シャッター アイランドのレビュー・感想・評価
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どうにも、この手の映画を見過ぎてしまった。
映画としてよく出来ている、などと上から目線の評価をしてしまいそうになる。話の流れもなんとなく予測が付きました。「実はおかしいのは自分自身だった」というネタは、他の映画でしょっちゅう見てきたし、それを更に逆手に取る映画も登場していた。もしかしたら、常套手段になりつつあるのでしょうか? 同じ映画を繰り返し見ているような気分になってきました。そんなわけで、この映画に対する正当な評価がしづらいです。
なんとなく予想はできたが良き
【78.6】シャッターアイランド 映画レビュー
『シャッター アイランド』(2009)批評
作品の完成度
完成度の極めて高いサイコスリラー。マーティン・スコセッシ監督の卓越した技量が凝縮された作品。原作小説の複雑なプロットを忠実に映像化しつつ、映画的な表現で観客の心理を巧みに操る構成力。物語全体に張り巡らされた不穏な空気、視覚的・聴覚的なサブリミナル効果、そしてラストの衝撃的な事実。これらが完璧なまでに調和し、観客は主人公と共に混乱と疑念の渦に巻き込まれる。単なるミステリーに留まらず、人間の記憶、アイデンティティ、狂気、そして救済という深遠なテーマを深く掘り下げた傑作。ラストシーンの解釈は観客に委ねられ、二重の意味で物語が完成するという稀有な体験。複数回鑑賞することで新たな発見がある、まさに「鑑賞に耐えうる」作品。
監督・演出・編集
マーティン・スコセッシ監督の円熟した演出。古典的なフィルム・ノワールの手法を用いつつ、現代的な映像感覚を取り入れた独自のスタイル。雨、霧、嵐といった天候を巧みに利用し、孤島という閉鎖空間の不気味さと閉塞感を強調。悪夢のシーンや幻覚の描写は、主人公の精神状態を鮮やかに描き出し、観客の不安を煽る。セルマ・スクーンメイカーによる編集も秀逸。過去の記憶と現在の出来事が断片的に、かつリズミカルに挿入され、主人公の混乱を視覚的に表現。特にラストの種明かしのシークエンスは、それまでの伏線が完璧に回収され、見事なカタルシスを生み出す。
キャスティング・役者の演技
* レオナルド・ディカプリオ(テディ・ダニエルズ)
テディ・ダニエルズという複雑なキャラクターを圧倒的な存在感で演じきった。捜査官としての鋭い観察眼と、自身の過去のトラウマに苦しむ脆さの両面を見事に表現。物語が進むにつれて次第に精神の均衡を失っていく様を、狂気と正気の狭間で揺れ動く繊細な演技で体現。特にラストシーンにおける表情は、観客の心を深くえぐる。スコセッシ監督との長年の信頼関係が、彼の演技をさらに深化させている。単なるイケメン俳優という枠を遥かに超えた、円熟した演技力。
* マーク・ラファロ(チャック・オール)
テディの相棒であるチャック・オールを演じる。一見すると地味だが、テディの精神状態を観察し、優しく寄り添う姿は物語に説得力を与える。物語後半の展開を知ってから見直すと、彼の視線や言葉の端々に隠された真意が読み取れる。静かながらも存在感のある演技で、作品に深みを与えた。
* ベン・キングズレー(コウリー医師)
アッシュクリフ病院の院長コウリー医師を演じる。冷静沈着で威厳のある佇まいは、観客に安心感を与える一方で、何かを隠しているかのような不気味さも醸し出す。穏やかな口調の中に潜む狂気と、主人公への慈悲の念を同時に感じさせる多層的な演技。彼の存在が物語の緊張感を維持する上で不可欠。
* マックス・フォン・シドー(ネイリング医師)
謎めいた医師ネイリングを演じる。僅かな出演時間ながら、圧倒的な存在感で物語の核心に迫る役割を担う。重厚な演技と鋭い眼光は、観客に恐怖と疑念を植え付け、作品全体のミステリアスな雰囲気を一層高めた。
脚本・ストーリー
原作小説の優れたプロットを基にした重層的なストーリー構成。観客は主人公の視点から物語を追体験し、彼の錯乱と共に真実から遠ざかっていく。巧みに配置された伏線やミスリードが、サスペンスを盛り上げる。特に、物語のラストで明かされる衝撃の事実と、それに続く主人公の選択は、人間の精神の奥底にある悲劇と希望を同時に描き出す。ミステリーの枠を超えた、人間ドラマとしての完成度の高さ。
映像・美術衣装
1950年代の雰囲気を完璧に再現した美術と衣装。アッシュクリフ病院のゴシック様式の建物、荒涼とした孤島の風景、そして登場人物たちの服装に至るまで、細部にまでこだわり抜かれた世界観。照明と色彩の使い方も巧みで、テディの精神状態を反映するかのように、光と影のコントラストが強調される。悪夢のシーンにおける幻想的な映像美も印象的。
音楽
ロビー・ロバートソンが音楽監修を務める。主題歌はなく、様々な作曲家の既存のクラシック音楽を巧みに配置。特に、現代音楽家ジョン・ケージの「In a Landscape」や、メレディス・モンクの「Passage」などが効果的に使用され、作品全体に不穏で実験的な雰囲気を醸し出す。主人公の心の揺れ動きと狂気を、音楽が視覚的にも聴覚的にも補完。
受賞・ノミネート歴
主要な映画賞での受賞はなかったものの、全米映画批評家協会賞の作品賞で2位、サンディエゴ映画批評家協会賞では美術賞を受賞。また、美術、衣装、音響、編集など技術部門で高く評価され、サテライト賞やサターン賞などでノミネートされた。
作品 Shutter Island
監督 マーティン・スコセッシ 109.5×0.715 78.3
編集
主演 レオナルド・ディカプリオB8×3
助演 マーク・ラファロ B8
脚本・ストーリー 原作
デニス・ルヘイン
脚本
レータ・カログリディス B+7.5×7
撮影・映像 ロバート・リチャードソン
A9
美術・衣装 ダンテ・フェレッティ B8
音楽 ロビー・ロバートソン B8
どっちが真実?
精神病棟の島という事で、最後は精神病を扱っているドラマにあるあるの全部、主人公の妄想でしたのオチ。
始め主人公が幻覚を見たり、過去を思い出すシーンから主人公にトラウマがある事が解り、島の秘密を知ったから無理矢理患者に仕立てられそうな話になり、主人公が真実で精神病棟の罠なのか、はたまたその逆なのか解らなくなる。
しかし、主人公が自分の過去と向き合い、自分が妻を殺した事を思い出す。
相棒と思っていたのは主治医で、また相棒と言っている事から、また妄想が始まった事が伺われ、自分もそれと知ってか、多分ロボトミーの手術を受けただろう最後で終わる。
精神病の妄想が全てこんなに過去をすり替えると言う事実は解らないが、私が知らないだけで存在するのだろうか。
ビューティフル・マインドもそうだが、妄想の世界で生きる人は現実と違う世界で生きているのだろうか?
Truths and Lies
「対話の不在が生む狂気──『シャッター アイランド』に見る壊れたコミュニケーション」
夢か現か幻か
夢の映像がスコセッシ監督作としては斬新で、とても魅力的で引き込まれた
2010年製作/138分/PG12/アメリカ、原題または英題:Shutter Island、配給:パラマウント、劇場公開日:2010年4月9日。
物語のオチは自分的にはすっきりとはせず、少々ガッカリと思う部分はあった(真実は、ディカプリオは真に保安官だと面白かったのに)。しかし、従来のスコセッシ監督作で見た覚えがない夢の映像が斬新で、とても魅力的な映画に思えた。
スコセッシ監督は日本映画への造詣も深いらしいが、実際色鮮やかな夢の映像はどこか昔の日本映画の様で、ある種の懐かしさも感じた。そして夢の中で登場する妻ミシェル・ウィリアムズがなんとも艶めかしい。
レオナルド・ディカプリオの演技は、オーバーアクション気味で個人的にはあまり好みではないが、この映画では、これだけで出ずっぱりで、全く飽きさせずに画面を持たせているのはさすがと思わされた。
監督マーティン・スコセッシ、製作マイク・メダボイ 、アーノルド・メッサー 、ブラッドリー・J・フィッシャー 、マーティン・スコセッシ、製作総指揮クリス・ブリガム、 レータ・カログリディス 、デニス・ルヘイン 、ルイス・フィリップス、原作デニス・ルヘイン、脚本
レータ・カログリディス、撮影ロバート・リチャードソン、美術ダンテ・フェレッティ、編集セルマ・スクーンメイカー、音楽ロビー・ロバートソン。
出演
レオナルド・ディカプリオ、マーク・ラファロ、ベン・キングズレー、ミシェル・ウィリアムズ、エミリー・モーティマー、パトリシア・クラークソン、マックス・フォン・シドー、
ジャッキー・アール・ヘイリー、イライアス・コティーズ。
スコセッシはディカプリオを知っている。
2020年公開、アメリカ映画。
【監督】:マーティン・スコセッシ
【脚本】:レータ・カログリディス
【原作】:デニス・ルヘイン〜『Shutter Island』
主な配役
【連邦保安官 テディ・ダニエルズ】:レオナルド・ディカプリオ
【連邦保安官 チャック・オール】:マーク・ラファロ
【ジョン・コーリー医師】:ベン・キングスレー
【ドロレス・シャナル】ミシェル・ウィリアムズ
【失踪した女性患者 レイチェル・ソランド】:エミリー・モーティマー
1.練り込まれた脚本
よく細部まで仕上げられている。
◆小さな島の謎めいた医療施設
◆施設に携わる面々は何かを隠している疑惑
「なんか陰気な映画だなぁ」から始まり、
観る者を徐々にシャッター・アイランドの謎に迫ろうとするディカプリオ演じるダニエルズ捜査官に感情移入させていく。
このあたりの演出は、捜査官たちのやりとり含め、
かなり計算されている。
2.スコセッシはディカプリオを知っている
ディカプリオの魅力は、
「陽」と「陰」、
相反する性質を併せ持つ表情にある、
と私は思っている。
トム・クルーズ、
ブラッド・ピット、
キアヌ・リーブスにはない、「陰のある表情」がディカプリオの魅力だ。
スコセッシ監督は、ディカプリオの「陰」をうまく引き出す術を持っている。
本作は、ストーリー構成や演出によって、それが最大限発揮されているし、
見方によっては、「発揮されすぎ」にも感じられるほどだ。
3.まとめ
スコセッシとディカプリオで作り上げた寓話。
前半部は文句のつけようがない。
ラストシーンに向かって、盛り上げようとするのだが、
何故か空虚な気持ちになってしまう。
☆3.0
初ディカプリオ
これは一体夢か現実か?の演出が苦手だから途中で飽きてきて
あと何分かな…と思った時でちょうど半分でガッカリ。
いったん見るの止めて、翌日のこりの1時間みおわった。
ストーリーは予想を裏切る事なく、主人公の妄想オチだった。
相棒の人の演技が好きでした。
真実と嘘の島
衝撃的な展開でした…
とくにいちばん「うわっー!」となったのは序盤の船酔いは水、つまり湖を思い出して吐いていた、という点。
ロバート・ロドリゲス監督のドミノ を前に見ましたが、あれに近いなぁと感じました。恐らく今作がそういったプロットを初めて提示し、ドミノもそれに準じてるんだと思いますが、今作がロールプレイになってることに気づけませんでした。不覚。プロットは知ってたのに。
ちゃんとドミノでも騙されたことを思い出しました。こういう系はぜんぶ騙されちゃいますね、じぶん。ある意味いい鑑賞者!?
そういえばシックス・センスのときも騙されました。もう!
これでぼくはベン・アフレック、ブルース・ウィリス、レオナルド・デカプリオに騙されたことになります。そうそうたるメンツ!
ドミノ に関してはあまり救いのない、後味のわるい終わり方でしたが、
シックス・センス、シャッターアイランド、共通して、ひとつの終着点が示されているのが非常にいいな、と感じました。今作においては、ラストのラストまで衝撃が待ち構えていて、エンドロール中は動けませんでした。
神は暴力を〜のくだりを言っていた元軍人の隊長。彼の言っていたことは、アンドリューの妄想を元にしたセリフにすぎないのでしょうか?それとも隊長本人がそう思っているのか?彼は恐らくロボトミー賛成派ですから…
シックス・センスを見た直後に、「GANTZ」でシックス・センスの話をみて、「あぶねっ」となりましたが、このように、過去の大どんでん返し映画は、どこかでひょんなことからオチを知ってしまう可能性が潜んでいます。そういう意味では、シャッターアイランドのオチは今日まで知らずに生きてこれてラッキーでした。
こういう大どんでん返し名作を、リアルタイムで映画館で見たい!!
そんな経験、この先できたら嬉しいですね!
手に汗握るサスペンス。レオ様の怪演。
1回目観た時と、2回目観た時で180度見方が変わる作品。2回観るとより面白く感じる。
島に降り立ってから、とにかく不気味な雰囲気が漂っている。失踪した患者を探していくうち、精神病棟にまつわる大きな謎が顔を出していく。
今作もレオ様の快演がとにかく光る。患者を問い詰めるシーン、病棟内部を探る際の困惑するシーン、終盤のシーン、観ていて飽きが来ない。
ストーリーもそこまで難解ではなく、ラストではしっかり何があったのかを語ってくれている。サスペンスとしての雰囲気はかなり良質だと思う。
ーーーーーー以下ネタバレーーーーーー
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精神疾患のある患者の治療は大変なものだ。世の中には何年何十年と治療を受け続ける人もいるだろう。あれだけの悲劇を受け発狂してもおかしくない中のラスト、彼は選択したわけだけど、ある意味治療は成功していたんだろう。
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