わが青春のマリアンヌ

劇場公開日:

解説

「埋れた青春」「ドン・カミロ頑張る」に続いてのデュヴィヴィエ作品。ドイツのペーター・ド・メンデルスゾーンの『痛ましきアルカディア』の映画化でデュヴィヴィエ自身が脚色と台詞を書いている黒白映画。この幻想的な雰囲気を出すために、マリアンヌの住む謎の館にはオーストリア、フッシェル湖畔の旧家が選ばれ、少年達の屯する館には、バヴァリア地方に残っているリヒアルト・ワグナーに関係のある館を選んだ。音楽はフランスの作曲家ジャック・イベール、撮影はレオンス・H・ビュレルが当っている。映画はフランス語版とドイツ語の両国版が平行して作られ、二組の配役のもとに同じ場面の撮影が二度ずつ行われた。封切されるのはフランス語版の方で、ドイツ語版の方は少年達の顔振れもガラリと変っているがマリアンヌ・ホルトとイサベル・ピアの二人の少女は両国語版にわたって出演する。マリアンヌ・ホルトはドイツ映画二本に出演したことのある新人、イサベル・ピアは「虫も殺さぬ男」「デュバリイ夫人」に出演している。

1955年製作/フランス
原題または英題:Marianne de ma Jeunesse
配給:東和
劇場公開日:1956年4月1日

ストーリー

牝鹿の遊ぶ深い樹立と、霧が立ちこめる湖の中にそそり立つ謎の古城にまつわる物語であるイリゲンシュタットの館には少年達の一団が青春にはちきれるような日々を送っている。マンフレッド(ジル・ヴィダル)を中心とする“おとなし組”とアレクシス(J・ファレック)一派の“いたずら組”にその少年達は分れていた。或日はるばるアルゼンチンの荒野に馬を駆ったというヴァンサン(ピエール・ヴァネック)が仲間入りした。いたずら組の一行はこのヴァンサンと語らってボートに乗り湖の対岸にある古い館に出かける。一行がボートに乗って向う岸に着くと間もなく大きな犬が追ってきて、一同は放々の体でボートに逃げ帰るが、ヴァンサンひとり逃げはぐれて館に取り残される。彼はここで思いがけなく美しい乙女マリアンヌ(マリアンヌ・ホルト)の出現に目をみはった。翌朝早く、ヴァンサンはマリアンヌをきびしく監視している老人の命令で大男の従者の手により小舟で送り返されたそれ以後ヴァンサンの脳裡からは片時もマリアンヌの面影は消えなかった。イリゲンシュタットの園長の姪リイズ(イサベル・ピア)は秘かにヴァンサンに想いを寄せていたが、少女の感受性から彼の心の変化に気付く。それから間もなくヴァンサンは近所の百姓が届けて来た「助けて下さい。マリアンヌ」と記してある手紙を受取り、早速、船着場に行くがボートが無いので夢中で湖を泳ぎ出す。二日後湖の岸に血まみれになっているヴァンサンが発見きれる。彼は一同に怖ろしい冒険物語を語る--首尾よくマリアンヌの部屋にしのび込むことの出来た彼は、彼女の口からもうすぐここの老主人と結婚するということを聞かされた。ヴァンサンは老主人を打ち倒す。が大男の従者に乱暴につまみ出され、猛犬の一斉攻撃を受け命からがら逃げ去ったというのだ。ヴァンサンは話し終ると親友のマンフレッドと一緒に館に向う。行ってみると意外にも館は空で、今しがたまで人のいたことを物語るかのようなかすかなぬくもりの中にマリアンヌの肖像画だけが残されていた。ヴァンサンはその前に伏して泣く。翌日、ヴァンサンは心の痛みをしのんで、母からの呼び寄せの手紙に従い、イリゲンシュタットを出発するのだった。

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映画レビュー

4.0 監督ジュリアン・デュビビエが、日本では69年に公開された「さすら...

2020年9月25日
PCから投稿
鑑賞方法:TV地上波

 監督ジュリアン・デュビビエが、日本では69年に公開された「さすらいの青春」の原作、フルニエの「モーヌの大将」の映画化を熱望していたが、遺族の許可を得ることが出来ず断念しました。その芸術的インスピレーションを実現するために、似た設定のこの原作を映画化することになったそうです。
 ドイツ語版の主役は「荒野の七人」のホルスト・ブッフホルツが演じました。「野ばら」に出演している子役ミハエル・アンデも寄宿舎のシーンに出ています。
 テレビで見たので、カットもされていたと思いますが、夢とも現実ともつかぬ、幻想的なストーリーと映像に魅了されました。個人的にはヒロイン、マリアンヌ・ホルトが、ちょっとごつすぎるように思いましたが表情は魅力的でした。青春期の淡くはかない恋へのあこがれが、郷愁をこめて描かれています。

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ワ~オ

3.5青春の日々を思い出す

2015年7月25日
PCから投稿
鑑賞方法:TV地上波

うん十年前の中学時代。夏休みの昼間にテレビで見た記憶が強烈。結構すぐに再放送がありまた見ました。
こんな気分が理解できるお年頃になってたんですね。
数年後、古本で原作(日本語訳)を入手したものの読んでいない。
いつ読もうか。

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HigeKobo

3.5カガに似てた

2015年5月5日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

怖い

カガに似てた

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高峰

4.5青春の悲愁~わが生涯の最良の一篇

2014年2月18日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

悲しい

知的

ジュリアン・デュヴィヴィエ監督の過ぎし青春へのノスタルジーであり他に類例をみない詩情あふれる青春映画だ。

まず舞台設定からして素晴らしい。霧に包まれた深い森、湖、古い館・・・。そのほとりの寄宿舎に教育を共にする多感な思春期の少年達の一団が住んでいる。彼らは湖の向こう岸に立つ「幽霊屋敷」と呼んでいる古い館にボートで乗り込む。だが大きな犬2匹に襲いかかられ早々に退散。ひとりヴァンサンだけが残され暗い館に入ることが出来る。そこで美しい乙女マリアンヌに出会う。二人はたちまち恋に落ちる・・・前世から約束されていたかの様に。

この出会いのシーンは素晴らしいの一語に尽きる。これ程までに女性を美化し神秘化し理想化して描写した例をわたしは知らない。しばし現実を忘れさせ陶酔させられる至福のときである。

しかしやがて二人の間は引き裂かれてしまう。マリアンヌを幽閉状態から救出するために湖を泳いで渡ろうという命がけの挙にでるヴァンサンであるがその目的は果たせない。

やがて別れ、旅立ちのときが来る。それは永遠にマリアンヌの面影を求めての果てしない旅なのだろうか・・・。

母への思慕と美しいマリアンヌへの憧れのだぶった夢多き青春の心情が甘美に描かれている。

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細谷久行