劇場公開日 2010年4月10日

  • 予告編を見る

「いいアイディアで終わっていない映画」第9地区 antさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0いいアイディアで終わっていない映画

2011年5月26日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

笑える

興奮

2010年に見た映画の中でアイディアが面白かったものと言えばこれと「ハングオーバー」。これは事前情報でエイリアンが登場する擬似ドキュメンタリーと知っていたが、それ以上のものがあった。

主人公のヴィカスは当たり前だが前半と後半では大きく違う。前半のいかにもな事なかれ主義の役人風の仕事振りと、事件に巻き込まれる後半の必死さの対比がいい。前半で彼の性格とエイリアンたちの汚い姿と差別(ここはとうぜん舞台である南アフリカのアパルトヘイトと重ねる)をきちんと描くことで、後半が引き立つ。後半のヴィカスは前半と逆の立場に置かれ、追われる(差別される)側にまわる。そこで差別されるとは何かに気付き、人間が考えるより良いエイリアンがいることが分かる。この価値観の転換は前後半のつながりも見事だ。

もちろんアクション映画として楽しめる。銃撃戦も良いが、パワード・スーツは男子の夢。そこに日本のアニメの影響とも言われる派手なシーンまで付けてくれたのだから言うことない。思わず脱力してしまうエイリアンの持つ時間感覚などユーモアも忘れないのも良い。

ant