レインメーカーのレビュー・感想・評価
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【70.8】レインメーカー 映画レビュー
フランシス・フォード・コッポラが、ジョン・グリシャムのベストセラーを映画化した「レインメーカー」(1997年)は、映画史におけるリーガル・ドラマの系譜において、名匠の円熟味と劇作上の危うさが同居した、極めて特異な位置を占める作品である。本作を、シドニー・ルメットの「評決」やジョナサン・デミの「フィラデルフィア」といった、一分の隙もない知的リアリズムを誇る至高の傑作群と相対的に比較した時、浮かび上がるのは「緻密な法廷劇」としての完成度よりも、むしろ「人間への讃歌」を優先した、エモーショナルな物語としての輪郭である。
作品の完成度を深く考察するならば、本作はジャンルの定石をあえて崩すことで、司法制度の冷徹さよりも、そこに関わる人間の体温を描こうとした野心作と言える。しかし、批評家として厳格に査定すれば、最終審理という物語の頂点において、個人の私生活に起因する遅刻を許容するプロットや、法廷劇のロジックを停滞させるサブプロットの配置は、劇作術としての洗練を欠いており、現実味という尺度では明確に「拙さ」が露呈している。本作は、完璧な構造美を誇る「傑作」の称号を授けるには構成が弛緩しており、むしろ名匠コッポラが通俗的なメロドラマを換骨奪胎しようとして生じた、歪な、しかしそれゆえに抗いがたい「好ましさ」を持つ佳作と定義するのが妥当である。
キャスティングと役者の演技は、この不均衡な脚本を支える最大の功労者たちである。
主演のマット・デイモン(ルーディ・ベイラー役)は、当時、新進気鋭の若手でありながら、本作で見せた誠実な演技により、物語に人間的な説得力を与えた。彼は単なる正義の体現者ではなく、困窮し、迷い、時には私生活の混乱を法廷に持ち込んでしまう未熟な青年を、肉体的なリアリティをもって演じている。デイモンの演技が持つ、あの独特の清潔感と不器用な情熱こそが、脚本上の非現実的な展開を、ある種の青春の焦燥として観客に納得させる。彼が演じるルーディは、映画史における「完璧な弁護士」ではないが、最も観客の傍らに寄り添う、実在感のある主人公として刻まれている。
助演陣においても、名優たちがそれぞれの役割を全うしている。ダニー・デヴィート(デッキ・シフレット役)は、司法試験に落ち続けているパラリーガルという、物語の狂言回しを完璧に演じた。彼の軽妙な立ち回りと世俗的なユーモアは、重苦しくなりがちな法廷劇に活力を与え、脚本の論理的欠落を演技のテンポで補完する、映画的な「目眩まし」を見事に完遂した。
クレア・デインズ(ケリー・ライカー役)は、DVに苦しむ若き妻として、法廷の外にある「救済」のドラマを一手に引き受けた。彼女の繊細な演技は、作品に深い抒情をもたらすが、同時にその存在が法廷劇としての純度を下げてしまうという、本作が抱える二律背反の象徴ともなっている。
ジョン・ヴォイト(レオ・F・ドラモンド役)は、巨大企業の辣腕弁護士として、洗練された悪の風格を漂わせた。彼の硬質なプロフェッショナリズムは、主人公の「拙さ」を際立たせるための鏡として機能し、法廷シーンの緊張感を辛うじて担保する重石となった。
そして、クレジットの最後を飾るダニー・グローヴァー(タイロン・キップラー判事役)は、司法の威厳と人間的な温情を体現した。彼の慈悲深い存在感は、現実離れした物語の飛躍に一定の品格を与え、作品を強引にハッピーエンドへと導く「装置」としての役割を、その重厚な演技で全うした。
脚本・ストーリー、映像・美術、音楽を統合して見れば、本作は「法」という冷徹なシステムを直視することよりも、そこから零れ落ちる「情愛」を掬い取ることを選択した。エルマー・バーンスタインの音楽も、ジャズの即興性を借りて、このまとまりのなさを「人生の機微」として肯定しようとする。本作に主題歌はなく、その抑制された音作りは、脚本の拙さを雰囲気で包み込もうとする演出意図を反映している。
賞歴を見れば、第55回ゴールデングローブ賞でのジョン・ヴォイトのノミネートが示す通り、演技の質は一級品であるが、作品全体として映画祭を席巻するには至らなかった事実は、本作のリアリズムの欠如という評価を物語っている。
総括すれば、本作は映画史を塗り替えるような完璧な「傑作」ではない。しかし、名匠コッポラが、法よりも人間を、論理よりも情動を信じて描いた、極めて人間臭い「愛すべき一作」である。この「拙さ」と「好ましさ」の同居を理解した上で鑑賞するならば、本作はどの完璧な映画よりも深く、観る者の心に柔らかな足跡を残すに違いない。
作品[The Rainmaker]
主演
評価対象: マット・デイモン
適用評価点: B8
助演
評価対象: ダニー・デヴィート、クレア・デインズ、ジョン・ヴォイト、ダニー・グローヴァー
適用評価点: B8
脚本・ストーリー
評価対象: フランシス・フォード・コッポラ
適用評価点: B6
撮影・映像
評価対象: ジョン・トール
適用評価点: A9
美術・衣装
評価対象: ハワード・カミングス
適用評価点: B8
音楽
評価対象: エルマー・バーンスタイン
適用評価点: A9
編集(減点)
評価対象: バリー・マルキン
適用評価点: -1
監督(最終評価)
評価対象: フランシス・フォード・コッポラ
総合スコア:[ 70.8 ]
勝ったのか?
ずっと前から観たかった作品。弁護士になりたての若者が病気の青年のために保険会社の大物たちに立ち向かう!というのがメイン。
罪を糾弾する主人公が過剰防衛ともいえる行為でDVしていた相手を殴り殺す。その罪を女性に被ってもらうというのがなんとも…主人公も結局は自分が大事ということなんやろうなあ。清廉潔白であれというのは難しいのかもしれないが、越えてはいけない壁を越えた主人公はレインメーカーになるんやろうなあと感じさせるラスト。お金じゃないんやろうけど、やりきれんなあ。
配役の妙
ミッキーロークの絶妙な 役どころが憎いね。 マットデイモンは役柄同様初々しい。なんで 弁護士なのに あんな素晴らしい筋肉 してんだて思ったけどね。 その他 脇役たちが とてもハマっていた
長い映画だったので 2回に分けてみた。 色気も何も感じなかったけど面白かったな。 そして 法廷物を見て いつも思うのだが、ちょっと頭を使えば俺でも勝てそうな気がする・・
黒いもんは黒、白いもんは白と、世間にも裁判所にも犯人にも知らしめたい若い弁護士が 正論を振りかざして頑張ろうとする姿は、それはそれで美しい。そして世の中、そういうものではない現実に打ちのめされてゆく。それで、染まってゆく・・自分もグレーに。そして、サメになる。
And then you're nothing but another lawyer joke, just another shark in the dirty water.
これはあれだな 「悪いサメを弁護する弁護士もまたサメ」という意味もあるし 「自分のダーティな心の中にそのサメがいる」っていう意味もありそうな気がするな
there is another small star in the darkness
って存在でありたいもんだね。
ネタバレ注意
デビューしたての若手弁護士がビギナーズアンラックにはまって窮地に陥る・・という話。原作者のグリシャムは、同じネタ設定が3回は通じることを証明した。
米国の司法資格がその州だけの司法資格で、別の州で弁護士活動ができな...
人生でやりたいことが明確な人は魅力的
マット・デイモンのイノセンス
この映画も、マットの無垢の輝きに依存するところ大。
ちょっと匙加減を間違えるだけで、主人公に共感が生まれない恐れが大きい。
その点、マット・デイモンの稀有の存在感は、彼を殺人でさえ肯定させてしまえるキャラクターを作り上げる。
まあ、映画の内容は面白いからいいものの、はっきり言って、ストーリーを盛り上げるための、DV夫から弱き妻を守る弁護士という関係性は、角度を変えれば、不倫して、その相手の夫を打ちのめすという、弱い者いじめにも映る。別に、「母親の再婚相手の夫がクソ野郎だった」とかいう設定でも、通じただろう。無理くり恋愛要素と、ヒロインを無理やりにねじ込んででも、ヒットする要素を詰め込みたかったのだろうか。
そしてその分だけきっちりと映画が長くなっているので、この展開がなければ、もっとスッキリとまとまっただろうに。そこが唯一の残念なポイントだった。
とにかく、見終わった後に、爽快な気分になれるいい映画だった。
【”法に携わる者の基本姿勢は、社会的弱者の立場に寄り添う事である!”今作は法律を学んだ事が或る者には心に沁みる作品であり、若き新米弁護士が強大な保険会社に挑んでいく姿が印象的な作品でもある。】
■悪徳弁護士・ブルーザー(ナント、ミッキー・ローク!)に雇われた弁護士志望のルーディ。
目出度く司法試験に合格した彼の初仕事は白血病のダニーに対して支払いを拒否する保険会社”グレート・ベネフィット)を訴えることだった。
だが悪事が明るみとなったブルーザーは雲隠れし、ダニーの行方は暗澹たるものになる。
◆感想
・全く個人的な話で恐縮であるが、私は旧帝国大学(今でもこんな言い方するのかな。)の法学部(当時は、阿呆学部と言われていた・・。)で4年間法律を学んだモノである。
専攻は、刑事訴訟法である。担当教授は、当時日本の刑事訴訟法の権威とされていた方であった。
彼の、今は亡き教授が最後の講義の際の締めに仰った言葉は鮮明に今でも覚えている。
【君たちが、卒業後に法曹界に進むのか、一般企業に進むのかは諸君が決める事である。だが、私の講義を聴いてくれた君たちに伝えたいことがある。
それは、どの道に進もうとも、”社会的弱者の立場に立って”社会人として、活躍してくれることを私は希望します。】と言うお言葉であった。
講義も休み休みだった私にとっては、この言葉はとても心に響いた。涙が出た。
正に金言である。
彼の教授のお言葉が、私のその後の人生の指針になった事は間違いないのである。
■今作では、漸く弁護士になったルーディ・ベイラー(マット・デイモン)が、身を寄せた家の若き男性が、白血病ながら保険会社”グレート・ベネフィットからの支払いを拒絶され死に至る姿や、偶々観たDV男に暴力を振るわれるケリー・ライカー(クレア・デインズ)の姿が描かれる。ルーディ・ベイラーはそんな社会的弱者に寄り添うのである。
・彼は、巨大企業の保険会社”グレート・ベネフィット”に対したった一人で、法廷争闘に持ち込んで行くのであるが。
ー 今作では、この法廷を仕切るタイロン判事が黒人である事と、彼の聡明なる審議進行の描き方が絶妙である。-
・最初は余裕尺尺であった保険会社”グレート・ベネフィット”の弁護団。だが、保険会社”グレート・ベネフィット”の財政状況や、車内での過酷なリストラが行われていた事実が明らかになる共に、”グレート・ベネフィット”社が多くの保険請求を却下していた事実が、徐々に明らかになる過程の描き方。
■ラストは、ほろ苦い。
保険会社”グレート・ベネフィット”は、その悪行が晒されて事で、廃業に追い込まれる。社の主要人物は拘束される。
正に”奢れるものは久しからず。”である。
マット・デイモンが若き日から自ら出演する作品を吟味し、出演を決める事は知ってはいたが、今作はいぶし銀のような法律家とは如何にあるべきか、いや、真っ当な人間は如何に生きるべきかを描いた逸品であると、私は思った作品であります。>
テーマ性とエンタメ性の絶妙なバランス
正義は勝つ
レインメーカーの仲間入り
若き日のマットデイモンを見て、ウィルハンティングはあの後弁護士になったのではと錯覚する。
レインのようにお札を降らせるタイプの弁護士達には入れない、父親が荒れるような一般家庭出身のルディが苦学生として晴れて法学部を卒業し司法試験を突破する。
一般人の生活がよくわかるルディにとって依頼人達に寄り添うのはそう困難ではないはずだが、戦う相手は社会の構図として搾取側にいる大手企業や悪徳弁護士。
目の前の人の痛みに目を向けて仕事をしていくとぶちあたる、一歩片足を踏み込まなければ悪を出し抜いて勝てない仕組み。法曹界であっても、綺麗事では回らない。
それをよくわかった最初のなんとか入れた勤務先、ブルーザーの法律事務所のツテとそこで出会った保健関係を得意とするアシスタントおじさんと共に、ずる賢い立ち回りをまだ身につけていない新米ルディが、保険金が降りずに白血病骨髄移植を待って亡くなった青年家族のために裁判を切り抜けていく。
裁判官が、ルディが弁護士になろうと思ったきっかけでもある、公民権運動関連裁判をしていた黒人に変わる?!そして出てきたらダニーグローバー。見ていて、これは勝てそうだと安心して見ていられる。
だが、気付けばかつての実家の母親を彷彿とさせるDV夫に悩まされるケリーへの使命感にも燃えるルディ。
見て見ぬ振りができない良さが、裁判が重要な時期なのにDV夫との決闘へと進展してしまう。
なぜ警察を呼んでから、ケリーの家出荷物をまとめないのかと思うが、結果的にケリーの夫との乱闘の末、金属バットで殴り殺してしまった。
そこからの裁判、気が気でなかっただろうが、ケリーの機転により、ルディは逃げ、ケリーが傷害致死の罪を被って一時的に服役するも、正当防衛ですぐに釈放され追訴なしの無罪放免、捜査なしとなった。
相手弁護士達にとやかく言える清廉潔白ではなくなってしまったルディが、身をもって、法曹界で渡り歩き依頼人を守るためには汚い手も知り、実践していく。
最終的に陪審員判断で巨額賠償金が命じられる勝ちとなったが、保険会社は破産。ルディにも被害者家庭にも1円も振り込まれない最後となった。
お金で勝ち負けがつかない設定となって、何を思うか?
示談金を正解とする人も、正義を正解とする人もいるだろう。依頼人が最も納得する形はなんなのか?
いくら貰おうと、手術を受けられず亡くなった息子の命は戻らない。その息子が、健康を取り戻す次に納得するのはなんだっただろう?
とても考えさせられる。
そして、どんな業界でもそうだと思うが、生き残るために手段として、善だけでは立ちゆかなく必ずなる。
生き残る者の中には、染めた悪と向き合わずに堕ち続けて、悪がジョークの域に気付けばなっている事がほとんど。
弁護士も医者も芸能界も政治家も教師も、いつしか目の前の依頼人最優先にできない利権にまみれたもののみ生き残る、そんなのはどの国でも世の通念だと思うが、全員が初めはマットデイモン側だっただろう。
「いつ魂を捨てたか聞きたい」と直球で切り込む、青い目の若き日のマットデイモンがとても印象に残る。
あなたは何を取りますか?
両極端は少なくて、グレーに染まっている人が社会の殆どなのではないだろうか。
勝ったけど、レインメーカーの仲間入り。
レインメーカーとは
コッポラ監督がこんな作品撮ってたの知らんかった。
金の雨を降らす
保険の担当者にいつもこの映画を見るように!と言ってるんですが・・・
勧善懲悪的な展開でスッキリ
司法試験を合格したばかりの青年が、巨大企業のベテラン弁護士団を相手に戦う。未熟ゆえに法廷ルールもまだわかっておらず、質問しても反論されて続かず。色々な困難を乗り越えながら、悪徳保険会社から勝利を勝ち取るのだ。
一躍有名になった彼がその後に選ぶのは1人の女性のための道だった。彼の自然体な生き方に共感した。
この映画は、法廷論争は見応えがあって面白いけれど、法廷物語ではなく1人の若者が男として独り立ちしていく物語だった。
ちょっとだけ出てくるレインメーカーそのもののミッキーロークが相変わらずカッコ良すぎた。
路線的にコメディなの?重厚な裁判モノの方が…
けっこう面白い
マット・デイモンが若くて、弁護士なのにムキムキ。
絶対要らないであろう裸シーンがあった。
主役がマット・デイモンだからか、ちょくちょく笑えるシーンあり。背の低い相棒も良かった。
ほとんど法廷シーンなのに色々あって面白い。
徐々に裁判が上手くなっていってた。
最後やるせないっちゃやるせない。敗訴側が破産したら勝訴側に一銭も入らないのは可哀想。
あと恋愛シーンが少ない。相手がいて、割と重要そうなのにサラッと終わる。
爽快
昔からとても好きな映画です。ストレートな勧善懲悪モノといいますか、...
一つに絞った方が・・・
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