ローズ

劇場公開日:

解説

60年代の最大の女性シンガーといわれたジャニス・ジョプリンをモデルに、反体制の空気に満ちた60年代のアメリカの若者を熱狂させた1人のロック歌手ローズの愛と激情の人生を描く。製作総指揮はトニー・レイ、製作はマーヴィン・ワースとアーロン・ロッソ、監督は「シンデレラ・リバティー かぎりなき愛」のマーク・ライデル。ビル・カービーの原案を基に彼とボー・ゴールドマンが脚色。撮影はヴィルモス・ジグモンド、音楽はポール・A・ロスチャイルド、編集はロバート・L・ウォルフ、美術はジム・ショッピ、衣裳はシオニ・V・アルドレッジが各各担当。出演はベット・ミドラー、アラン・ベイツ、フレデリック・フォレスト、ハリー・ディーン・スタントン、バリー・プリマス、デビッド・キース、サンドラ・マッケーブ、ウィル・ヘアー、ルディー・ボンドなど。日本語版監修は清水俊二。デラックスカラー、ビスタサイズ。1979年作品。

1979年製作/アメリカ
原題:The Rose
配給:20世紀フォックス
劇場公開日:1980年11月1日

ストーリー

反体制の波にゆれる1969年のアメリカ。ベトナム戦争がもたらした若者たちの反撥は頂点に達し、そんな空気の中で女性ロック・シンガーのローズ(ベット・ミドラー)がカリスマ的な支持を受けていた。しかし、契約中の3年間の彼女のスケジュールはびっしりで、専用機“ローズ号”で毎日旅する彼女の神経はすり減っていた。故郷フロリダでの公演のあと1年の休みを欲しいというローズの願いも、マネジャー、ラッジ(アラン・ベイツ)の厳しい言葉に消されていった。ニューヨーク公演の後、ラッジと共に作曲家ビリー・レイ(ハリー・ディーン・スタントン)を訪ね、そこでビリーに冷たい言葉をつきつけられたローズは、ビリーのもとをとび出し、乗り込んだハイヤーの運転手ダイアー(フレデリック・フォレスト)を知る。途中、レストランに立ち寄った2人は、そこでささいな喧嘩に巻き込まれるが、その場のダイアーの男らしさにいつしか魅かれるローズだった。ローズが以前住んでいた“ビッグ・ジョージの店”に寄った2人は、その夜をホテルで過ごす。翌朝、録音に5時間も遅れたローズはラッジと言い合うが、仲裁に入ったダイアーにまで罵声を浴びせるローズだった。その場を去るダイアーにしかしローズは追いすがり、自分の愛の深さを告白する。そして、ダイアーが運転手ではなく、軍隊を脱走してすでに3週間になる身であることを知る。しかし、ローズの自由奔放な愛の生活は限りなく、かつてのレズビアンの愛人セーラ(サンドラ・マッケーブ)などの愛も平気で受け入れる有様だった。この場を目撃したダイアーは、遂にローズのもとを去った。いよいよ故郷フロリダにやって来たローズは、再びラッジと決定的な喧嘩をしてしまい、彼にクビを言い渡される。不安のどん底につき落とされたローズは、その場に戻ってきたダイアーと車で町を走り回るが、“モンティの店”で出会った、昔の恋人が原因で、今度こそ決定的な別れをむかえてしまう。一方、スタジアムでは、ローズを迎えようと、1万人以上の観衆が待ちかまえており、その熱狂の裏で、控え室のラッジらは頭をかかえていた。口では強いことを言っても、ローズの行方をラッジは必死に追っていたのだ。ローズがクスリでふらつきながら、なつかしい母親に電話をしたことから、交換手を通して彼女の居所をつかんだラッジはへリコプターを用意し、花火の上がる大観衆のスタジアムに彼女を迎え入れることに成功。割れるような観衆の拍手の中、足をふらつかせながらステージに立つローズ。“私といて、私を置いていかないで”と訴えるように歌う彼女に再び熱狂の拍手が起こった。そして、続いて歌った歌詞が、つぶやきのようにささやかれると、彼女はそのままばったり倒れた。愛を求め、愛に生きた1人の激情のロック歌手のそれが最後だった。(20世紀フォックス映画配給*2時間14分)

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スタッフ・キャスト

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受賞歴

第37回 ゴールデングローブ賞(1980年)

受賞

最優秀主演女優賞(コメディ/ミュージカル) ベット・ミドラー
最優秀主題歌賞

ノミネート

最優秀作品賞(コメディ/ミュージカル)  
最優秀助演男優賞 フレデリック・フォレスト
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映画レビュー

4.0ベットミドラーの芝居がとんでもない

2023年6月20日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

D誰がどうみてもジャニスジョップリンをモデルにした作品。
主演のベットミドラーの芝居がとんでもなく、あの唯一無二な歌声やパフォーマンスまでジャニスそっくりなんです。
顔は全然似ていないのに、ですよ。
それとその物語もすごい。
彼女の深い孤独と、それを振り切るための刹那的な生き方がものすごく描かれているんですよ。
そのラストのステージも圧巻とも言えるでしょう。
メインテーマと言える「ローズ」も見事で、気がつくとそれはもうベットミドラーの物語になっているんですね。
いや、久しぶりだったけどやっぱり面白かったです。

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白波

3.560年代のアメリカの傷だらけの青春を象徴する女性シンガーを熱く描いた音楽映画の秀編

2022年5月29日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

音楽映画としては充分過ぎる程にパンチの効いた作品で、主演のベット・ミドラーの独特な個性とマーク・ライデル監督のストレートな感情表現、そして量感あるカメラワークが一つに融合した成果であろう。ミドラー演じるローズのアクの強さ、男とは対等以上の付き合いに拘る対抗心の強さを持つエゴイズムの女性であるが、こころの何処かでは常に愛する人が傍に居なければ落ち着けない弱さも持っている。そんな不安定な精神状態で、歌うことに全てを捧げる姿は美しく、また哀れでもある。そんなローズの人生の舞台裏を、ライデル監督は男と女の思いやる感情を巧みに描いた「シンデレラ・リバティー」同様の温かい眼差しで見詰めている。この人間の弱さを繊細に拾うヒューマンな姿勢が、個人的には熱い心模様に誘ってくれた。実に正直で、汚れの無いドラマ作りが成されたアメリカ映画だと思う。

またこの作品は、60年代のアメリカ社会の不安定さを背景にして、音楽シーンのヒロインローズの生き様を、その時代を反映した一人の象徴として描いている。ベトナム戦争が終結した時代の流れは、すでに60年代を過去のものにした。如何にこの10年で大きく変わったことであろう。その意味でこの音楽映画は、70年代最後に記録しようとした、アメリカの傷だらけの青春へのレクイエムであると云えよう。強烈なセックスアピールと迫力ある歌唱で観衆のアイドルとなったローズへの、作者たちの熱い思い入れを強く感じる。映画は時代を映す鏡であると共に、その創作に賭ける制作者たちの思いもスクリーンの奥に記録されるものだ。それが奇麗に映し出された時、心に響いてくるものになる。

安定した歌唱力と表現力を兼ね備えたベット・ミドラーが最高の演技をしている。巧さとか演技力という前に、ローズその人に成りきった迫真の表情が素晴らしい。それをビルモス・ジグモンドのカメラが的確に且つ自由奔放に捉えている。ライデル監督については、「シンデレラ・リバティー」の時に感じた特長を再び感じた。それは会話シーンにおける登場人物の表情の演出が的確であること。無機質なカッティングは見られず、台詞と表情の間合いを丁寧に編集している。登場人物が何を考えどう思い言葉を発しているのか、観ていて実に分かり易いのだ。これは演出力でもあるが、本当に人の心と顔の表情の関係性を知り尽くしている大人の視線である。ライデル監督自身、とても魅力的な人物ではないかと、勝手に想像している。

あるロック歌手の自滅への燃焼を余すところなく丁寧に、迫力あるカメラワークで捉えたマーク・ライデル監督の、人情劇としても充分優れた音楽映画の秀編である。ベット・ミドラーの圧倒的な歌唱のステージシーンから、彼女を取り巻く男たちとのドラマも見応えがある。今年の新作の中でも上位に挙げたい。

  1980年 11月13日  ニュー東宝シネマ2

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Gustav

3.5In the spring, become the Rose. ドラッグ、セックス、ロックンロール

2021年5月7日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD
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アキ爺

3.5ラストのコンサートシーンは最高の素晴らしさ

2019年6月28日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:映画館
ネタバレ! クリックして本文を読む
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もーさん