劇場公開日 2008年4月12日

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つぐない : インタビュー

2008年4月8日更新

現代文学を代表するブッカー賞作家イアン・マキューアンの最高傑作として名高い世界的ベストセラー「贖罪」(新潮社刊)を「プライドと偏見」のジョー・ライト監督と主演キーラ・ナイトレイのコンビで映画化した「つぐない」。先の第80回アカデミー賞で7部門にノミネートされた本作についてジョー・ライト監督に話を聞いた。(編集部)

ジョー・ライト監督インタビュー
「原作を読んだ時に頭の中で起きた出来事に、忠実であろうと努めたんだ」

現代文学を代表する作家イアン・マキューアンの傑作小説を見事に映画化
現代文学を代表する作家イアン・マキューアンの傑作小説を見事に映画化

本作の原作は「贖罪」のほか、「イノセント」「アムステルダム」「愛の続き」といった傑作小説で知られるイアン・マキューアンによるもの。マキューアンの小説にはある種の辛辣さ、残酷さがつきものだが、監督自身も原作の持つ衝撃的で残酷な部分に惹かれたとか。

明日の映画界を背負う逸材 ジョー・ライト監督
明日の映画界を背負う逸材 ジョー・ライト監督

「僕はこの種の残虐さと衝撃が大好きなんだよ。何もかもがすごく切なくて、真の困難に襲われる。僕らはこうしたことを、映画の色合いにも出そうと試みた。カッティング・スタイル、演技スタイルなど、全てにおいてね。僕はマキューアンが生み出したストーリーを映画として、観客に味わって欲しいと思ったんだよ」

その名作の誉れ高い原作小説を脚色するにあたっては、脚本家クリストファー・ハンプトンとともに、原作をゼロから考え直して、シーンや台詞を作っていったという。

「僕が原作を読んだ時に頭の中で起きた出来事に、できるだけ忠実であろうと努めた。まず第一に、本は幻想だ。そこには何もない。ページ上にあるのは、大量のシンボルで、全ては、読者の頭の中にこそ起こるんだ。そうとすれば、映画もまた幻想だよ。1秒に24フレームある、その1枚1枚が静止している。時間の流れは、僕らの頭の中で創られる残像だ。映画は頭の中で創られるし、本も頭の中で創られる。それで、僕は原作を読んだ時、頭の中に起きた内容を脚色したんだ。幻想から幻想を創ったっていう感じだね」

ダンケルク海岸における5分半の長回し撮影に注目!
ダンケルク海岸における5分半の長回し撮影に注目!

1930年代の世界を再現する本作において、重要な役割を果たしたのがロケ撮影。特に前半のメインステージとなるタリス家の豪邸を撮影したストークセイ・コートや、ステディカムを使っての約5分半に渡る長回し撮影が印象的なダンケルク海岸のシーンについては大満足だそうだ。

「タリス家を撮影したストークセイ・コートは、360度全てが、まるで、(『プライドと偏見』の)ベネット家を撮影した、グルームブリッジ(=英国の有名な庭園)のようだった。何カ所にもロケ地を分散するつもりはなかったから、その何軒かある屋敷の中から僕らは1軒を選び、そこで5週間をスタッフ・キャストで一緒に過ごしたんだ。同じ家、同じ庭。そこに全てがある。自由に動き回る感覚が身についたし、お互いをとてもよく知ることが出来てチームが団結したんだ」

大人の女性になったキーラ
大人の女性になったキーラ

「ダンケルクの撮影も素晴らしいチームプレイだった。1日中リハーサルを重ね、構築した結果、2000人のエキストラの俳優が、僕らがやろうとしていること、目指したことに積極的に関わり、実現してくれた。結果、モンタージュ写真の連続を超えた、舞台作品のようになったんだ」

そして、本作を語る上で忘れてならないのはキーラ・ナイトレイ、ジェームズ・マカボイ、シアーシャ・ローナンらの演技だが、意外なことに、当初キーラはキャストから外していたという。

「最初、セシリア役を誰にするか考えていた段階では、キーラは若すぎると思っていた。『プライドと偏見』でよく知っていたから、彼女はある意味少女っぽくって、あの映画にはぴったりだと思えたけど、セシリアはもっと洗練されていて、よりセクシーで、官能的で、負の部分を沢山持っていると考えていたんだ。そんな時僕らが、あるパーティーに出席していたんだ。そこにキーラが入ってきた。その時、僕らは彼女が大人の女性になったことに気づいたんだ。もしかしたら、この映画は彼女の人生の全く新しい面を捉えた最初の映画かもしれないね」

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