チェンジリングのレビュー・感想・評価
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枯れるどころか作品に漂う艶っぽさは何だ!
昨今のイーストウッドブームには心のどこかで「何で今更…」感がどうしても付き纏ってしまう。
「昔からイーストウッドは面白い娯楽映画しか作って来なかったじゃないか…」って。
以前は全然、批評・興行面でいまいち“ぱっ”としなかったのに、ここ数年来は逆に「そこまで評価する程か?」等とついついやっかんでしまうのですが…。
素直に脱帽!これは良い。
単純に泣かせる感動作品になどしていない演出が実に小憎らしい。
この作品がアカデミー賞から弾き出されたのが信じられない。これは多分ですが作品を観ていたアカデミー会員全員が、終了後に…。
「あれ?ジョン・マルコビッチは真犯人じゃないの?」
「奴が出るなら犯人だろう?」
等と変に納得していないんじゃないか?…と。
何だかそれ以外に理由が思い浮かばない!
そしてほんの少しだけ再現させる、当時のロサンゼルス市街の風景を始めとする美術・衣装等と言った技術面も超一流の仕事振り。
これにイーストウッドの円熟に差し掛かった見事な演出力が加わるのですから。
イーストウッドって今何歳なんですかね?かなり高齢の部類ですよね。普通ならば枯れて来る頃なのに、まだまだ画面からは“艶”の様な匂いが漂って来るのだから…。
主役を演じていたのがアンジョリーナ・ジョリーだったのを差し引いてもちょっと異常ですね。
益々円熟度が上がっているって一体どうゆうこと?
この作品の内容等は、単純な話しではあっても決して2時間20分もの時間を、観客に退屈感を与えずに作品に没頭させるのは容易な事では無い筈ですよ。
でもイーストウッドってそれをいとも簡単にやってのけてしまうのですから…。本当に恐ろしいわ!
ところで、肝心の作品に於ける詳細に関する言及した感想を全然書き込んではいないのですが…もう必要無いっすわ。
とにもかくにもイーストウッドはん。あんた凄いわ!
(2009年2月26日 TOHOシネマズ日劇3)
事実と言い張るには脚色が多い
事実なんていわなきゃ良い映画です。ここまで脚色するなら事実なんて銘打つのは不誠実じゃないかな。事実そのままだと商業作品にならないから必要な脚色ってあるけど、観た人が「ここは事実だろ」と思うようなところまで脚色するのはどうかと思う。
もっと事実に則したプロットでも十分面白く出来たと思うのでそこが残念です。
演技に圧倒
アンジェリーナ ジョリーの作品はロードショーでやるようなアクションものしか観たことがなかったので、こんな役もできるのかと驚きました。黒幕側の演技か脚本か、どちらがすごいのか分かりませんが、傍観者でありながら、腹立たしい気持ちも芽生えましたね。(どちらもすごいのかな?)
母の大きな愛と、女性の強さをものすごく感じる映画に出会いました。最後のアンジーは、頭に残るだろうな〜(._.)
実際にこのような事件があったとは思えないような、恐ろしい内容でした
恐ろしい現実
悔しくて悲しくてどうしようもなくやるせなくなる映画でした。
アンジー扮するクリスティンは、どんな相手にでも挑める強く行動力のある女性です。
息子を取り戻すという目的を決して揺るがせず、どんな対応をされ、どれだけ腑煮えくり返ろうとも、目的の為にとにかく冷静に話を進めようとするその姿勢、余りの理不尽さに時に乱れる感情、気がつけばクリスティンと自分の感情が一緒になっていて、その焦りや苛立ち、葛藤がダイレクトに伝わってきます。
クリスティンが送った生涯、ラストの一言を自分に置き換えて考えてみましたが、とても言葉になりません。
人命がかかっているにも関わらず、真実を隠蔽し、己の地位や世間体を優先させようとする警察達の姿、
1人1人の、ほんのちっぽけな保身の連鎖に、どれだけの人が傷付き、翻弄され、時に命をも落とし得るか、
時代や立場関係なく、心に刻んでおかなければいけないと深く感じさせられました。
面白いです
これかなり面白かったです
ただ主演がアンジョリーナじゃなければもっと良かったと思います
映画には適材適所がありアンジョリーナはこの映画では浮いていて、まったくあってないです
映画じたいは満点に近い面白さです
「事実は小説より奇なり」を地で行く話し。
1928年、ロスアンゼルスで実際に起きた出来事。ちなみに“チェンジリング”とは、“フェアリーなどの伝承の生物と秘密裏に取り替えられた子供”と言う意味。ヨーロッパなどで、広く伝承されてきた話だそうです。
20世紀初頭のアメリカの司法・警察機関って、どこも腐敗していたんですね。FBIもそのころは、BOIと呼ばれていたりしていましたが、腐敗しきっていて、ジョン・エドガー・フーヴァーが登場して、その腐敗を一掃したりするんですがね。(もっとも、ジョン・エドガー・フーヴァーの時代が長くなりすぎて、その後半には彼が居る事による腐敗があったりもするんですが。)
さて、映画の話。最初にこの話が来たとき、アンジェリーナ・ジョリーは、「自分の子供に同じことが起きたらどうだろうか?」と言うことを考え、クリスティンを演じる事を躊躇したらしいですが、最終的にはクリスティンの力強い生き方に共感して出演する事にしたらしいです。そして、その彼女の演技は非常にすばらしいですね。実際に子供が居る事が、自分の一人息子の無事を案じる母親の姿を演じるだけでなく、子供を失った母親の辛さをある意味“実体験”させ、この演技に通じたのだと思います。その他、グスタヴ・ブリーグレブ牧師を演じるジョン・マルコヴィッチや、クリスティンを苦しめるJ・J・ジョーンズ警部役のジェフリー・ドノヴァン、クリスティンが監禁された精神病院で彼女を励ますキャロル・デクスター役のエイミー・ライアンなど、いろんな俳優・女優がいますが、アンジーの演技に勝るものは無いですね。
映画で見るべきは、20世紀初頭のロスアンゼルスが見事に画面に再現されていた事。もちろん、いまのロスアンゼルスには市電は走っていませんし、ダウンタウンは高層ビルばっかり。ロスアンゼルス郊外などで、当時の雰囲気を持つ街を見つけ撮影したそうです。車のT型フォードなどが走っていたので、これも実走可能なT型フォードを見つけてきたんでしょうね。
それにしても、こんな出来事が20世紀のアメリカで実際に起きていたとは驚きです。実際の出来事なので、必ずしもエンディングがハッピーとは限りませんが、非常に印象に残る映画です。
作品も中盤でチェンジリング
前半はコンパクトに纏まっていましたが、後半のダラダラした展開に疲れてしまいました。何を言わんとしているのかは分かった気がしますが・・・。
主人公はシングルマザーのクリスティン。
電話会社に勤務している彼女は息子とのある約束を果たす為に仕事から帰宅すると彼の姿はなく、警察に捜索してほしいと頼みこむのですが、当時の私利私欲に塗れたロス市警は思いのまま動いてくれません。それから、5ヵ月が経過したある日、息子が発見されたと警察から連絡が入ったのですが、対面した男の子はよく似た他人だったのです。そして、その後彼女の身に次々と想像絶する辛い出来事が待っていたのです。
注目は何と言ってもアンジェリーナ ジョリーらキャスト陣の力の入った演技。特にアンジーの演技は圧巻。「マイティ ハート~」よりさらに、グレードアップしており、アカデミー賞にノミネートされただけのことはあります。それから、ロス市警のジョーンズ警部を演じたジェフリー ドノバンの演技もよかったです。この作品の演技で名バイプレイヤーの仲間入りを果たすかはわかりませんが・・・。そして、忘れてはいけないのがクリスティンの心強い味方となる牧師を演じたジョン マルコビッチ。この作品でもいい味を出しています。
しかし、後半の展開がダラダラしていて多くの人がエンドロールにたどり着くまでに疲れてしまうことでしょう。後半に進めば進むほど感情移入しにくくなっており、先の展開が読めた時点でもうどうでもよくなってしまいました.
“他人を100%信用してはいけない”とか“信念を枉げてはいけない”といったこの手の作品によくありがちなメッセージをダラダラとした展開の中で伝えようとしているのだと思います。
でも、キャスト陣の演技は一見の価値はあると思います。劇場で観てもいいですし、DVDが出るまで待ってもいいのかもしれません。
この時代、怖い。
今の時代もそうですが、
権力のある組織の下で生活を送る事への、恐怖や苛立ちを感じました。
前半、イライラしっぱなしです。
(最後どうなるんだろう)なんて気楽に観れず、
(がんばれ、負けるな)と夢中でした。
観終わった後も、この気持ちです。
いい映画でした。
完成度は高いが、予告篇がやり過ぎた
さすがは我らがアンジー、最後はマシンガンをブッぱなして息子を取り戻す・・・なんてことにはならない。これは実際にあった話で、当時の警察機構がどれだけ腐敗していたか、恐ろしい体験談なのだ。
緻密に計算された色調と演出、周到なキャスティング、アンジーの別人と思えるような声音といい、クリント・イーストウッドの作品は期待に違わず完成度が高いと思う。
だが、予告篇から得られる情報と、この本篇で得られる情報といったいどれだけの違いがあるのか?
ある日、突然、愛する息子がいなくなって、やっと帰ってきた息子が別人で、警察に訴えるが取り合えってもらえず、挙句の果て精神病院に送られて、そこに腐敗した警察機構に対抗するひとりの男が現れる・・・。すべて予告篇から窺い知ることができる。これに本篇で、いったいどれだけの肉付けがなされたというのだろう?
この映画、おカネを出して観ただけの付加価値がないのが残念。
上手いねぇ~
クリントイーストウッドさんは本当に素晴らしい作品を作るのが上手い。結構昔から監督しているがどの作品も高水準で素晴らしい。
何よりその主役を引き出す、別の個性を引き出すのが本当に上手い。この作品もアンジェリーナジョリーの今までにない部分を引き出し、演技の幅を広げさせた。1920年代を完璧に作り上げその土俵でたっぷり演じてもらう、素晴らしい脚本や脇役人達に恵まれその中でアンジェリーナジョリーは別の何かを開花させたような、何よりも観ている人達にもこの世界に来てもらうかの様な雰囲気、風が吹いてます。
ラストを引っ張り過ぎ感あるけど、全体的に素晴らしい作品になってます。細かいとこにも凝った作りなのでその辺も見逃さないように。
まさしく老獪!でも。。。
3月半ば、新宿バルト9で観てまいりました。
イーストウッド作品としては「ミリオンダラーベイビー」以来となります。イーストウッド作品は特徴として、背景に流れる監督の思想そのものにかなりの偏りを感じつつも、老獪なストーリーテリング術でうまくエンターティメントとして創っているなという印象があります。
本作のテーマは、ある意味わたくしたち日本人にも身近なものです。「帰ってこない息子を『それでも』と待ちつづける母親」の物語。それをイーストウッド監督は抑圧された映像美と、厳格かつ冷静な語り口で描いていきます。じわじわと母性愛が浮かび上がってきます。
そんな母性愛が、わたくしの想像力に悲痛に宿ってきていました。が、後半で何故か収縮してしまったのです。
それはたぶん本作が、事実を基にしたミステリー作品なのか、はたまたミステリー仕立てのノンフィクション作品なのか、観ていてどっちともつきがたい創りになっているからです。宣伝から判断すると本作は後者なのですが、映画の導入から中盤までは、前者の創りになっています。
わたくし的には、この語り方の変化に心の体勢を変えられ、正直後半から伝わりにくくなったのです。これはあくまで、「伝え方」を重視するわたくしなりの批評でした。。。
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