キャロルの初恋

劇場公開日:

解説

ニューヨーク生まれの12歳の少女が、内戦時代にスペインの田舎で過ごした1年間を詩情豊かに描いた物語。主人公の少女には、スペインの新星クララ・ラゴ。そのボーイフレンドとなる少年をフアン・ホセ・バジェスタが演じている。ペドロ・アルモドヴァル監督の作品でおなじみの面々が、脇を固めている。 監督は「時間切れの愛」のイマノル・ウリベ。

2002年製作/104分/スペイン
原題または英題:El Viaje de Carol
配給:東京テアトル、ポニーキャニオン
劇場公開日:2005年1月22日

ストーリー

1938年の春、スペイン人の母とアメリカ人の父を持つ12歳の少女キャロル(クララ・ラゴ)は、母親アウローラ(マリア・バランコ)に連れられて、母の故郷であるスペイン北部の小さな村にやって来る。駅では祖父アマリオ(アルバロ・デ・ルナ)が、ふたりを温かく迎えてくれた。母の生まれ育った屋敷へ馬車で向かう途中、キャロルは地元の腕白な少年トミーチェ(フアン・ホセ・バジェスタ)と、その遊び仲間カグリオ(アンドレス・デ・ラ・クス)とクロバソ(ダニエル・レトゥエルト)の3人と出会う。アメリカ育ちらしく、ボーイッシュで勝気なキャロルは、トミーチェと口論したあげく、彼に帽子を取られてしまう。キャロルは村の中心にある大きな屋敷に、母とふたりで暮らすことになった。昨年祖母が亡くなった後、一人きりの寂しさから家を出た祖父は、今では友人の多い温泉地で気ままに暮らしている。屋敷のすぐ近所には、母のかつての恩師であり親友でもあるマルッハ(ロサ・マリア・サルダ)も住んでいて心強い。スペイン内戦は続いているものの、この村は人民戦線派の地域になっていて、表向きはのどかな日常生活がふつうに営まれていた。母アウローラとキャロルの帰郷を祝う晩餐会が、親族の間で催される。キャロルが初めて会う、母の妹夫婦や従姉妹たちも出席していた。テーブルでの大人たちの会話はもっぱらスペイン内戦に関することで、反乱軍フランコ派の男性が共和派の母や祖父を挑発するが、ふたりはまともにとりあわない。キャロルの父ロバート(ベン・テンプル)は、ファシストである反乱軍から共和国政府を守るため、義勇兵に参加し、国際旅団のパイロットとして参戦していたのだ。実はアウローラは病に冒され余命いくばくもなく、ある日庭のブランコで静かに息を引きとった母の姿を、キャロルは発見する。葬式の後、叔母の家に預けられることになったキャロル。いい子にいる約束の代わりに、「パパにはママの死を知らせないで」とキャロルは祖父にお願いをする。マルッハに事情を話し、代筆してもらった母から父宛ての手紙を、今度はトミーチェに託して闇のルートで届けてもらうようにキャロルは頼む。ケンカばかりしていたトミーチェとも今ではすっかり仲良くなり、お互いに恋心を抱き始めていた。貧しい母子家庭のトミーチェは、一見腕白だけれど、母親を手伝い助けている心優しい少年なのだった。自由奔放なアウローラに似たキャロルを叔母は厳しくしつけようとするが、キャロルはかえって反発し、祖父に元の屋敷で一緒に暮らして暮れるように懇願する。理解者の祖父とトミーチェをはじめ仲間たちと過ごす楽しい時間…。異国での生活に少しずつなじんでくるキャロルに、誕生日がおとずれる。親戚の子供たちを屋敷に招き、バースデーパーティーが開かれる。トミーチェたち3人組も、着慣れないスーツを着て緊張しながらキャロルの家を訪れる。キャロルがケーキのキャンドルの炎を吹き消そうとしたその瞬間、爆音が聞こえ、父が乗った飛行機が上空に現れる。反乱軍に見つかる危険を承知で、父は娘の誕生日を祝いにきたのだ。パラシュートをつけて空から地上に届いたプレゼントの箱には、飛行機の模型と手紙が入っていた。1939年3月28日、人民戦線派が支える首都マドリードが、反乱軍によって陥落する。内戦の終了は、ファシズムの支配によってのどかな村の雰囲気が一変することを意味していた。

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