アモーレス・ペロスのレビュー・感想・評価
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犬が交わるetc...
当時、TSUTAYAでレンタルの棚を物色しながら本作の裏ジャケを見て面白そうと借りてみた結果、この作品一発でイニャリトゥの虜になってしまった、特にガエル・ガルシア・ベルナルの存在感は『トレインスポッティング』でのユアン・マクレガー並みの衝撃を、まぁ今や二人とも差し障りの無い感じかと、イニャリトゥの次作がショーン・ペンで撮ると情報が入った時には鳥肌が立ってしまった!?
この頃は94年の『パルプフィクション』と98年の『ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ』でタランティーノとガイ・リッチーに飽きる事なくどハマり中、2000年代に入りイニャリトゥが投下された感覚を、入り乱れる登場人物と時間軸の中心にある犯罪モノが大好きで、これ以降に出て来た連中が所謂、タランティーノフォロワーと云うべきか??
テンポ良く進む"オクタビオとスサナ"の物語から展開が徐々にトーンダウンする雰囲気の中、妻子を捨てた男には共感や同情する部分があったり、気になるオクタビオのその後も断片的に、興味の持続力は最後まで保たれて、殺し屋の爺さんは過去を含めて身勝手過ぎるが一人勝ち、いや、本作に勝者がいるのならそれは闘犬と化したオクタビオの愛犬コフィが相応しい。
濃密な世界
イニャリトゥ監督の最初の長編作。最初からこんなに濃密なイニャリトゥの世界だったんですねえ。
3つの話が絡み合いながら並行する、という構造は後の「バベル」とそっくりです。よくできてました。
アモーレス・ぺロスの直訳は「犬の愛」だそうです。複数の犬が重要な役どころで出てきます。
3つの物語が一つの交通事故を介して交錯する。 この手の作品はいくつ...
3つの物語が一つの交通事故を介して交錯する。
この手の作品はいくつか観たことがあるが、本作は3つともヘビーな話で、かなり見応えがあった。
ポン・ジュノもアレハンドロ・ゴンザレスもデビュー作に犬という共通点
個人評価:3.8
どっしりとした重厚な映像。それは監督デビュー作である本作から、すでに持ち合わせている事がわかる。
この監督はどの作品でも伝えたいテーマが必ずあり、物語の根底に教訓染みたものが流れている。
本作で感じた教訓は人間の計画は神が必ず笑うだ。
バベルでは人間の愚行への教訓を描き、本作では人間の愚の末路を辿る計画を描いていると感じる。
複数の登場人物の群像劇のスタイルはバベルと同じであり、バベルでは一丁のライフルによって登場人物が繋がっていき、本作は犬という存在によって登場人物が繋がっていくという愚かな人間ドラマ。
ポン・ジュノのデビュー作も犬にまつわる物語。アレハンドロ・ゴンザレスも犬と人間という切り口。才能ある2人の巨匠のデビュー作が犬という共通点があり、犬という存在が、人間を描く為のキーになっていると感じる。
オクタビオとスサナの章。冒頭のカーチェイスでなぜオクタビオが追い...
オクタビオとスサナの章。冒頭のカーチェイスでなぜオクタビオが追いかけられているのか理由がわかる。愛犬コフィーを使って闘犬で稼ぐオクタビオ。兄嫁を奪って無謀な逃亡計画を立てるが、失意のどん底へ・・・こういうキレてしまうガルシアの演技はいいですねぇ~
ダニエルとバレリアの章。不倫と別居など、現実的な金銭問題と愛犬の行方。ラストは悲しいが、オムニバスの中では、ちょっと異色。ネズミに犬が食われたなどといった会話にはホラー映画になるのではないかとビビってしまった。
エル・チーボとマルの章。兄弟の醜い争い。拳銃を奪い合うところは『SAW』もこれを見て参考ににしたのではないかと思わせる。その一方で、ゴミ拾いで生活をする裏でテロリストから殺し屋稼業を続ける主人公がもっとも血の通った愛情を感じさせられた。
全体的にはenchantの広告、交通事故、犬といった繋がりがあるのだが、登場人物がここにもあそこにもといった具合に出没する。一つ一つの人生に人がいかに関わっていくのか、奇妙な感覚を呼び起こしてしまう。犬好きの人には残酷なシーンがいっぱいあるが、人間の方が醜い争いをしてるという逆説的な描写とも言えるのかもしれない。
才能。
監督の感性というか、こだわりというか、やっぱ世にでる人は才能があると思わせる映画だった。とりあえず見終わったらこの監督の映画はテンション下がるけど、このタイプの映画はみといて損はないと思います。
生々しい
イニャリトゥ監督のデビュー作とのことですが、後々の作品を想起させる、実にイニャリトゥらしい作品でした。
荒々しい呼吸が聞こえてくるかの様な「生命」の生々しい描写。貧しい貧民街と中産階級、全く違う世界に暮らす人間達の群像劇。
イニャリトゥ作品は、一見関係がない様に見える事や人でも必ずどこかで関わりを持たせています。
それが犬であっても貧しい人であっても、美しい人であっても関係ありません。
私達が生きていることは奇跡であり、生命そのものが敬うべきことであり、私もあなたもそして過去も未来も全てが繋がっている。
この作品は、lifeの息吹きそのものです。
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