「寿命が4年と言われてしまったら、AIだって怒りを覚えて製造者に反抗するか」ブレードランナー ファイナル・カット Kazu Annさんの映画レビュー(感想・評価)
寿命が4年と言われてしまったら、AIだって怒りを覚えて製造者に反抗するか
初公開から25年を迎えた2007年に、リドリー・スコット監督自らが再編集とデジタル修正を施してよみがえらせたファイナルカット版 (元は、1982年製作/116分/アメリカ・香港合作)。2007年製作(117分、G)アメリカ映画。原題:Blade Runner: The Final Cut、配給:ワーナー・ブラザース映画、日本初公開:2007年11月17日。
有名映画では有るがシリーズ全体含めて初めての鑑賞で、原作も読んでいない。AIが実用化されてきている今見てみると、レプリカントと呼ばれてるロボットが意思を持ち、人間に反抗することにリアリティを感じる部分も有り、ドキッとさせられた。またこの映画が40年以上前の1982年に作られていることに、驚きも感じた。
レプリカントであるルトガー・ハウアーが4年の寿命を伸ばせないかと、製作者の天才科学者の元に訪れ何とかならないかと詰問する。そして、それが無理と言われて科学者を殺してしまうことに、一定のリアリティを感じてしまった。意識とか感情に関する科学は、現在でも殆どまだわかっていない現状の様なので、どこかの段階でAIがそれを有していて不思議はない訳で。
「強力わかもと」ネオンで微笑む芸者ガール、日本語の看板/ネオンサイン/壁面の落書きの氾濫(美術のシド・ミードの仕事らしい)、デッカードが屋台で日本語を話す店主にメニューを注文する等、米国が将来日本だらけになってしまうことを悲観的に想像してたことが、かいま見えて驚かされた。
若いハリソン・フォードが主人公を演じているが、共感もしにくくアンチヒーロー的。SF映画といいながら、結局本質は一匹狼のダークヒーロー的アクション映画かと思って見ていた。「エイリアン」と比べると斬新さでは、個人的には少し物足りないとも。
ただショーン・ヤング演ずる美しいレプリカント・レーチェルは、クラシック的な美貌と感情表現に乏しい表情が役柄にピタリとハマっていて、強く印象に残った。
監督リドリー・スコット、製作マイケル・ディーリー、製作総指揮ハンプトン・ファンチャー ブライアン・ケリー、原作フィリップ・K・ディック、脚本ハンプトン・ファン、チャー デビッド・ウェッブ・ピープルズ、撮影ジョーダン・クローネンウェス、美術シド・ミード、音楽バンゲリス、特撮ダグラス・トランブル
出演
ハリソン・フォードリック・デッカード、ルトガー・ハウアーロイ・バティー、ショーン・ヤングレーチェル、ダリル・ハンナプリス、エドワード・ジェームズ・オルモスガフ、ジョアンナ・キャシディゾーラ、ブライオン・ジェームズリオン・コワルスキー、M・エメット・ウォルシュブライアント、ウィリアム・サンダーソンJ・F・セバスチャン、ジョー・ターケルエルドン・タイレル、ジェームズ・ホンハンニバル・チュウ。