまでの悪ってあったでしょうか?極悪の悪、完全悪。「時計仕掛けのオレンジ」のマルコム・マクドゥエルに例えているレビューもありましたが、私的にはダースベイダー、レクター教授をも超える悪っぷりだと思いました。比較的こぎれいなジャック・ニコルソン=ジョーカーも好きでしたが、ヒース・レジャー=ジョーカーの口裂け+乱れ化粧のパンキッシュなジョーカーはもっと好きっす!登場シーンからかっこよすぎで、失禁しそうになりました。オスカー助演男優賞ノミネートは確実。私的には是非、ノミネートだけでなく受賞してほしいです。昨年のノーカントリーのハビエール・バルデム以上の怪演です。

 クリスチャン・ベールは相変わらずスタイリッシュでバットマンとブルースをきれいに演じ分けています。でも、きっと彼のことだからジョーカーの方をやりたかったんだろーなー、本当は。(マシニストみたいな役作りも含めて。)私の好きなゲイリー・オールドマンは前作よりも更に真摯で誠実な刑事役を好演(今までの映画の悪役ぶりはどこへやら)。モーガン・フリーマンはいつもどおり、淡々とそして時にユーモラス。新参のアーロン・エッカート(Thank you for smoking)も難しい役を熱演。好感持てます。今回、最も議論を呼びそうなのが、ケイティ・ホームズから役を受け継いだマギー・ギレンホールでしょう。実はこの女優さんは個人的に弟のジェイク・ギレンホール(ドニー・ダーコ、ゾディアック)も含めて大好きなんです。(特にStranger than fictionの彼女が好きです。)しかしながら、前作のケイティ・ホームズ(この女優さんは正直個人的には好きではありません。)の方が演技はさておき美しかった印象があります。マギー、最近、禁煙したそうですが、やっぱ煙草のせいなのか老け顔で・・・残念。

 アクション面では相変わらずかっこいいバット・モビールからあっと驚くものが「生まれる」のですが、そのギミックがいかしていて、ますます好きになりトイザラスでラジコン衝動買い。そして、私の生涯ベストムービーの帝国の逆襲からヒントを得たと勝手に思っているあるシーンも含めて興奮の坩堝!!とにかく2008年のベストムービー!ヒーローもの+バットマンシリーズ一度も見たことないひとも騙されたと思って老若男女問わず、毛嫌いしないで是非見てください。この映画に関しては1800円どころか18000円の価値があると思います。ストーリーは前作見てなくても序盤以外は十分フォローできるはず。(見た方がベターですが)とくとご覧あれ!!

ちなみにターミネーター4の予告編が本日初公開。主役のジョン・コナーはクリスチャン・ベールが演じるようで・・。こちらも楽しみ!!

(最初、「彼の死を予感させるようなすさまじい演技」って書いてたんですが、先日、聞いたクリスチャン・ベールのインタビューで「ジョーカー役をやるストレスで死んだっていう報道に憤っている。彼は楽しんで演じていたし、そんなの彼に失礼だ。」と言っていて、申し訳なくなくなってあわてて修正しました・・・。)

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dobuboba

5.0本当に惜しまれるのは、ヒース・レジャーのジョーカーがもう見れないってことです。

2008年7月10日

悲しい

興奮

萌える

ヒース・レジャーがジョーカー!?
大丈夫?

あまりにジャック・ニコルソンのジョーカーのイメージが強すぎた為、どうなんだろうと思っていたら、ヒースが薬物多量摂取で死亡。

映画は完成していたので、良かったのか悪かったのか。
しょっぱなから、ヒースのジョーカーが登場して、
いや~、この映画を見てね、一番惜しまれるのは、ヒース・レジャーって本当に良い役者なんだなぁ~と思いました。
劇中、「お前とは、永遠に戦うんだな」みたいな台詞があるんですけれども。
もう~天国に行ってしまったヒースが、バットマンの中でジョーカーを演じることはないので、思わず、グッとこみ上げてくるものがありました。

ジャック・ニコルソンのジョーカーはどちらかというと、ちょっとコメディちっくな感じでしたが、ヒースのジャックは、なんか病的で、ダークで、不敵な感じです。
あの、崩れたメークもちょっと怖いし、ただ看護婦の格好したりと、おちゃらけた部分は健在です。

私は、バットマンの役者はたくさん今までおりましたけれども、クリスチャン・ベール大好きです!!
彼のバットマンの時の声とか、何かしびれるわ!!
あんな声で夜をともにしたら、もう好きにして何でも言うこと聞くからって感じよ。

今回は、トゥーフェイスに、これまた私の好きなアーロン・エッカートが出演。
彼って、最近、悪役とか多いわよね。
このトゥー・フェイスも、何か悲壮感が出ております。

クリスチャン・ベールのバットマンになってから、ゴッサムシティーの街の表情は明るい感じなったのですけれども、ドラマはどっぷりダークな感じでなのよねぇ。

また脇を固めてるキャストがいいのよねぇ~。
マイケル・ケインの執事とか、モーガン・フリーマン、ゲイリー・オールドマンもいい味だしてる。
最高のキャストじゃないかしら!!

でも、ひとつ不満を言わせてもらえば、マギー・ギレンホールってどうなの?
なんか、キルスティン・ダストン系の顔で美人って理由でも、きれいって理由でもない。
素朴って言葉がぴったりよね。
まぁ、多分もう出演しないとは思いますけれども。
次回は、クリスチャン・ベールに会うような、ブロンドの美人がいいと思うわ!!

夏の映画結構みてるけど、今のところバットマンがお勧めかも。
2時間半ありますけれども、飽きずに見れます。
私(わたくし)は見れました。

シリーズものって、結構パート2あたりでだれてくるじゃない。
でも、このダークナイトに関しては、本当にいい感じよ。
しっかり、丁寧に作っております。

あのバイク、格好良いわ!!
私もあんなバイクがほしいわ!!
免許ないですけれども。

とにかく、今年の夏は「バットマン ダークナイト」で決まりね!!!

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