恋のページェント

解説

「恋の凱歌」に次ぐマルシーネ・ディートリッヒ主演映画で「ブロンド・ヴィナス」「上海特急」のジョセフ・フォン・スタンバーグが監督したもの。マムエル・コムロフ編集のカテリナ二世の日記を素材として脚色したものでフォン・スタンバーグが脚色に当たった。撮影は「ブロンド・ヴィナス」「勝利の朝」のバート・グレノンの担当である。助演は「若草物語(1933)」のジョン・デイヴィス・ロッジ、「復活(1934)」のサム・ジャッフェ、「ゆりかごの唄」のルイズ・ドレッサー、「クレオパトラ(1934)」のC・オーブリー・スミス、「紅蘭」のルーセルマ・スティーヴンス、「風雲の支那」のギャヴィン・ゴードンその他である。

1934年製作/アメリカ
原題または英題:Pagant of Lovers

ストーリー

2世紀前、プロシャの一隅にソファイア・フレデリカ姫と呼ばれる幼い公爵の令嬢があった。彼女の母ヨハンア公爵夫人は将来姫をどこかの王族嫁にするつもりで厳格に教育した。ソファイアが美しく成人したとき、プロシャのフレデリック大王から彼女をロシアのピーター・フォオドロヴィッチ大公の花嫁にとの申込みが彼女の父オーギュスト公爵の許に届けられた。両親の喜びを見てソファイアも大公妃になる日を楽しく待つ気持ちになった。ロシアからソファイアを出迎えるため、アレキセイ伯爵が訪れてきて女帝からの贈り物を渡し、ソファイアにはピーター大公が世にも立派な貴公子であると告げた。1744年3月15日、無邪気に未来の夢を抱いて、ソファイア姫は母と共にアレキセイ伯爵の率いるコサックに護られてロシアへ出発した。モスコーのクレムリン宮殿に到着したとき、彼女の期待と空想は裏切られた。ピーターは美男ではなく、知的障害者で極度の背曲りであったし、女帝は彼女の宗教を変え、名もキャサリンと改める事を命じ、口激しく彼女の行動に干渉するのであった。国を挙げて喜びの鐘が鳴り響くうちに、キャサリンとピーターの結婚式はカザンの古き寺院においていとも盛大に挙げられ。かくてキャサリンはロシアにおける最も不幸な女帝となる第一歩を踏み出したのである。キャサリンの母は彼女に別れの挨拶をする事すら許されず、女帝の命令でドイツへ帰された。これを知って怒ったキャサリンは女帝にその理由を詰問しようとして、却って女帝に罵られ、女帝の身の回りの世話をさせられる様になった。数カ月後、キャサリンは玉の様な男の子を生んだ。世継ぎの王子の誕生にロシア全土は喜びに溢れたが不幸なキャサリンは未来の統治者たる位置を確保してからは、青春の夢も捨てて権力の把握に心を用い始めた。この時女帝が崩御し、ピーターが即位したが、暴虐無残、国民は塗炭の苦しみを受けた。彼はキャサリンを亡き者とし、恋人のエリザベス伯爵夫人と結婚する計画を立てていた。キャサリンはこの間に軍隊と僧正の援助を受け、自らも女帝の位についた。ピーターは退位し、ここに初めてロシアの国民に朗らかな春が訪れた。その喜びを伝えるべく鐘の音は延々と鳴り渡ったのである。

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スタッフ・キャスト

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映画レビュー

4.5光 と 影

2024年12月13日
Androidアプリから投稿

プロイセンのゾフィー(ディートリッヒ)が16歳で ピョートル大公(後のピョートル3世)と政略結婚させられ エカチェリーナ2世になるまでが描かれる 異国ロシアでは驚くことばかりで ディートリッヒが大きく目を見開いてばかりいるのが おかしいが やがて妖艶な皇后へと変身してゆく 歴史的な細かい考証などは あんまり気にしてないみたいな映画で 宮殿のグロテスクな装飾などにみられる 監督の表現したロシアのイメージが面白かった (迫力あり) 夜の皇帝ことアレクセイ・ラズモフスキーを演じる ロッジは偉丈夫でアレクセイのコサック出身の出自も感じさせた ダイヤモンドをちらつかせているのは 寵臣(愛人)のひとり、グリゴリー・オルロフで 〈オルロフ〉と呼ばれている大きなダイヤモンドを エカチェリーナに献上したことでも有名なのを知った アレクセイ役だけでなく、オルロフ役(ギャビン・ゴードン) ドミトリ役(ジェラルド・フィールディング)なども 端正な俳優が選ばれているが それと対照的な大公役のサム・ジャッフェの怪演にびっくり スタンバーグ監督の構築した世界は面白かったが 亡くなったピョートル3世が ちょっと浮かばれないかも……

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jarinkochie

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