劇場公開日 1977年8月13日

「男の美学です それが詰まっています」鷲は舞いおりた あき240さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0男の美学です それが詰まっています

2020年12月1日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

シビレました
ドイツ軍側が主人公なのが珍しいところ

原作はナバロンの要塞の原作のアリステア・マクィーンにも並ぶ冒険小説界のビッグネームであるジャック・ビギンズの同名小説

題名は小説の方は「鷲は舞い降りた」で、降りたが漢字表記、映画の方はひらがな表記です

80年代のトム・クランシーにも匹敵する75年の超ベストセラーです

子供の時に戦車のプラモデルを沢山作った男の子なら、ドイツ軍の格好良さを良く分かっているはず
その格好良さが全編にあります
そんなことを書くと直ぐ、「お前はナチスドイツを礼賛するのか?」と言う人が現れます

馬鹿言っちゃいけない!
ちゃんと本作を観てから言って欲しい
そしてこの世界的なベストセラーの原作を読んでからにしてもらいたいものだ
ナチスドイツへの批判の物語なのだから

但し、原作を読み始めたなら寝ることを忘れてしまい、睡眠不足になるのは必定
悪しからず

ラードル大佐の眼帯の面構え
シュタイナー大佐の指揮ぶり
彼の降下猟兵部隊の部下達
冒頭の親衛隊と部隊が対峙したときの立ち姿の格好良さったらありゃしない!
クライマックスでのシュタイナー大佐渡部隊との別れで、部隊が気をつけの姿勢をとるシーンにシビレなかったら、アナタ本当の戦争映画ファンではないです

超お偉方の思いつきで冗談のようなプロジェクトが始動する
幹部はみんなこの案件から逃げるか、検討するふりだけして、その超お偉方が忘れるのを待つばかり
しかし超お偉方には、その思いつきを実現させて自分の得点を上げようとする取り巻きがいるものです
その連中にとっては、その思いつきで犠牲者が何人出ようと自分には関係ないことなのです

だから、どういう訳か本当にやることになってしまう

はたと気がついたら、自分がその計画立案の担当者になり、具体的な案にまとめる羽目になっている
いや実行部隊に任命されていた
そんな経験のある人もいると思います

超困難で他の誰にも出来ないことだからこそ、話を聞いてしまうと何故だか挑戦したくなっている
なまじやれそうと目算がたってしまうともう、自分自身が逃げるどころか、それにのめり込んでしまう

ほんの僅かだがチャンスがある
こんなことは他の誰にも成し遂げられない
これをやれる能力があるのはこれだけ人がいても自分だけだ
強烈にプライドがくすぐられる甘美な罠です

確実に失敗するだろう事とは自分自身分かっている
それでも、こんなところでくすぶって消えてしまうよりましだ
それでいいのか?

男の美学です
それが詰まっています
どうせ駄目でも男なら誉ある方を選びたいものです
それが本作のテーマです

是非原作をお読みになって下さい
冒険小説の最高傑作のひとつです
ハヤカワNV文庫で簡単に入手できます
そしてそこには本作を観て感じた疑問点への全ての答えがあります
シュタイナー大佐が何故英語をネイティブに話せるのかも分かります
本作が二倍にも三倍にも面白くなると思います

あき240