恋愛時代

劇場公開日:

解説

「にがい米」で一躍認められたジュゼッペ・デ・サンティスの監督、撮影は「にがい米」のオテロ・マルテリ、「裸足の伯爵夫人」の音楽を担当したマリオ・ナシンベーネ。主演は「悪者は地獄へ行け」のマリナ・ヴラディ、「パリはいつもパリ」のマルチェロ・マストロヤンニ。

1956年製作/イタリア
原題:Giorni d'amore
配給:イタリフィルム=NCC
劇場公開日:1956年6月26日

ストーリー

美しい兵陵地帯チョチャリア。この村に溝をへだてて、二つの貧しい農家があった。両家には若く純真な娘アンジェラ(マリナ・ヴラディ)と、復員の好青年パスカーレ(マルチェロ・マストロヤンニ)がいる。二人は幼い頃より愛し合っていたが、貧しいために、人並の結婚式があげられない。二人も婚礼の支度金を出そうと一生懸命働いたが、焼石に水である。そこで両家の親族会議が開らかれた。しかし、結論は結婚不可能という線である。だがパスカーレは承服しない。彼は恋人を掠奪すると宣言した。南イタリアでは、掠奪された娘は掠奪者以外とは結婚出来ず、この既成事実の前には、何人も認めざるを得ないという習慣がある。両家の打合せがすむや、アンジェラはパスカーレの自転車に相乗りしてオリーヴの花咲く夜道を行った。パスカーレは予め考えて置いた家畜小屋に彼女を連れ込んだ。だが小屋では、二人を見守る家畜達の眼を前にして、アンジェラは急に恥かしくなり、とうとう逃げ出してしまった。パスカーレはしだいに自制力を失い、楽しかるべき初夜なのに、二人の間に口論が始まってしまった。しかも、やっと仲直りが出来かけて、森の中の廃屋に入れば、ジプシーの一隊がやってくるという始未。こうして何事もなく夜が明けた。村では筋書き通り両家の口論が始まる。だが、口論はいつか本物になり、村の巡査まで駈けつける有様。一方、村の騒動をよそに、恋人同志は再び家畜小屋へ戻ったが、村の野次馬と両親達が探しに来た。あわてて逃げ出す二人。二人はあてどなく歩きまわった。今日は日曜--と気づいたアンジェラは、急に教会へ行くと言いだし、再び口論となった。意地を張って先に行ってしまったパスカーレ。心配になったアンジェラは、後を追って海岸へ出た。海辺で、今度は彼女が挑発的な姿態でパスカーレを誘惑し始めた。天地創造以来、イヴは常にアダムに打勝ってきたように、アンジェラの美が、パスカーレの本能を打破った。意気揚々と村へ帰った二人は、意外な両親達の不和と結婚反対の意見に驚いた。だが、アンジェラは負けてはいない。彼女は閉じ込められたパスカーレを救け出し、浮浪者達を介添に、教会で形ばかりの式を挙げてしまった。急を聞いて教会に駈けつけた両家の人々の前を、二人は誇らしげに階段を下りて行く。人々の安心した顔、顔、笑い声が高らかに朝の大気に流れる。

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スタッフ・キャスト

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映画レビュー

3.0貧乏が愛を救う

2021年8月9日
PCから投稿

 世間体を気にするあまり、両家はいがみあってる芝居をするが、そのうち本気でケンカするようになって結婚を認めない考えに変わってしまう。窓から愛の台詞を交わしたり、家族同士で罵倒したりと、日本のホームドラマでも見かける下町の雰囲気。美しい自然の風景と対照的にアメリカの話や軍人を描いたりしてますが、貧乏であっても平和な世の中がいいと訴えてますね~

 海岸のシーンで、マリナ・ヴラディの見せる腋毛が美しい。

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kossy

3.5風習に縛られる若者の苦労

2020年5月14日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

農村を舞台にした恋愛コメディで牧歌的ムードが微笑ましい佳作。若いマルチェロ・マストロヤンニの素朴さが印象的で、相手役のマリナ・ブラディも魅力的。サンティス監督としては、リアリズムと重厚な人間ドラマの「にがい米」とはタッチを異にして、気楽に農民の日常を人間味豊かに描いている。お金の無い若いカップルが結婚にたどり着く苦労と、古い常識が根強く残る農村の生活感が記録されている。

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Gustav
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