劇場公開日 2008年5月31日

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ラスベガスをぶっつぶせ : 映画評論・批評

2008年5月20日更新

2008年5月31日より有楽座ほかにてロードショー

現実逃避ファンタジーとしては痛快な出来

アメリカでは、かなり有名な話らしい。90年代、MITの学生たちがカード・カウンティングという高度な手法を用いて、ラスベガスのカジノで数百万ドルを荒稼ぎ。メンバーの一人がノンフィクションとして発表したこの実話を、ポップ&カラフルに脚色したのが本作である。

カード・カウンティングというのは記憶力と計算力で確率を割り出すというものなのだが、しくみがわかりにくく、ゲームの描写にスリルが今ひとつ。しかも計算で堅実に稼ごうというのだから、イチかバチかというギャンブルの醍醐味も希薄だ。

しかしそのぶん、映画は別のところでサービス精神を発揮。チーム内の不協和音、カジノの警備員との攻防戦、銭ゲバ野郎の馬脚を現す教授との対決。アメリカン・ドリームの落とし穴を見せる後半の展開にはヒネリがあるし、主人公のキャラクターを丁寧に描くことで、偽セレブと化して自分を見失ったベンの内なる闘いにもスリルが宿る。つまりIQは高くとも、人生のプレイヤーとしては未熟な若者の成長物語として、なかなかよくできているのだ。

ジム・スタージェスが内面の葛藤をうまく表現して共感を誘い、おたく仲間のキャラと哀愁がいいスパイスに。またスペイシー扮する教授の下卑た邪悪キャラは、リアルでなくてもうま味たっぷり。人生の急流すべり的なアトラクション感があり、現実逃避ファンタジーとしては痛快な出来だ。

若林ゆり

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