悪い種子

劇場公開日:

解説

8歳の少女が殺人事件を犯すショッキングなテーマを描いた作家ウィリアム・マーチの原作を「栄光何するものぞ」の脚本を執筆した劇作家マックスウェル・アンダースンが劇化、ブロードウェイで記録的上演を続けたものを「巨象の道」のジョン・リー・メインが脚色し、「荒野の貴婦人」のマーヴィン・ルロイが監督、同じくハロルド・ロッソンが撮影を担当した。音楽は「ながれ者」のアレックス・ノース。主演は、殆ど舞台そのままで主人公のローダに10歳のパティ・マコーマックのほか「ターザン砂漠へ行く」のナンシー・ケリー、「理由なき反抗」のウィリアム・ホッパー、「傷だらけの栄光」のアイリーン・ヘッカート、「ジャイアンツ」のポール・フィックスなど。

1956年製作/アメリカ
原題または英題:The Bad Seed
配給:ワーナー・ブラザース
劇場公開日:1957年4月4日

ストーリー

クリスティーン(ナンシー・ケリー)は、夫ケネス・ペンマーク大佐との間にローダ(パティ・マコーマック)という8歳の娘をもっていた。ケネスが再召集でワシントンへ行くことになり、クリスティーンはローダと留守を預かったが、ある日、ローダの学校でピクニックがあった時、デイグル夫妻の一粒種クロード少年が古桟橋から落ち溺死するという事件が起きた。誰もが過失かと思ったが、少年の額に打傷があり、ペン習字で貰った金メダルが失われていることそれにローダが事件の直前、少年と一緒にいたことが分かってきた。ローダの女教師ファーンがペンマーク家を訪れ、その疑いを洩らしたが、クリスティーンには、ぐっと胸に詰まるものがあった。というのはウィチタにいたとき、同居の老婆が階段から落ちて死んだことがあった。老婆は飾りのガラス玉を持っていて、自分が死んだらローダにやると約束していたが、その玉を老婆の死後、ローダは意外に誇らしげに見せたことがあったからだ。クリスティーンはローダの机を探してみた。と、そこに問題の金メダル。ローダは当然自分が貰えると思っていた金メダルが少年に渡ったのを怨みに、桟橋から突き落としてそれを奪ったのだ。娘が殺人犯--だが母親としては、これを隠さねばならない。クリスティーンは深夜、メダルを桟橋のある沼に捨てに行った。ところが、訪ねてきた父のブラヴォに、自分がかつて世が騒がした美貌の殺人鬼ベッシー・デンカーの遺児であると聞かされ、逃げられぬ運命を覚った。ブラヴォは有名な新聞記者で事件を追ううち、偶然デンカーの子を拾い、これを養女にしたのがクリスティーンであった。ローダの性格は、自分の母親の悪い種子によって生まれた宿命である--クリスティーンは無限の奈落を覗いた感じだった。一方ローダは、子供の鋭いカンで、家の掃除男で薄ノロのルロイが自分の犯行を嗅ぎつけたと覚り、彼を甘言で地下室に閉じこめ火を放った。ルロイは焼け死んだ。が人々は過失と断定した。しかしクリスティーンの目にはローダの犯行と疑いもなく映った。遂に決心した彼女は、その夜ローダに睡眠薬を飲ませ、自分は拳銃で無理心中をはかった。夫のケネスが急ぎ戻ったが意外にもローダは助かり、クリスティーンも重傷ながら救われた。事情の分からぬケネスは、ともかく娘の健在を喜び、彼女を連れて帰宅した。ところが夜明けがた、ローダは家を抜け出し、母が捨てたメダルをあくまで取ろうと嵐の中を沼へ急いだ。桟橋で子供にあらぬ形相でメダルを探すローダ。その時一瞬の落雷。ローダは倒れた。

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スタッフ・キャスト

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受賞歴

第14回 ゴールデングローブ賞(1957年)

受賞

最優秀助演女優賞 アイリーン・ヘッカート

ノミネート

最優秀助演女優賞 パティ・マコーマック
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映画レビュー

4.0脚本の勝ち

2023年6月13日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

サイコパスなネタのかなり早い時代のもののように思う。
遺伝のせいのような扱いは少々納得がいかないけれど
この当時はもしかしたらそういう認識だったのかもしれない。

実は登場する場所がほとんど家の中と
ちょっとだけ庭、どこぞの池のほとりくらいで
セットを組んでいたとしても
実はかなりの低予算で作られたものではないかと思う。
あるいは舞台劇だったのだろうか。

観ていてそんなことほとんど気にならない面白さ。
子役の演技も見事。
それになにより話が面白い。
最後には驚きの展開を迎える。
この当時からネタバレ禁止があったんだなと
妙な感心してしまった。

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こまめぞう

3.5こりゃ衝撃作だわ……

2023年1月23日
iPhoneアプリから投稿
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JYARI

4.0出演者の紹介が・・・

2022年8月30日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

「哀愁」のマーヴィン・ルロイ監督作品

子どもの頃に読んだ
少女漫画家
わたなべまさこさんの

「聖(セイント)ロザリンド」が甦ります。

この映画の
オマージュかも知れませんね。

無邪気な少女が、
欲しい物を手にする為
殺人を犯してしまうという・・・
残酷で恐ろしいテーマ。

我が娘の行動に
気が付いた母親クリスティーンが
調査をしてゆくと
自分の生みの母親が
連続殺人犯だった事がわかり

その「悪い種子」の遺伝子が
隔世遺伝したのではないかと
自分を責めたり
母親の苦悩も描かれていて

衝撃のラストへ・・・。

8歳のローダを演じる
パティ・マコーマックの
可愛い笑顔と癇癪を起した時の
ギャップが凄くてびっくりです。

本編終了後に
登場人物(キャスト)達が
舞台劇を観た後の挨拶のように
順に挨拶に出てくるのも驚きでした。

そして、映画のラストを
口外しないようにとの
メッセージも表示されます。

「シックス・センス」
「パッセンジャーズ」等
結末は口外しないでという映画も
多いですね(´▽`)

その元祖的作品でしょうか・・・

とにかく、白黒映画の
名作のひとつだと思いました。

男の子を亡くした母親の哀しみや
命の重さ 大切さも
考えさせられる作品。

コメントする 8件)
共感した! 6件)
LaLa

4.0夏に最適(笑)これは全く前情報見なくて良かった。少女は殺人を犯した...

2022年8月3日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

夏に最適(笑)これは全く前情報見なくて良かった。少女は殺人を犯したのか否か。それで終盤までドキドキできた。ちょっとでも前情報を見てたらこの興奮は味わえなかった。
少女を演じる子役(パティ・マコーマック)がとにかく素晴らしい。
元は舞台劇らしく、結末は舞台とは違っているらしい。私的には舞台の結末の方が良いと思うが、どうやら時代がそれを許さなかったようだ。
元は舞台劇らしいエンディング、そして結末の緘口依頼のテロップ、斬新で驚きました。
後の時代に多大な影響を与えた本作、こいつは見るべきでしょう。

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はむひろみ