劇場公開日 2010年4月10日

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「エイリアンの醜さより人の方が怖いでしょ」第9地区 harizoさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0エイリアンの醜さより人の方が怖いでしょ

2010年5月17日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

楽しい

怖い

興奮

なるほどアカデミーノミネートな作品!
ここ最近のSF映画の中で斬新かつ傑作だと思いました♪
この無名の監督&役者でありながら、デビュー作と
思えない完成度!これをバックアップしたピーター・
ジャクソンもさすがです!!

好みとしては「アバター」より全然好きです♪
「アバター」がどうよこの美しいCG!って感じに
対して、こちらは地味目だけどドラマに自然に
溶け込んだこちらの見せ方の方が好きってのもある。

冒頭のフェイクドキュメンタリー風な演出に
「クローバーフィールド」的なおバカムービーを想像
してましたが、見事にいい方向に裏切られました。
とにかく、設定やCGがありえない作り物だとわかっていても
引き込まれるドラマのリアリティには大興奮!

南アフリカ/ヨハネスブルグという背景の設定が、
アパルトヘイトやスラム、武器商人の存在等、
そんなモチーフも話にリアリティを持たせており、
戦争の根本には人類のエゴと金儲け主義な
ブラックな皮肉も満載。

何と言ってもいいのが、この主人公ヴィカス
(シャールト・コプリー)とても主役タイプとは
言えない小人物ぶりなトコ。
特別正義感が強い訳でも、頼れそうな訳でもなく、
自分勝手な一面もあるごくごくありふれた普通な人が、
突如不幸な運命に見舞われ翻弄され、
その決してヒーローと呼べない振る舞いの妙なリアルさ、
そんな彼だからこそ決断するラスト奮闘ぶりに大感動でした。

そして、“エビ”と呼ばれるエイリアン側のもう一人の主役
クリス&その息子との友情!
まさかのハートフルな活躍と展開になろうとは!(笑)
醜いエビ姿も最後には愛しくなっちゃうくらい♪

描写がグロいことはグロいけどそこを批判する前に
現実に人がしている行い(特に日に何十人も死んでる
南アの現状とか)考えるとそっちの方がキツいよね。

harizo