アトランティスのこころのレビュー・感想・評価
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小学生の時、「もしかしたら僕は一生大人になれないかもしれない」と思ったことがある。
大人にあって子供にないもの
それは欲望。
欲は人によって違う。
ドレスでもいいし、派手な車でもいいし、セックス相手でもいい。
で、それを手に入れるために必要なのがお金。
稼ぐ手段のない子供は物欲こそあれ、手に入れることは大人任せになる。
大人になり稼げるようになればモノは簡単に手に入る。
だけどその代償は大きい。子供にあって大人にないモノもある。
原作ではテッドがボニーに渡す本は「蠅の王」だけど、
映画では「失われた地平線」になってる。
蠅の王は子供たちが漂流する話。
失われた地平線はシャングリラって理想郷が出てくる小説。
既に少年時代を失ったテッドが少年であるボニー渡す。
テッドはボニーが遅刻しても怒らない。シャングリラにいるボニーの時間とテッドの時間は等価値じゃないからだ。
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『時間は年老いたペテン師』に騙されるな!って事だ、
男性から見たアメリカ社会の変遷を描きたいのだろうなと思った。
アメリカン・グラフィティとスタンバイミーを足したような話だ。
事件は『赤狩り』の事ではあるが、それをアメリカ社会の汚点としてまでは描いていない。
『過去はいつも人の心を呑み込んで連れ去る。行き着く先を知るすべはない。そこにいい思い出があるよう願うだけだ』
アメリカの過去の事を言っている。この点が不満。アメリカに取って、過去の歴史を客観的に語りすぎ。
だから、アトランティスの心なのだと思う。
サリーと言う『少佐』との仲に付いて余りこの映画では話していない。多分、スティーブ・キングの原作では描かれているのだと思う。
この映画はちょうど僕が生まれた頃。スティーブ・キングの生まれが1947年だから、アメリカの団塊の世代だ。ベトナム、その後の中東の争いのアメリカ側の世代と言う事だ。
男に危害を加えられる女の子。読んている本が川に落ちる。
ジェンダー、焚書、赤狩りを客観的に描いていると思う。しかし、あくまでも客観的。
図書館を語るのはこのテッドと言う主人公が『本を読む』と言う事を言っていると感じた。
つまり、子供の頃に出会う『本の事』だと思う。
心の中の何かに触れる映画
まず俳優が全員良い。アンソニーさん、アントンさん、デヴィッドさん。脚本も良い。良い映画。
ただ、それだけで無い何か物悲しさ、アメリカの郷愁?!を感じた。
アメリカの映画でよく目につくのだけど、人と人とが別れる時、お互いに絶対に忘れないと言う。でも実際には長い時間の流れの中で、記憶も薄れどんどん疎遠になっていく。
人生も大分過ぎた頃ふとしたことで自分の歩いてきた道を振り返った時、一握りの大事な人との思い出や苦い出来事が愛おしく感じることがある。この映画はそんな瞬間を高度な技術を持ってしてジップロックで瞬間密封して観せてくれてるような気がした。
話はズレるが、主人公の少年のお母さんがなんだか古きアメリカの若い女性というか母親像を絵に描いて額縁に入れたような?とてもステレオタイプに描いてたが、それが実はとても良いアクセントとなって物語を引き立ててたように思う。
いやいや観れてヨカッタ。
幻の国
童心を想起させるかのような楽しげで儚い雰囲気に惹き込まれた後、人の心を読む能力を得て他人の内に秘めるものが見えてくるようになって、人の黒い部分が露見されるようになる展開には奈落に落ちたかのような不安感に襲われた。危機迫る悲劇の演出は凄かったし、終盤は別れに人の残虐さが垣間見えて悲しかった。子供の頃にいた幻の国とは1歩踏み違えれば奈落なのかもしれない。主人公はもう人の心を読めた頃(幻の国)を過去のものとしてしか認識出来ないのだと思うとキャロルの娘と思われる女の子との再開の場面は感慨深い。
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