マゴニア
劇場公開日:2005年3月19日
解説
父と息子の物語を縦軸に、父が語るエキゾチックな三篇の話を横軸にストーリーが紡がれるオムニバス映画。日常にぽっかりと見つけたオアシスのような、大人のためのファンタジー。オランダの俊英イネケ・スミツ監督が、女性ならではのリアルな眼差しと豊かな想像力でユニークな世界を創り上げる。
2001年製作/112分/オランダ
原題または英題:Magonia
配給:東北新社
劇場公開日:2005年3月19日
ストーリー
果てしなくのびた地平線、透き通る海に囲まれた美しい島に、父(ディルク・ローフトホーフト)に会うために毎週そこを訪れる少年(ウィレム・フォーフト)。船乗りだった父は、愛する息子に、天空にあるといわれる架空の国“マゴニア”について、優しく語り聞かせる。少年はその世界に魅了され、父と子のイマジネーションは空高く舞い上がっていくかに思えたが…。<1つ目の話 師の歌を奪った青年>。モスクやミナレットが並ぶイスラムの街。大衆浴場の屋根の上を、白い鳥が飛んでいく。その先には、美しい女性がたたずみ、教会の塔に立つ青年(ラムゼイ・ナスル)を見上げている。青年は毎朝、年老いた師(ノダル・ムガロブリシヴィリ)を背負い、塔に登る。かつて美声で人々を魅了して祈祷に呼んだ師の声は、もはや信仰を失いつつある人々には届かない。青年は、残り少ない命の炎を祈祷にかける師を崇拝する一方で、師に仕える女性(ナト・ムルバニゼ)に思慕を寄せる。美しい女性もまた、青年に想いを寄せていた。師を案じる彼女のために、そして声の出ない師のために、青年はある日、拡声器を借りる。しかし、師の声はかつての美声のおもかげのないがなり声だった。思い余った青年は、マイクをとり、師に代わって祈祷の詩を唱う。その美声に人々は魅了され、教会は祈祷に集まった人でいっぱいになるが……。<2つ目の話 砂漠の孤島に訪れた夫婦>。砂漠の中にぽつんと浮かぶ小さな家。黒人の青年(テオフィル・ソウイエ)と老いた父親(アダマ・クヤテ)が、その家に住んでいる。四方を砂に囲まれた孤島のような砂漠で、見渡す限りほかに家はない。そこへ、車の故障した白人の夫婦が助けを求めて訪れる。老人は毎日、太陽の陽射しで石を熱して家に持ち帰り、その石で湯を沸かしていた。その様子を見た妻(リンダ・ファン・ダイク)は、老人の行為を非合理と感じる一方で、強く惹かれる。しかし、夫の反応は鈍かった。外交の夫とともに旅をすることで、出逢った頃の情熱を取り戻そうとする妻。しかし、その生活にも空しさと飽きを感じていた。その夜、外でひとりやるせなく煙草を吸う彼女を見て、青年はそっと寄り添う……。<3つ目の話 恋人の迎えを待つ女>。風が雨を運ぶ嵐の港で、今日もヨセ(アンチュ・ドゥ・ブック)はラムジーを待つ。嵐が運んできた男の中の男、両腕に東と西を抱くビル・ラムジー、彼は船乗りだ。彼はヨセに言った「きっと迎えにくる」と。それは港の誰もが知っていて、誰もがその男の出現を待っていた。ヨセに想いを寄せる若き設計士(ヒールト・フーナーツ)以外は。彼はヨセのために船を設計し、彼女を港から、この世界から連れ出すことを誓う。しかし、その想いはヨセには届くはずがなかった。港に嵐が来る。海が吼え、風が吹きすさぶ。そしてついに、ビルが現れる。一夜をともにするヨセとラムジー。その夜、設計士はひとり、町を出て行くのだった。
スタッフ・キャスト
- 監督
- イネケ・スミツ
- 脚本
- アルチュール・ジャピン
- 原作
- アルチュール・ジャピン
- 製作
- ヴァレリー・スハイト
- 撮影
- ピオトル・ククラ
- 美術
- ビリー・レリフェルト
- グーガ・コテタシヴィリ
- 音楽
- ジオ・ツィンツァーゼ
- 編集
- レネ・ヴィフマン
- 衣装デザイン
- エレン・レンズ