鷲は舞いおりたのレビュー・感想・評価
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戦争映画と言うよりも…
1977年公開、米英合作。
監督:ジョン・スタージェス
脚本:トム・マンキーウィッツ
原作:ジャック・ヒギンズ
『日本人の勲章』、『荒野の七人』、『大脱走』など人気作を送り出してきたジョン・スタージェスの最後の作品。1975年ベストセラー小説を映画化した。
主な配役
【クルト・シュタイナー大佐】:マイケル・ケイン
【リーアム・デヴリン】:ドナルド・サザーランド
【マックス・ラードル大佐】:ロバート・デュヴァル
【モリ―】:ジェニー・アガター
【ヒムラー親衛隊長官】:ドナルド・プレザンス
【カナリス大将】:アンソニー・クエイル
【米軍ピット大佐】:ラリー・ハグマン
【米軍クラーク大尉】:トリート・ウィリアムズ
ドイツ軍と米軍が登場するが、戦争映画ではない。
戦争映画というより、サスペンスに近いかな?
ドイツ軍人たちも、全員、英語で演じている。
シュタイナーの登場シーンは、
「ドイツ軍の中にも骨のあるやつがいたのさ」
という感じ。ただ、将軍に対しての非礼な言動はありえないだろう。
フィクションとはいえ、いきなり「?」がついてしまう。
ベストセラー小説の映画化、という点もそうだが、
要人を狙う筋書きは『ジャッカルの日』と共通する。
ただ、残念ながら、出来栄えとしては『ジャッカルの日』には及ばない。
暗殺者ジャッカル(エドワード・フォックス)に当たるのは、マイケル・ケイン演じるシュタイナー大佐なのだが、
シュタイナーにスポットが当たりにくい構成になっている。
その一番の要因が、ドナルド・サザーランドが演じたアイルランド独立派の闘士リーアム・デブリンの存在だ。
彼の存在は、
映画に深みを与えたのか、あるいは、
散漫にしただけなのか、
私個人の評価は、残念ながらネガティブだ。
小さな子供を救うために、
シュタイナー部隊の一人が犠牲になり、遺体の服装からドイツ兵であることが露見してしまう。
このアクシデントさえなければ。。。
いや、このアクシデントがなくてもチャーチル暗殺は不可能だった、というオチ。
これも、『ジャッカルの日』と比較してしまうと、
肩透かし感がハンパないのだ。
一点、評価したいのは、
さりげなく親衛隊の大ボス・ヒムラーの狡猾さを、
作中に巧みに取り込んでいる点だ。
本当に怖い男だと思う。
なんだかんだで、☆は3.5
カッコイイて、なんてカッコ悪いんだろう。
ジャック・ヒギンズの名作を映画化。
ナチス軍服のカッコよさには定評がある。人の個性は制服を着た時に判別できたりする。人間性を如実に表すことが分かっていてヒトラーはこの軍服デザインを了承したような気がする。だから破綻したのだ。
現実性に乏しい子供じみた作戦を敢行させるヒムラー。軍服を着てるが故にその冷酷さが滲み出ている。軍人でなければ詩人になれなかった優秀な経営者にでもなったであろうシュタイナー。
軍服を着ているが故にそのロマンチストぶりが滲み出ている。
見た目のカッコよさは、「人間だったらこうだろう・・・」ということからすれば赤面するくらいカッコ悪いことなのだ。人は制服には縛られることは決してない。縛られている人はカッコ悪い。周りを見渡せばよくわかる。今も昔も変わらない。
目に見えない制服を脱ぎ捨て、自分の頭で考え歩くことに全力を注ぎたい。
男の美学です それが詰まっています
シビレました
ドイツ軍側が主人公なのが珍しいところ
原作はナバロンの要塞の原作のアリステア・マクィーンにも並ぶ冒険小説界のビッグネームであるジャック・ビギンズの同名小説
題名は小説の方は「鷲は舞い降りた」で、降りたが漢字表記、映画の方はひらがな表記です
80年代のトム・クランシーにも匹敵する75年の超ベストセラーです
子供の時に戦車のプラモデルを沢山作った男の子なら、ドイツ軍の格好良さを良く分かっているはず
その格好良さが全編にあります
そんなことを書くと直ぐ、「お前はナチスドイツを礼賛するのか?」と言う人が現れます
馬鹿言っちゃいけない!
ちゃんと本作を観てから言って欲しい
そしてこの世界的なベストセラーの原作を読んでからにしてもらいたいものだ
ナチスドイツへの批判の物語なのだから
但し、原作を読み始めたなら寝ることを忘れてしまい、睡眠不足になるのは必定
悪しからず
ラードル大佐の眼帯の面構え
シュタイナー大佐の指揮ぶり
彼の降下猟兵部隊の部下達
冒頭の親衛隊と部隊が対峙したときの立ち姿の格好良さったらありゃしない!
クライマックスでのシュタイナー大佐と部隊との別れで、部隊が気をつけの姿勢をとるシーンにシビレなかったら、アナタ本当の戦争映画ファンではないです
超お偉方の思いつきで冗談のようなプロジェクトが始動する
幹部はみんなこの案件から逃げるか、検討するふりだけして、その超お偉方が忘れるのを待つばかり
しかし超お偉方には、その思いつきを実現させて自分の得点を上げようとする取り巻きがいるものです
その連中にとっては、その思いつきで犠牲者が何人出ようと自分には関係ないことなのです
だから、どういう訳か本当にやることになってしまう
はたと気がついたら、自分がその計画立案の担当者になり、具体的な案にまとめる羽目になっている
いや実行部隊に任命されていた
そんな経験のある人もいると思います
超困難で他の誰にも出来ないことだからこそ、話を聞いてしまうと何故だか挑戦したくなっている
なまじやれそうと目算がたってしまうともう、自分自身が逃げるどころか、それにのめり込んでしまう
ほんの僅かだがチャンスがある
こんなことは他の誰にも成し遂げられない
これをやれる能力があるのはこれだけ人がいても自分だけだ
強烈にプライドがくすぐられる甘美な罠です
確実に失敗するだろう事とは自分自身分かっている
それでも、こんなところでくすぶって消えてしまうよりましだ
それでいいのか?
男の美学です
それが詰まっています
どうせ駄目でも男なら誉ある方を選びたいものです
それが本作のテーマです
是非原作をお読みになって下さい
冒険小説の最高傑作のひとつです
ハヤカワNV文庫で簡単に入手できます
そしてそこには本作を観て感じた疑問点への全ての答えがあります
シュタイナー大佐が何故英語をネイティブに話せるのかも分かります
本作が二倍にも三倍にも面白くなると思います
中弛みはあるが物語は面白い
総合70点 ( ストーリー:75点|キャスト:75点|演出:70点|ビジュアル:70点|音楽:65点 )
話としては面白かった。原作が有名な小説らしく、設定も展開も大筋としてはよく出来ていた。いつか原作を読んでみたい。しかしながらイギリスにデブリンが潜入してからの村での描写が長くて中盤で散漫として中弛みした。長めの作品なのでもっと要点を簡潔に絞ったほうが良い。
登場人物も良かった。特にデブリンは英国に迫害されて活動家となった複雑な過去があり、その活動内容と人物像に魅力があった。演じたドナルド・サザーランドもいい出来で、彼が似たような役を上手く演じた『針の目』を思い出させる。その他にも暗い過去を持ち英国を恨む女、敗色濃厚な中で総統の気まぐれから始まった大仕事に軍人として本気を出す大佐、能力がありながら不遇の日々を送る特殊部隊と、特にドイツ側の登場人物に魅力があった。ただ作戦の成否を描くだけでなく、登場人物の背景にも光を当てている。
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