「マイケルは年上の官能的な姿に魅了され、ハンナも若い男の体を見て、抑...」愛を読むひと いたかわさんの映画レビュー(感想・評価)
マイケルは年上の官能的な姿に魅了され、ハンナも若い男の体を見て、抑...
マイケルは年上の官能的な姿に魅了され、ハンナも若い男の体を見て、抑えられない部分もあったのだろうが、朗読してもらうことが第一の目的だったのだろう。
なので、お互い不純な関係だなと初めは思った。
でも観ていると、マイケルの素直な気持ち、ハンナも曖昧な感じだったけど、マイケルのことを愛しているんだなと思い、純粋な恋に感じた。
そこで、マイケルがただ官能的に惹かれたわけではないのかと思い始めた。ハンナがブラジャーをアイロン掛けしているシーンはただ興奮しているわけではなく、彼女の几帳面な姿にも魅了されていたんだなと思った。
2人が関係を深めていく中で、なぜハンナが自分で本を読もうとしないのか?という疑問が湧き、そして突然見せる、激情的な面に違和感を感じた。そこで彼女が文盲であること、そして何か後ろめたいことを隠していることを暗示しているんだなと感じた。
そして彼女の後ろめたい過去の正体がホロコーストに加担していたということが分かるが、そのことよりも文盲であることを隠そうとしたことに驚いた。
マイケルはそんな彼女を救おうと考えたが、踏みとどまる。
彼女の知られたくない事実を隠したいという思いもあったが、同じドイツ人でもホロコーストに加担した者に対する嫌悪感があり、守ろうとすることで世間から批判されることを恐れたからなのかなと思った。
ただ、ナチスの人間を同じドイツ人が裁くのはどうだろうかと思った。ホロコーストに関与していないとしてもヒトラーを支持してしまったのは彼らだし、過去の罪を恥じて、どうしても正義を行わなければというバイアスが掛かるんじゃないかと思った。
マイケルは話し合わず、救わない選択をしたことで後ろめたさ、後悔を感じたから朗読したテープをハンナが服役している刑務所に送ったのだろうと思った。ただ、ハンナが字を学び、送った手紙に返事を送らなかったのは、彼女への思いが深まってしまうから、ホロコーストに関わった者に対する何を言えばよいのか分からないからなのかと思った。
ハンナが自殺したのは、文字を読むことができるようになり、目を背けていた過去の行いに向き合い、マイケルに戦時中行った行為について何を感じたか答えた時の彼の嫌悪感によって自身の行った行為を理解し、絶望したからだと思った。
マイケルはハンナの死から、彼女が変化したことを知り、自身も心を開く決意をしたのだろうと思った。ただ、娘の立場としては、サプライズと称して昔関係を持った女性の話をされても困るわと思った笑