トランスフォーマー リベンジ : 映画評論・批評
2009年6月16日更新
2009年6月20日よりTOHOシネマズ日劇ほかにてロードショー
驚きと興奮の連続で、2時間30分を一気に突っ走る快作
正義(オートボット)と悪(ディセプティコン)のトランスフォーマー軍団が、地球で全面戦争を開始。大学生活に期待を膨らませるサム(シャイア・ラブーフ)が、またも人類存続の鍵を握ってしまう──。
前作同様、設定はシンプル。だが、冒頭から始まる多種多彩なトランスフォーマーが入り乱れてのバトルは、オートボットと米軍精鋭部隊の息の合った連携もあり、驚きと興奮の連続。物語が進むに連れ、「インディ・ジョーンズ」を思わせる壮大な古代の秘密も明かされ、2時間30分、一気に突っ走る快作だ。
しかも、マイケル・ベイは巧みに緩急をつけ、気持ちのいいユーモアを随所に織り込む。サムを慕うバンブルビーの子供っぽい行為。サムの母親の無邪気なドタバタ。「スピーシーズ」を連想させる美女型ディセプティコンの危険な誘惑。けんかが絶えない双子のオートボットや、セクシーさを増したミカエル(ミーガン・フォックス)に手なずけられるお調子物の小型ディセプティコンなど、人間味にあふれた新キャラの絡みもおかしい。
また、前作で失業した秘密捜査官のシモンズが、米政府の陰謀を告発するサイトの運営者として現れ、「ダークナイト」のバットマンのように追われる身となるサムを助けて活躍。扮するジョン・タトゥーロの怪演と、陰謀サスペンスを裏返した手口で楽しませてくれる。
ただ、興味深い米政府内の対立やサムの苦境、遺跡の謎解きに深みはない。トランスフォーマーの動きが早過ぎ、流麗な変形やバトルの細部をじっくり味わえないのも残念だ。
(山口直樹)