劇場公開日 2009年6月19日

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「沈黙は金か?くちびる寒しか?三者三様の沈黙。」愛を読むひと きりんさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0沈黙は金か?くちびる寒しか?三者三様の沈黙。

2019年5月2日
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鑑賞方法:DVD/BD

マイケルは、
黙っていたからハンナを死に追いやり、
黙っていたからロマの女との情交を秘して世間とナチスから自分の命を救った。

ハンナは、
文盲を黙っていたから自分を死に追いやり、逆に文盲を黙っていなかったらそれはそれでロマの出自がばれて結局はガス室行きだった。
どの道死ぬことになっていたハンナだからマイケルを道連れにはすまいと沈黙を守り、そうしてハンナはマイケルを救い得た。

レナ・オリンはハンナの最期を知らされて永く閉ざしていた口を開く。
キリル文字の書かれた錆びた缶が開かれて、その古い菓子缶が無言に語りだす。

私たちは失言を口からこぼして取り返しのつかない失敗をすることもあるのだけれど、語らなかったことによる失敗も本人だけが知っている永遠の責苦だ。

マイケルは娘に語り始める。
赦しと救いは告解するマイケルの口を通して彼の復活を約束するだろう。
きっと必ずや怒涛のように押し寄せる愛の思いがマイケルに嗚咽と微笑みを恢復させるだろう。

きりん
NOBUさんのコメント
2022年11月23日

今晩は。
 今作は、映画館で観ていたら、会社では冷酷な人間として有名な私ですが大粒の涙をこぼしていたと思います。(だって、配信で観ても涙があふれましたから・・。)
 ロマ故に、文盲であった女性が、総ての罪を被る姿。
 ブルーノ・ガンツ(後に、ヒトラーを演じましたね)の姿を含めて、とてもとても沁みた映画でした。では。返信は不要ですよ。

NOBU
talismanさんのコメント
2022年11月23日

きりんさん、こんにちは。kossyさんの素晴らしいレビューのおかげで、またきりんさんにご挨拶する機会が与えられました。嬉しいです。

talisman
kossyさんのコメント
2022年11月23日

きりんさん、いつもコメントありがとうございます。
レビューしてなかったための再々鑑賞となりましたが、結果はわかっているので、今回はブルーノ・ガンツを中心とした会話に注目。色々と伏線が絡んでるんだな~すごいな~と、作品の奥深さを知りました。もっとも序盤の方では『タイタニック』から比べると老けたなぁ~でしたが・・・(汗)
若きマイケルには法律の力だけを信じるしかなかったのだろうし、ハンナの出自やその暴露にまで自分が口だししていいものだろうかと迷ったに違いない。
マイケルにとっての贖罪。ハンナはその気持ちをも汲むことができたのでしょうね。

kossy
ジョニーデブさんのコメント
2021年6月27日

きりんさんありがとうございます
なぜハンナは字が読めないことを告白しなかったのか理解出来なかったのですが、きりんさんのコメントを読んで納得しました。この映画は奥が深すぎますね。

ジョニーデブ
talismanさんのコメント
2021年5月8日

きりんさん、コメントありがとうございます。ドイツ映画は、ナチものであれ東ドイツものであれ重いですよね。過去を忘れない態度がドイツ人に染みついているのはよく分かります。でも、それを売りにしてないか?と思ったりもしてしまいます。ただ、若い世代の監督や俳優が別の世界を作り出しているので(「トニー・エルドマン」「コリーニ事件」「希望の灯り」「水を抱く女」など)期待してます。

talisman
カールⅢ世さんのコメント
2021年2月25日

きりんさん、
いつも、ありがとうございます。

カールⅢ世