真夏の夜の夢(1936)

解説

シェークスピアの傑作夢幻劇の映画化で、ドイツ劇団第一の演出家といわれたマックス・ラインハルトが映画処女作品として製作したもの。脚色は「夫の日記」のチャールズ・ケニヨンが「最初の接吻」のメエリーマッコール・ジューニアと協力し、監督にはラインハルトを助けて「流行の王様」「暁の砂漠」のウィリアム・ディーターレが当たった。出演者は「シスコ・キッド(1935)」のジェームズ・キャグニー、「ブラウンの千両役者」のジョー・E・ブラウン、「春の夜明け」のディック・パウエル、「最初の接吻」のジーン・ミューア、「水曜日の恋」のヴィクター・ジョリー、「頑張れキャグニー」のオリヴィア・デ・ハヴィランド、ヒュー・ハーバート、アニタ・ルイズ、フランク・マクヒュー、ロス・アレクサンダー、アイアン・ハンター、ミッキー・ルーニー、ヴェリー・ティーズデール等の面々で、撮影は「水曜日の恋」のハル・モーアが主任である。音楽はメンデルスゾーンの原曲をエリック・ウォルフガング・コーンゴールドが編曲し、バレーはブロニスロワ・ニジンスカがニナ・テイラードの協力を得て按舞した。

1936年製作/133分/アメリカ
原題または英題:A Midsummer Night's Dream

ストーリー

アテネの都はわき返る様なにぎわいだ。大公が婚約のヒポリタと共に帰ってこられて、明日は盛大な華燭の典が挙げられるのだ。街中が酔って笑っているのに、美しいハーミヤだけは泣いている。父が選んだデミトリヤスと結婚しなければ、法律通りに死ぬか、終生尼僧となるか、の他はない。で、思い切ってハーミヤは恋仲のライサンダーと2人で魔の森に駆け落ちした。ハーミヤの親友でデミトリヤスに想いを寄せているヘレナは、この事を知らせてデミトリヤスにハーミヤを断念させようと彼に告げる。ところが彼は断念せずかえって2人を追って森にはいる。ヘレナもやむなく追跡する。一方森では妖精の王様オーベロンと女王ティタニヤが仲たがいして、オーベロンは悪戯者の従者パックに旨を含めて女王を懲らしめる事とし、自分は用足しに赴く。そこへ、更に大公の結婚式の余興に芝居をやるアテネの職人達が、織工のボトムを先頭に芝居の稽古をしようと森へやってきた。森の夜は妖精の世界であるのに、人間どもが恋の鞘当てや芝居の稽古をしに来たとは生意気な、とパックは媚薬を用いて、ライサンダーもデミトリヤスもヘレナに恋させてしまう。そして一方ではボトムの頭をろばの頭にして、妖精の女王ティタニヤをボトムに惚れさせる。これで森の中は大騒ぎとなった。妖精達は地霊達が奏する不可思議なメロディに乗って、森中を踊り飛び交う。パックは1人手を打って笑い興じ、人間どもの愚かさに腹を抱える。ところへ、オーベロンが帰ってきて、パックの悪戯が度を過ぎる、と叱りつける。その時分には東の空が明るみ始め、やがて夜があける気配だ。妖精達に日の光は大禁物、戯れ騒いでいた一同はどこかに姿を消してしまう。そして媚薬の呪い解けてライサンダーとハーミヤ、デミトリヤスとヘレナ、とが改めて愛を得る。ボトムの頭も元の人間に返り、職人達の芝居は大好評を博する。大公の結婚式が済むとライサンダー、とハーミヤ、デミトリヤスとヘレナの結婚も大公のお許しを得て挙げられ、四方八方円満の太平業となる。

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スタッフ・キャスト

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受賞歴

第8回 アカデミー賞(1936年)

受賞

撮影賞 ハル・モーア
編集賞 ラルフ・ドーソン

ノミネート

作品賞  
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映画レビュー

3.5赤い靴以前にこのような芸術性の高いバレエ映画が撮られていたことに驚くだろう

2019年3月28日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

衣装、特殊メイク、合成技術は大昔の作品であることを忘れるすばらしさ
ことに妖精のバレエの幻想的なシークエンスはその美しさに感嘆するばかりだ
妖精の王オベロンとその手下の妖精パックのキャラクターの造形も見事で無数の映像作品に引用されている
音楽もメンデルスゾーンの曲を上手く編曲してあり格調高い

ジェームズ・キャグニーはいつもエキセントリックな彼である
米国人のギャングにしか見えないものの、単調ななかで唯一のアクセントになっており、演技も特に魔法が解けた後の演技はわるくない

舞台を映画にするという課題ほ見事に消化されてはいるが、今日の目からすれば映画ならもっと編集室して刈り込む作業が必要に思えてしまう

しかし赤い靴以前にこのような芸術性の高いバレエ映画が撮られていたのだ
驚くばかりだ

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あき240

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