「テレンス・マリック×ルベツキ=最高」ツリー・オブ・ライフ Raspberryさんの映画レビュー(感想・評価)
テレンス・マリック×ルベツキ=最高
〝ツリー・オブ・ライフ〟とは、人間の人生ではなく宇宙の進化だった。なんたる壮大さ。
主人公を見つめる巨大な樫の木は、アダムとイヴが追放されたエデンの園にそびえる大樹だ。
父(神)の支配する世界で幼子は何者かに祈る。神さま、あの人と離れさせてください。これ以上自分の心を憎しみで汚したくありません。
同時に宇宙の進化と恐竜のイメージが全能の父の寓話を否定する。神とは全能の神ではなく、宇宙のうねりから生まれた生物が、本能的に他者の意識に同調する能力。主人公は無意識にこの根源的な慈愛の力に祈っているようだった。
だからこそ、いかにして父を赦すか、母の愛を噛みしめることができるか、この世の不条理を抱きしめることができるかをひたすら思索し続ける。
うんうん。イメージの中でいつも何者かに語りながら思索する感じ、首がもげるほど同意したよ。
ホドロフスキーが「リアリティのダンス」で自分を救済したように、テレンス・マリックは本作で自分を癒したのだと思う。
ルベツキの撮影に心底痺れた。
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