ブレイキング・ニュースのレビュー・感想・評価
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【香港警察と強盗団の、メディアを巻き込んだ激しい銃撃戦や駆け引きを描いた作品。今作は、ジョニー・トー監督の”強盗しても死ぬだけだよ”と言う皮肉を含んだメッセージ作品なのである。】
■香港の市街地で強盗団と警察との壮絶な銃撃戦が発生する。だが、激しい攻防の末に、チョン警部補(ニック・チョン)は、ユアン(リッチー・レン)率いる犯人グループを捕り逃してしまう。しかも、テレビ局のカメラによってその一部始終が報道されてしまい、警察は市民から批判を浴びてしまう。
そこで抜擢されたレベッカ警視(ケリー・チャン)は、強盗団を追い詰める様をメディアに流す作戦を取る。
◆感想<Caution!内容に触れています。>
・ジョニー・トー監督の作品は、数作観
て来たが激しい銃撃戦と、それに反して細やかな登場人物の心の機微を捉えるシーンとの対比が印象的である。
・今作でも冒頭の銃撃戦からの、ユアンたちが一般市民の家庭に逃げ込み、その家族に食事を作りながらそれぞれの夢を語るシーンなどが挟まれる。
・一番、キャラが立っているのは美人だが、ムッチャ気の強そうなケリー・チャン演じるレベッカ警部と、リッチー・レン演じる強盗団の首領ユアンとの画面での会話シーンである。
<だが、結局強盗団は全員射殺され、レベッカ警部はTVで命を張ったチョンたちをヒーローとして祭り上げるのである。
そして、直ぐに全てが報道されていたために、模倣する輩が出るが、アッサリと警察に射殺されるのである。
今作は、ジョニー・トー監督の”強盗しても死ぬだけだよ”と言うメッセージ作品なのである。>
物語が映像に従属する世界
ジョニー・トーの世界ではマクロな整合性があまり大きな意味を持たない。それよりも、緊張が持続すること、矢継ぎ早に出来事が展開していくこと、要するにミクロな「流れ」が重要だ。
銃を構えた二つの集団が相見えるとき、カメラは瞬きを忘れる。登場人物たちが織り成す無数の動線を追いかけ、遠ざかり、また追いかける。
そこに駆動しているのは、長回しがしたい、という作家的欲望ではない。こんな面白い出来事を前に瞬きなどしている暇はない、というバカバカしいほど単純で前のめりな熱中だ。それゆえ、7分にも及ぶ冒頭のショットは非常に技巧的でありながらシネフィル的な衒学とは一線を画している。
あるいは画面がいきおい2つにスプリットされる。片方には犯人の投げ捨てた手榴弾が、もう片方には簀巻きの人質から零れ落ちた手榴弾が映し出される。
画面分割というとソフィア・コッポラ『ヴァージン・スーサイズ』やギャスパー・ノエ『ルクス・エテルナ』といった賢しらなシネアストの賢しらな作品ばかりが想起されるが、本作の画面分割には単に「情報を同時に提示できる」という機能性に根ざした目論見しかない。
そして犯人の投げ捨てた手榴弾は思い切り爆発する。一方で人質の手榴弾は不発。なぜ?と問う間もなくカットは切り替わり、事態は二転三転していく。整合性のためにいちいち立ち止まるような思慮深さ、あるいは言い訳がましさとジョニー・トーは全く無縁だ。映像が物語に従属するのではない。物語が映像に従属するのだ。
常識的に考えたら意味不明な行動や展開の数々をむしろ万雷の拍手で歓迎しているとき、私の脳裏に浮かんでいたのはブルース・リーの遺作『死亡遊戯』だった。
使えるものは何でも使う。観ていて視覚的に面白いかどうかだけを判断基準に据える。こうしたジョニー・トーの製作態度はブルース・リーやジャッキー・チェンの頃より連綿と続く70年代香港映画の精神性をしっかりと受け継いでいるといえる。
写真がハラハラと舞い落ちる終盤のシーンは後の『エグザイル/絆』にも踏襲される。こういうベタベタな演出を臆面もなく連発できるあたりがジョニー・トーの恐ろしいところだ。凝り固まったシネフィル的「映画史」を脱臼させることができる者がいるとすれば、それは彼をおいて他にいない。
香港警察銃撃戦
現金輸送車襲撃犯のアジトに張り込んだ地元の刑事と犯人たちの銃撃戦、犯人たちに警察の車を奪われ逃げられた顛末がマスコミで流され無能警察の汚名返上に組織犯罪課が乗り出します、逮捕の模様をショーもどきにしてマスコミに流す名誉挽回策を提案したレベッカが指揮官になり大掛かりな捜査が始まります。どういう訳かアジトはあっさり発見されアパートに警官隊突撃するも住民避難の混乱で膠着状態・・。人質に子供を巻き込むあたりは緊迫感を増す常套手段でしょうが頂けません、まあ、殺しはせず多少コミカルに描いていたので良しとしましょう。それにしても手こずり過ぎでしょう。結末は観てのお楽しみということで・・。まあ、手榴弾迄豊富に持っているギャングには軍の出動の方が適任に思えますが随所に銃撃戦が出てくるのでポリスアクションものとしては上出来でしょう。
ジョニー・トー節‼️
ジョニー・トーの極上のエンターテイメント
シネマスコーレ(名古屋です‼︎)で『ジョニー・トー 漢の絆セレクション 』の4作品中3作品を観た。
2本目は2004年の「ブレイキング・ニュース」。
冒頭いきなり7分におよぶワンシーンワンカットの銃撃戦に度肝を抜かれる🫢
そう、街中で強盗団と銃撃戦になったうえ取り逃がした香港警察。偶然居合わせたテレビカメラマンが撮った映像によりバッシングを受けることに。
目には目を‼︎?
信頼回復に向け新任の女性指揮官(ケリー・チャン‼︎)が発案したメディア対策は犯人逮捕のライブ映像をテレビ放送するというもの。
まあ、そうは問屋が卸さないわけで、最後までハラハラドキドキする展開に。
ジョニー・トー、やっぱ上手いなぁ。極上のエンターテイメントに仕上げる匠の技は流石だ👍
銀行強盗団のアジトと張り込みの刑事、そして巡回中の巡査とのやりと...
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