レインメーカー

劇場公開日:1998年6月27日

解説

悪徳巣食う法廷に挑む若き弁護士の苦闘を描いた法廷ドラマ。ベストセラー作家ジョン・グリシャムの原作『原告側弁護人』(新潮社刊)を、「ジャック」のフランシス・フォード・コッポラの監督・脚本・製作総指揮で映画化。ナレーションの執筆はマイケル・ハー。製作は「ゲーム」(主演)「フェイス/オフ」(製作)のマイケル・ダグラスと、スティーヴン・ルーサー、フレッド・ファーカス。撮影のジョン・トール、編集のバリー・マルキン、衣裳のアギー・ジェラード・ロジャースは「ジャック」に続いてコッポラと組んだ。音楽は「大脱走」「エイジ・オブ・イノセンス 汚れなき情事」などのヴェテラン、エルマー・バーンスタイン。美術は「ロング・キス・グッドナイト」のハワード・カミングス。主演は「グッド・ウィル・ハンティング 旅立ち」のマット・デイモン。共演は「ロミオ&ジュリエット」のクレア・デーンズ、「アナコンダ」のジョン・ヴォイト、「マーズ・アタック!」のダニー・デヴィート、「ダブルチーム」のミッキー・ローク、「リーサルウェポン3」のダニー・グローヴァー、「のら猫の日記」のメアリー・ケイ・プレイス、「ミニヴァー夫人」「ある日どこかで」の老女優テレサ・ライト、「キャンディマン」のヴァージニア・マドセン、「蜘蛛女」のロイ・シャイダーなど、多彩な布陣。

1997年製作/135分/アメリカ
原題または英題:The Rainmaker
配給:ギャガ・コミュニケーションズ=ヒューマックス・ピクチャーズ
劇場公開日:1998年6月27日

あらすじ

弁護士志望の青年ルーディ・ベイラー(マット・デイモン)は苦労の末、悪徳弁護士のブルーザー・ストーン(ミッキー・ローク)に雇われた。相棒のデック(ダニー・デヴィート)は、病院に通いつめて交通事故の被害者から委任状をとりつけるという強引なやり口など、法律の実態をルーディに教える。彼の初仕事は、白血病の息子ダニー・レイ(ジョニー・ウィットワース)に対し、支払いを拒否している悪徳保険会社グレート・ベネフィット社をその母ドット・ブラック(メアリー・ケイ・プレイス)を原告に据えて訴えること。司法試験に合格したルーディ。だが、その矢先、雇い主のブルーザーは悪行が摘発されて雲隠れ。デックはルーディに独立しようと持ちかけ、ふたりは小さい事務所を構えた。そんな折り、ダニーは世を去った。訴訟棄却の審問会の日。ルーディは会社側の弁護士、老練なドラモンド(ジョン・ヴォイト)の立ち会いで宣誓し、晴れて弁護士になる。示談を狙う会社側だが、人権派のタイロン・キプラー(ダニー・グローヴァー)が担当判事となり、事態は好転、裁判が始まる。だが初めての法廷だけにルーディは苦戦。そんな彼を支えるのは頼りになるデックと、夫の暴力を耐え忍ぶケリー・ライカー(クレア・デーンズ)の存在だった。ケリーはルーディの説得で離婚を決意、彼女の夫はふたりを襲うが逆に倒され、とどめをさしたケリーは拘留される。裁判は佳境に入る。デックは会社が隠していた証人のジャッキー・レマンジック(ヴァージニア・マドセン)を探し出し、会社の支払い拒否の実態を明るみにするが、ドラモンドの逆襲で振り出しに。だが、最後に社長のキリー(ロイ・シャイダー)が証人席に呼び立てられた時、デックが雲隠れ中のブルーザーから仕入れた作戦が効を奏して、ルーディらは形勢逆転。陪審員は会社に有罪と多額の賠償金の支払いを宣告した。結局、社は直後に破産申告、賠償金は支払われなかったが、裁判には勝ったのだ。ルーディは司法関係の教育者になろうと進路変更を決め、正当防衛が認められて釈放されたケリーと新たな人生を迎えるのだった。

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映画レビュー

3.5 【70.8】レインメーカー 映画レビュー

2026年1月6日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

フランシス・フォード・コッポラが、ジョン・グリシャムのベストセラーを映画化した「レインメーカー」(1997年)は、映画史におけるリーガル・ドラマの系譜において、名匠の円熟味と劇作上の危うさが同居した、極めて特異な位置を占める作品である。本作を、シドニー・ルメットの「評決」やジョナサン・デミの「フィラデルフィア」といった、一分の隙もない知的リアリズムを誇る至高の傑作群と相対的に比較した時、浮かび上がるのは「緻密な法廷劇」としての完成度よりも、むしろ「人間への讃歌」を優先した、エモーショナルな物語としての輪郭である。
作品の完成度を深く考察するならば、本作はジャンルの定石をあえて崩すことで、司法制度の冷徹さよりも、そこに関わる人間の体温を描こうとした野心作と言える。しかし、批評家として厳格に査定すれば、最終審理という物語の頂点において、個人の私生活に起因する遅刻を許容するプロットや、法廷劇のロジックを停滞させるサブプロットの配置は、劇作術としての洗練を欠いており、現実味という尺度では明確に「拙さ」が露呈している。本作は、完璧な構造美を誇る「傑作」の称号を授けるには構成が弛緩しており、むしろ名匠コッポラが通俗的なメロドラマを換骨奪胎しようとして生じた、歪な、しかしそれゆえに抗いがたい「好ましさ」を持つ佳作と定義するのが妥当である。
キャスティングと役者の演技は、この不均衡な脚本を支える最大の功労者たちである。
主演のマット・デイモン(ルーディ・ベイラー役)は、当時、新進気鋭の若手でありながら、本作で見せた誠実な演技により、物語に人間的な説得力を与えた。彼は単なる正義の体現者ではなく、困窮し、迷い、時には私生活の混乱を法廷に持ち込んでしまう未熟な青年を、肉体的なリアリティをもって演じている。デイモンの演技が持つ、あの独特の清潔感と不器用な情熱こそが、脚本上の非現実的な展開を、ある種の青春の焦燥として観客に納得させる。彼が演じるルーディは、映画史における「完璧な弁護士」ではないが、最も観客の傍らに寄り添う、実在感のある主人公として刻まれている。
助演陣においても、名優たちがそれぞれの役割を全うしている。ダニー・デヴィート(デッキ・シフレット役)は、司法試験に落ち続けているパラリーガルという、物語の狂言回しを完璧に演じた。彼の軽妙な立ち回りと世俗的なユーモアは、重苦しくなりがちな法廷劇に活力を与え、脚本の論理的欠落を演技のテンポで補完する、映画的な「目眩まし」を見事に完遂した。
クレア・デインズ(ケリー・ライカー役)は、DVに苦しむ若き妻として、法廷の外にある「救済」のドラマを一手に引き受けた。彼女の繊細な演技は、作品に深い抒情をもたらすが、同時にその存在が法廷劇としての純度を下げてしまうという、本作が抱える二律背反の象徴ともなっている。
ジョン・ヴォイト(レオ・F・ドラモンド役)は、巨大企業の辣腕弁護士として、洗練された悪の風格を漂わせた。彼の硬質なプロフェッショナリズムは、主人公の「拙さ」を際立たせるための鏡として機能し、法廷シーンの緊張感を辛うじて担保する重石となった。
そして、クレジットの最後を飾るダニー・グローヴァー(タイロン・キップラー判事役)は、司法の威厳と人間的な温情を体現した。彼の慈悲深い存在感は、現実離れした物語の飛躍に一定の品格を与え、作品を強引にハッピーエンドへと導く「装置」としての役割を、その重厚な演技で全うした。
脚本・ストーリー、映像・美術、音楽を統合して見れば、本作は「法」という冷徹なシステムを直視することよりも、そこから零れ落ちる「情愛」を掬い取ることを選択した。エルマー・バーンスタインの音楽も、ジャズの即興性を借りて、このまとまりのなさを「人生の機微」として肯定しようとする。本作に主題歌はなく、その抑制された音作りは、脚本の拙さを雰囲気で包み込もうとする演出意図を反映している。
賞歴を見れば、第55回ゴールデングローブ賞でのジョン・ヴォイトのノミネートが示す通り、演技の質は一級品であるが、作品全体として映画祭を席巻するには至らなかった事実は、本作のリアリズムの欠如という評価を物語っている。
総括すれば、本作は映画史を塗り替えるような完璧な「傑作」ではない。しかし、名匠コッポラが、法よりも人間を、論理よりも情動を信じて描いた、極めて人間臭い「愛すべき一作」である。この「拙さ」と「好ましさ」の同居を理解した上で鑑賞するならば、本作はどの完璧な映画よりも深く、観る者の心に柔らかな足跡を残すに違いない。

作品[The Rainmaker]
主演
評価対象: マット・デイモン
適用評価点: B8
助演
評価対象: ダニー・デヴィート、クレア・デインズ、ジョン・ヴォイト、ダニー・グローヴァー
適用評価点: B8
脚本・ストーリー
評価対象: フランシス・フォード・コッポラ
適用評価点: B6
撮影・映像
評価対象: ジョン・トール
適用評価点: A9
美術・衣装
評価対象: ハワード・カミングス
適用評価点: B8
音楽
評価対象: エルマー・バーンスタイン
適用評価点: A9
編集(減点)
評価対象: バリー・マルキン
適用評価点: -1
監督(最終評価)
評価対象: フランシス・フォード・コッポラ
総合スコア:[ 70.8 ]

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honey

4.0 勝ったのか?

2024年11月12日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD
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3.5 配役の妙

2024年11月6日
PCから投稿

ミッキーロークの絶妙な 役どころが憎いね。 マットデイモンは役柄同様初々しい。なんで 弁護士なのに あんな素晴らしい筋肉 してんだて思ったけどね。 その他 脇役たちが とてもハマっていた
長い映画だったので 2回に分けてみた。 色気も何も感じなかったけど面白かったな。 そして 法廷物を見て いつも思うのだが、ちょっと頭を使えば俺でも勝てそうな気がする・・
黒いもんは黒、白いもんは白と、世間にも裁判所にも犯人にも知らしめたい若い弁護士が 正論を振りかざして頑張ろうとする姿は、それはそれで美しい。そして世の中、そういうものではない現実に打ちのめされてゆく。それで、染まってゆく・・自分もグレーに。そして、サメになる。
And then you're nothing but another lawyer joke, just another shark in the dirty water.
これはあれだな 「悪いサメを弁護する弁護士もまたサメ」という意味もあるし 「自分のダーティな心の中にそのサメがいる」っていう意味もありそうな気がするな
there is another small star in the darkness
って存在でありたいもんだね。

ネタバレ注意

デビューしたての若手弁護士がビギナーズアンラックにはまって窮地に陥る・・という話。原作者のグリシャムは、同じネタ設定が3回は通じることを証明した。

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KIDOLOHKEN

2.5 米国の司法資格がその州だけの司法資格で、別の州で弁護士活動ができな...

2024年10月6日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

笑える

知的

難しい

米国の司法資格がその州だけの司法資格で、別の州で弁護士活動ができなく、またその司法試験が容易に合格できるそうで、交通事故があり、それに警察が駆けつけ、その事故の当事者が警察署に行きますが、米国だとすぐにその事故当事者に弁護士が駆けつけ私にあなたの弁護をとセールスしに来るそうで、311の福島の原発事故の際にトモダチ作戦として参加した在日米軍の軍人がその後に白血病になり、東京電力関係の会社の米国に支店があるその支店の会社に訴訟を起こしたが、敗訴したそうで、裁判が被告がいる場所の裁判所でが普通ですが、

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39stepbacK