劇場公開日 2008年3月15日

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「ホラー映画でもないのにやたらと怖い」ノーカントリー かみぃさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0ホラー映画でもないのにやたらと怖い

2009年10月16日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

怖い

自ブログより抜粋で。
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 全編淡々と人が殺されていき、なんかもう、ホラー映画でもないのにやたらと怖い。
 後半に至っては、殺されるところや死体はスクリーンに映らないのに、「ああきっとこいつも殺されたんだな」って伝わる演出が巧く、余計に恐怖心を煽る。

 救いのない映画だという前情報を知っていたので覚悟して観られたことがある意味救いだったが、ハビエル・バルデム演じる殺し屋シガーの姿が脳裏に焼き付いて後々まで尾を引く。
 それは彼の比類なき冷酷さももちろんだが、ラストで見せるそれまでとは裏腹な妙に人間味を帯びた退場の仕方が余計に印象深い。

 かなりやりきれない映画なんだが、時代設定を1980年代にしているせいで、じゃあ今は幸せな時代なのかと自問したとき、いや今の現実はもっとやりきれない世の中だよなあと思わせられる二重のやりきれなさに襲われる。
 重いというか硬派というか、一筋縄でいかない、それでいてクールな娯楽性でも満足できる良作。ただ、観るなら心身ともにゆとりがあるときにどうぞ。

かみぃ