インサイド・ディープ・スロート

劇場公開日:

解説

伝説のポルノ・フィルム「ディープ・スロート」がアメリカ全土に巻き起こした波紋とその後に及ぼした影響を、関係者100以上のインタビューと当時の貴重な映像を基に検証していくドキュメンタリー映画。セックスの概念を変えてしまうほどの衝撃をもたらし、政界をも巻き込む一大騒動にまで発展していく過程と、この映画に関わった多くの人々のその後の数奇な運命を明らかにしていく。監督は「パーティ★モンスター」のフェントン・ベイリー&ランディ・バルバート。

2005年製作/90分/アメリカ
原題:Inside Deep Throat
配給:コムストック=トルネード・フィルム
劇場公開日:2005年11月12日

ストーリー

わずか6日で撮影され、1972年にアメリカで公開された1本のハードコア・ポルノ映画が社会現象になり、老若男女が劇場に駆けつけ、セックスの概念、そして憲法まで変えてしまった。そして映画のスタッフ、キャストも歴史の波に翻弄されていく…。その映画は、「ディープ・スロート」。名前は知っているが観たことはない人でも、このタイトルは現在でもセックス時のテクニックとして、最近ではウォーターゲート事件の情報ソースの匿名“ディープ・スロート”が名乗り上げてニュースになったことから知っているだろう。タイトル通り「喉の奥深く」に男性のモノを咥え込むテクニックだが、映画自体は「不感症の女性が医者に診察してもらったら、クリトリスが喉にあった」というコンセプトのコメディだ。ジェラルド・ダミアーノ監督本人が認めているように「決して出来の良い作品」ではない。60年代後半から続く性解放や反体制の流れで作られた1本で、現在、ホラーの分野で主に活躍するウェス・クレイヴン監督も、その当時のポルノ製作に携わっており、「当時のポルノ映画にはクリエイティブな人々が集まる気運があった」と映画の中で証言している。この映画を今見ると興味深い点として、性の満足感を求める女性を描くことで、男女同権及び女性の自立として捉えることもできるストーリーになっていることだ。上記の珍奇なコンセプトが受け、25,000ドルの製作費で現在までに6億ドル以上の興収をあげる作品になったが、この大ヒットが保守層の多大な反発を招く。「このような不道徳な映画が上映されるのはけしからん」というわけで裁判になり、猥褻さよりも「表現の自由」が取り沙汰されるようになりニューヨークタイムズが擁護の大きなコラムを掲載したことから、映画は保守層の思惑と違ってより大ヒットを記録。司法取引に応じたダミアーノ監督や主演女優のリンダ・ラヴレイスは難を逃れたが、主演のハリー・リームズのみが裁判の対象になり(“映画出演”だけで実刑判決が下るのは全米初の事件)、市民解放団体やジャック・ニコルソンなどのスターが支援を表明する。だが結果は敗訴。リームズは、元々シェイクスピア劇などの舞台役者で本作には撮影助手で参加のはずが、代役で主演したことからポルノ業界でのキャリアを積んでいくことになる。80年代半ばにはアル中になり自己破産し、微罪で留置所に入ったときに人生のやり直すことを深く考え、現在はユタ州で不動産セールスマンして成功している。ラヴレイスに関しては、本作で時代のアイコン的存在となるが、後に当時の夫に洗脳されポルノ出演させられていたと告白し、反ポルノ運動に身を投じていくものの、2002年に交通事故で亡くなっている。70年代前半は一般映画と肩を並べる可能性があったハードコア・ポルノが、創造性よりも商品としての価値を重んじる産業になっていく様子も映し出していく。このように「ディープ・ストート」は作品の完成度ではなく、社会的な意味でも歴史に名を残したのだ。

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