ダージリン急行のレビュー・感想・評価
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見ていて心地良い映画
自分たちの人生のままならなさや、色んなしがらみから逃げ出せない弱さがありながら、終始ゆったりとした緩い笑いと気安さがあって、不思議な空気に包まれた心地良い映画でした。
「物事が解決していく」というよりも、「物事に余裕と柔軟さをもてる」という結末にも、すとんと心に落ち着きます。
人間的成長というのは、こういうことなのかなぁと思わされました。
登場人物の誰も彼も少し癖のあるキャラクターで、それに惹かれるところも多分にあります。
キャラ性とインドの旅情風景が見事にマッチしていて、その土地に来て去るというそれだけの一連行動が深みをましていきます。
どこが良い、あれが素敵、とあげていくと切りがないけれど、とにかく「良い物を見た」と確信できる作品です。
大きな満足感を得られました。
正しい正しい映画
細かい技術とか色々あるのだろうけど、そういうことを考える以前に、何より正しい映画という気がする。
何が正しいのか分からないけど、何より映画を観たという気持ちを確信させてくれる。この正しさを感じさせてくれる映画は、案外、少ないように思う。
最初と最後のスローモーションで、なんでか分からないけど、泣けてくるよ。
インド行きたい!旅行したくなる~
旅行したくなる映画です。
そして、この時のエイドリアンブロディが凄くカッコいいですね~コレを観て好きになりました。
初めは仲が良いんだか悪いのかよく分からない兄弟なんですが、のほほんとした気分になる面白い映画です。
音楽がまた良い!あぁ、インド行ってみたくなった。
トントントンと軽く心をノックする作品です
2007年アメリカ映画。91分。今年5本目の作品。てっきりイギリス映画かと思っていたらアメリカ映画だったインドを舞台にした「心の旅路」物語でございます。
内容は;
1、父の死をきっかけにそれまで疎遠になっていた3兄弟が、長男の呼びかけでインドのダージリン急行に集結する。
2、列車に乗って長男が明かした旅の目的とは、インドのお寺にいる彼らの母親に会いにいくことと、兄弟同士の関係を修復すること。
3、旅路にアクシデントが続発し、3兄弟の旅に黄色信号が灯る。
といった按配でございます。
ある意味、アート性があるといってもいいほどに癖のないタッチで映画は実に淡々と進行していきます。観ていて心の琴線に触れることがほとんどなく、観終わったあとも言いたいことは伝わったが感動を得られるのが難しいほどにあっさりさっぱりとしています。
そして本作の魅力とは、これだけパッションがない作品なのに・・・・・・どういうわけか心に残っているのです。巨額の製作費をかけて、これでもかと特撮映像を見せつけられたのに、次の日なにも覚えていない作品とは全く逆の感覚。
最後に列車を走って追いかけ、そしてなんとか乗りこむ3兄弟の映像がとても好き。そのシーンを観ると、なんというか思わず微笑んでしまっていて、1週間たっても思い出すことのできる爽やかな映像でした。
エイドリアン・ブロディは魅力的な俳優さんだね~。
我が線路を往くアンダーソン
相変わらずこの監督らしい演出・音楽・登場人物。一見だけではさほど面白いと感じないんだが、家で何回か見ると味が出てくるんだ…だから劇場で観た後の自分の感想は自分でもアテにならんのです。
アンジェリカ・ヒューストンのお母さんは滑っているが、ラストの汽車への疾走は心地よく全てオール・ライトな後味。
『ホテル・シェヴァリエ』は意味わからんかった。意味不明故にアンダーソンか。
今年一番の映画になるかも
あーーーーーーーーーーーー!
なんてかっこいいオープニングなの!?
これを観ただけで、もう十分。席を立ってもいいくらいだった。
そんな象徴的な始まりは、起承転結を経て再び、
あーーーーーーーーーーーー!
なんてかっこいいエンディングなの!?
と、締めくくられる。
ルイ・ヴィトンの特注バッグ&スーツケースを贅沢に使って。
それでも壊れないのだろうな(スーツケース)。
スタイリッシュなCMを見ている気分にもなる。
やっぱりスーツもヴィトンかな?
じゃぁ、あのパジャマも?
その使い方、脱帽です。参りました。
LVMHの宣伝ムービー的なところもあるが
わりとわかりやすいロードムービー。
何も考えずにふらっと入って観るには
ちょうどよい。
小ネタやインドらしい色使いの事物も盛り込まれてて
画面は飽きない。
ナタリーポートマンが出てるのがなんだか不思議。
列車は行くよ,迷いを載せて
ウディ・アレンが掘り当てた「軟弱なインテリ都会人の悩み多き人生」という鉱脈の採掘人に名乗りを上げた,才人ウェス・アンダーソンの最新作。
「ザ・ロイヤル・テネンバウムズ」,「ライフ・アクアティック」の2本と同様に,すかした案配も,情けなさの度合いも,しみじみの加減も,じつにしっくりとくる。
世界は小さいが,描きたいものとそのアプローチがくっきりと見えているクリエイターの仕事は,実に心地よい。
これまでと同様,基本的なモチーフは「家族」。今回は父の死に際して葬儀に参列しなかった母を訪ねて,3兄弟がインドを旅する。セクシーなアテンダントや毒蛇,ドイツ人の旅行客に行く手を阻まれ,8歳児レヴェルの兄弟喧嘩を繰り返しながらも,家族だけが持つ独特の温度が,それぞれの悩みを少しずつほぐしていく様子が,インドの大地との対比でちんまりと浮かび上がる。
全編を通じてそこはかとない笑いが漂う中で,至る所に「死の影」が顔を覗かせるのもアンダーソン作品らしい。父の死に始まり,長男の事故,途中で遭遇する子供の死,母の働く場所でのトラ騒動等々。
これらは全て,山上で石を積む儀式によって象徴的に弔われたと思わされるのだが,ラスト,3人が父の形見であるスーツケースを放り投げながら列車に乗り込むハイスピードのワンカットによって,そんな思い込みはひっくり返される。得体の知れない感情と現実の間に横たわる溝に,丸太を切り倒して架橋するような演出には,前作「ライフ・アクアティック」の船体輪切りのクレーンショットと同様に,ひ弱なインテリの底力が脈打っている。
3兄弟を演じる若手3人もすばらしいが,やはり最後に出て来てアップのショット1発でさらってしまうアンジェリカ・ヒューストンの存在感は凄い。子供達に「どうしてお父さんの葬式に来てくれなかったの?」と問われ,「出たくなかったから」という台詞で納得させてしまうのは,この人の貫禄ならではだろう。
そこはかとない旅情を漂わせながらも,「あぁ,インドに行ってみたいなぁ」とは思わせないところが,達人の証か。
「大地のうた」3部作で知られるインド映画の巨匠,サタジット・レイの作品で使われた曲をサンプリングしたという音楽と,ザ・バンドの「南十字星」のジャケットにそっくりな構図の焚火のシーンが美しい。
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