将軍暁に死す
解説
「真珠の首飾」「オペラ・ハット」のゲイリー・クーパーと、「死刑か無罪か」「世界は動く」のCarrollが主演する映画で、「パリは夜もすがら」「生みは桃色」のルイス・マイルストーンが監督したもの。原作はチャールズ・G・ブース作の小説で米国新進劇作家クリフォード・オデッツが脚色に当たった。撮影は「十字軍」「薔薇はなぜ紅い」のヴィクター・ミルナーの担当。音楽は作曲家ワーナー・ジャンセンが編曲し、ポリス・モロスが演奏指揮に任じた。助演は「女罠」「ベンガルの槍騎兵」のエイキム・タミロフ、「キャラバン」のダッドリー・ディグス、「姫君海を渡る」のポーター・ホール及びウィリアム・フローリー、「男の敵」のJ・M・ケリガンという顔ぶれである。
1936年製作/アメリカ
原題または英題:The General Died at Dawn
ストーリー
14歳の時孤児院を逃走した米国人オハラは、新聞売り子や拳闘家をして浮き世の辛苦をなめ、やがて飛行家になって中国に渡った。その頃中国にヤン将軍という猛将がいて、12州を席捲し、重税を課して民家を苦しめていた。ヤン将軍に反対する人々はひそかに軍資金を集め、オハラに託して上海から武器を買うことになった。危険を避けるため、オハラは飛行機で上海に行くことになっていたが、途中でジュディという米国娘と知り、彼女の後を追って上海行きの汽車に乗った。ジュディの父ペリイはヤンのためにオハラから金を奪う役目を引き受け、ジュディは中毒で余命いくばくもない父のために、オハラを誘惑して汽車に乗せたのだった。2人きりの夜汽車の中で、ジュディはオハラに恋を感じたが、もう遅かった。ヤン将軍は闇に乗じて汽車を止め、オハラの金を奪った。ペリイはジュディと共に金を預かって上海に着いたが、ヤンのために武器を買う様子がなかった。彼はその金を着服して米国へ帰り、故郷で死のうと思ったのである。ジュディはヤンの人質となったオハラの身を案じて早く武器を買う事を父にすすめたがペリイは娘を欺いて米国行きの汽船の切符を買った。リーチという無頼漢がペリイの秘密を悟り、宿舎のマンション・ホテルに押しかけてペリイ親娘を脅迫した。マンション・ホテルはヤン将軍に反対する人々の本拠で、一党の領袖ウーがオハラの到着を待ち侘びていた。ヤンの人質となりジャンクで上海に着いたオハラはすきを伺って逃走し、マンション・ホテルに駆け付けたが以外にもジュディの姿を見出だし、金の在所を詰問した。隣室にいたベリイは隠れようとしてオハラに発見され、2人の間にピストルの火花が散ってペリイはオハラに射殺された。しかしまだリーチという伏兵があった。リーチはオハラとジュディのすきを襲い、ウーを呼び寄せてペリイが隠した金を探させようとしたが、ウーの機知で形勢はかえってリーチに不利となった。ところがそこへヤン将軍が現れ、オハラをはじめジュディ、ウー、リーチの他、武器の密輸入商ブライトンまでジャンクに連れて行かれた。ヤンは一人一人拷問して朝までに金の在所を白状させようしいう計画だった。しかし金を隠した場所は死んだペリイしか知らなかったのである。酔い潰れて船室に眠っていたブライトンは夜霧に濡れて目を覚まし、積んであったペリイのトランクから酒を探そうとして問題の金がトランクの蓋の裏に隠してあることを発見した。たちまち金の争奪が起こり、物音に船室に来たヤンはブライトンのナイフに刺された。すでに助からぬと知ったヤンはオハラ以下を殺そうとしたが、オハラは熱弁を振るってヤンを説き、ヤン将軍の最後を世に伝えるためには誰か残らねばならぬと力説し、ヤンにオハラとジュディとウーを助ける事を約束させた。ヤン将軍は互いに射殺し合って殉死する部下の姿を見届けて、悠々死んでいった。
スタッフ・キャスト
- 監督
- ルイス・マイルストン
- 脚色
- クリフォード・オデッツ
- 原作
- チャールズ・G・ブース
- 製作
- ウィリアム・ルバロン
- 撮影
- ビクター・ミルナー
- 音楽
- ウェルナー・ジャンセン
- ボリス・モロス
受賞歴
第9回 アカデミー賞(1937年)
ノミネート
助演男優賞 | エイキム・タミロフ |
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撮影賞 | ビクター・ミルナー |
作曲賞 | ウェルナー・ジャンセン |