リバティ・バランスを射った男のレビュー・感想・評価
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西部の男たちの挽歌‼️
この作品は "西部劇の神様" と謳われたジョン・フォード監督だからこそ撮り得た名作ですね‼️1880年代、東部から西部へやって来た若き弁護士ランスは、無法者リバティ・バランスに襲われ、牧場主トムに助けられる。やがてランスは、州への昇格運動をめぐって、反対派の手先バランスと決闘するはめになるのだが・・・‼️黒澤明&三船敏郎の次に偉大な映画界における名コンビだと、個人的に思うジョン・フォード監督&ジョン・ウェインによる最後のコンビ作です‼️ホントにカッコいい、西部の男たちの挽歌ですね‼️銃社会を真っ向から否定する熱血感のジェームズ・スチュワートもハマり役なんですが、やはりトム役のジョン・ウェイン‼️その深みのあるいぶし銀的演技で、時代遅れなカウボーイ役を熱演されてます‼️そしてキーパーソンの無法者リバティ・バランス役のリー・マーヴィンも憎々しい存在感と、睨みをきかせた目力でいい味わいを出してるし、その手下の一人がリー・ヴァン・クリーフというのも奇跡のキャスティングですね‼️ホントにスゴい‼️物語は回想形式で、「誰がリバティ・バランスを射ったのか?」というミステリー要素も織り込まれ、巧みにストーリーが展開します‼️フォード監督お得意の詩情性に加え、枯れた味わいも盛り込まれていて、それがまたジーンときます‼️ヒロインのヴェラ・マイルズをめぐる三角関係のヒロイズムなどは純文学風に描かれていて、トムの棺の上にカクタスローズが乗っているカットも忘れられません‼️ラスト、真実を知った記者の言葉、「ここは西部。伝説が事実となってしまったら、伝説を印刷する」が印象的でした‼️アメリカの美徳、西部の伝説、西部の神話‼️なんかジョン・フォード西部劇の集大成のような作品だし、そんな作品をジョン・ウェインとの惜別の作品としてるというのもホントに泣けます‼️
西部劇風民主主義映画
ウェイン先輩の豪快西部劇とスチュアート先輩の正統派的社会派劇が見事なバランスで娯楽作品としてもメッセージ作品としても一級品、且つ抒情性も十分で、さすがのフォード御大、といった趣の映画です。
多方面で絶賛の傑作。確かに面白くはあったが個人的にはそこまでは…。...
多方面で絶賛の傑作。確かに面白くはあったが個人的にはそこまでは…。
キャスト、スタッフは豪華。暴力か法か、主人公2人がなんとも適役。映画的にもヒーロー西部劇の終焉を告げる作品とのこと、確かに。
タイプの違うふたりの友情
ジェームズスチュアート扮するランスストッダード上院議員がジョンウェイン扮する友人のトムドニファンの葬式のためシンボーンにやって来たと言った。上院議員はトムドニファンについて語り始めた。
ジョンウェインとジェームズスチュアートの共演作品だね。リバティバランスとは強盗の名前だ。それに当時の人々の中には字が読めなかった者もいたんだね。巨悪のリバティバランスに挑戦しようというランスを導こうとするトムドニファン。タイプの違うふたりの友情と言うところかな。
心温まる西部の伝説。題名に大きな意味がある。
アメリカ西部にある小さは町に
初老の夫婦がやってくる。
ふたりの顔には懐かしさと
寂しさが見える。
汽車から降りた夫婦は大歓迎される。
上院議員の男は次期 大統領候補。
妻はこの町で生まれ育った。
何故、夫婦はこの町に来たのか。
リバティ・バランスとは誰なのか。
その謎は次第に明かされてゆく。
友情と愛情の交差する映画。
ジョン・フォード監督が
その時代を生きる人々の
粋で情熱溢れる様を丁寧に描く。
※
ジョン・ウェインが良い。
※
白いエプロンでの決闘
1962年。ジョン・フォード監督。押しも押されもせぬ大物政治家が西部の小さな町に帰ってくる。ある男の葬儀のためにお忍びできたという政治家に対して、新聞記者が無名のその男との関わりを聞き出すが、、、という話。回想の形で語られる西部開拓時代の法と暴力と民主主義の始まりの物語。そこに恋がからんでいく。
なんといってもエプロン姿のジェームズ・スチュワート。決闘までエプロンのまま。西部の野蛮で暴力的な男らしさとは対極の、理想を求める法と正義の人という表現なのだが、それが女性性をまとっているのが特徴。この表現がすばらしい。この作品によって「映画における白いエプロンの意味」があからさまになったといっても過言ではない。と多くの評者がいっている。
もちろん、回想だから結果が見えていて、わくわくどきどきということにはならないが、モノを投げたり置いたり手放したりすることを契機に画面と物語が転調していて、そのリズムはとても心地よい。蓮實大先生が指摘しているように。教科書らしき本を乱暴に机に置くヴェラ・マイルズとその後の展開を見よ。
「ベルファスト」で、幼きケネス・ブレナーがTVで観ていた映画。 T...
「ベルファスト」で、幼きケネス・ブレナーがTVで観ていた映画。
This is the movie of John Ford 。
これぞ ジョン・フォード節。
若き、リー・ヴァン・クリフが、悪役ででてる。
ジョン・フォード監督とジョン・ウェインが辿り着いた、西部男の清廉な純愛秘話の味わい深い西部劇
西部劇と郷愁の人間ドラマを得意としたジョン・フォード監督の、名作「駅馬車」から刻んだ歴史の終着点に位置する後期の代表作。ダブル主演のジョン・ウェインが55歳でジェームズ・スチュアートが54歳、そしてフォード監督が68歳。それ故にスピードとダイナミックな迫力はなく、交通手段が駅馬車から鉄道に代わった時の流れを回顧する主人公ランスの、記憶に残る一人の西部男トムへの鎮魂歌が渋い感動を呼ぶ。キャスティングに於いても、「駅馬車」の御者役アンディ・ディヴァインが頼りない保安官でユーモアを出し、同じく賭博師役だったジョン・キャラダインが後半の準州会議での牧場主側の弁護で風格ある紳士を演じている。ヒロイン ハリーは「捜索者」のヴェラ・マイルズで勝気な娘と淑やかな婦人を上手く演じ分けている。「バファロー大隊」の黒人俳優ウディ・ストロードもウェインに仕える使用人役で良い存在感を見せて、とても印象的だ。加えてゲスト出演ではあるが、「わが谷は緑なりき」のアンナ・リーが、冒頭の駅馬車に乗り合わせた未亡人を演じているのも個人的には嬉しい。他にもアル中の正義漢ピーボディ編集長のエドモンド・オブライエンもいいし、食堂の女将ノラのジャネット・ノーランの人懐っこいキャラクターも好感持てる。
しかし、この作品を名作にした一つの要因は、タイトルネームのリバティ・バランスを演じたリー・マーヴィンの悪役の存在だ。彼の強烈な個性が、ウェインとスチュアートの対立をより鮮明にしていると言っていい。このウェインとスチュアート名優二人と五分に渡り合う事の困難とその挑戦は、マーヴィンのその後の俳優人生を変えるくらいの成果を上げたというだけの事はあると、感心してしまった。それと、全盛期を過ぎたアメリカ映画の西部劇が、イタリアのマカロニウエスタンに移行したのを象徴するかの様に、名脇役リー・ヴァン・クリーフがバランスの手下役で出演している。これほどに、キャスティングだけでも楽しめる映画はなかなかない。
弁護士資格を持った主人公ランスは名声と富を求めて駅馬車で西部に来るが、この25年前の時代説明には驚くことが多い。トムを引き立たせる意味で保安官のだらしなさを強調しているのだろうが、それでもたった一つの牢屋の鍵が壊れていて、しかも保安官の寝床になっているギャグのような話は唖然とさせる。保安官とは名ばかりで、法と秩序より銃の支配する暴力が正当化されているのだ。この無政府状態の素因は、支配階級にあたる牧場主が荒くれ男を用心棒に雇い、その権力を意のままに行使していたからだろう。一応は法律書を読み解くランスの場面があり、管轄権とか告訴状の言葉が語られるシーンもある。しかし、ヒロインのハリーを始め多くの人たちが文盲のため、法律を理解できる人が少ない。多くの西部劇映画では教会が学校の代わりを果たし、子供たちに読み書きを教えるシーンがあるが、この田舎町シンボンを舞台にした話には神父さんが登場しない。よって弁護士のランスが先生を兼ねるが、その教室の黒板には、”Education is the basis of law and order”(教育こそ法と秩序の基盤である)と書かれている。ワシントンやリンカーンの肖像画が飾られ、ジェファーソンの独立宣言の基本原理である人間は皆平等であるを黒人のポンピーに説くランスと、ジョン・フォード監督らしいヒューマニズム溢れる名シーンになっている。憲法や法律があっても、それを理解する知識と広める教育が無ければ、単なる絵に描いた餅に過ぎないのもまた、自明の真理なのだ。
この真面目な講義の時代再現を味付けする厨房シーンもまた興味深い。大きな皿からはみ出る程のステーキの巨大さ、豆とポテトとアップルパイとパンの限られたメニュー。ランスがホットコーヒーにブランデーを混ぜた飲み物に辟易する場面もあった。そういえばコーヒーをサイフォンで淹れて楽しんでいた中学時代、興味本位でカフェ・ロワイヤルを何度か試したことを想い出す。映画ではブランデーをそのまま注いでいて如何にも西部らしいと思ったが。保安官のステーキのツケが49枚に達しているマーシャル専用黒板のカットも可笑しい。
この映画の演出で特に良いというか、ジョン・フォード監督独自のタッチが光るのが帽子の扱い方だった。最初は、トムが保安官の帽子を取り床に落とす場面。拾おうとした保安官より先にハリーが足で蹴飛ばし、帽子がランスのところへ飛んでいく。保安官失格をユーモラスに描きながら、町の新しい秩序をランスに託すハリーという、この映画の人物設定と役割をワンカットで見せた巧妙な演出が素晴らしい。それを些細で日常的な仕草で表現する自然さと映像の遊び、これこそ映画演出の本質ではないだろうか。次は、準州会議の代表者を決める集会場面。ランスから候補の推薦を受けたトムが、自分のする仕事ではないと聴衆を静める為、机上にあったピーボディ編集長の帽子を木槌で叩き潰す。禁酒の集会でわがままを言うアルコール依存症の編集長への戒めと代表を示唆するトムの心理を表したものだ。そして、決闘の決着が付いた後の、馬車の荷台に乗ったバランスに投げ込まれる帽子のカット。死者に対する最低限の儀礼と言えるだろう。蹴られ、叩かれ、投げられる帽子。この帽子たちも、この映画の主要登場人物になっている。
それら、主軸のストーリーを支える演出が素晴らしいが、映画の主題は西部男の清廉な純愛だった。トムは、愛する人の為に結婚を想定して家を増築するが、ランスの正義感と行動力に惹かれていくハリーの幸せを優先させ、男らしく身を引く。しかし、そこには男ならの惨めな嫉妬と、非情な殺人に手を染めた苦悶もある。ジョン・ウェインがこのトム・ドニファンという翳のある男性像を見事に演じていた。二度目のクライマックスの決闘シーンに入る前のウェインの顔がズームアップするカットのやさぐれた表情。嫉妬に囚われ、見た目も気にせず、無精ひげを生やして眼も虚ろながら、ランスを奮い立たせるために最後の力を振り絞る男の姿があった。この姿は泣かせる。「駅馬車」でストレートに愛を告白したリンゴ・キッドを演じたジョン・ウェインが辿り着いた23年の軌跡の終着地。外見の格好良さに拘らない西部男の純粋な心意気を讃えた、フォード監督の真意を汲み取ったジョン・ウェインの名演と言いたい。このウェインとスチュアートは、本編の殆どを占める回想場面では30代の青年役なのだが、そんな違和感は何でもない。名優の演技力と存在感で見事に払拭している。
ジョン・ウェインとジョン・フォード監督の最後の作品に相応しい、味わい深い西部劇映画の名作であった。
東部男と西部男の伊達比べ そして、哀しさ
西部劇なんだけど、派手な銃撃シーンで魅せるアクション映画ではなく、セリフ劇です。
ジョン・スチュワートが演じる東部の男。法律家で学があり礼儀正しい男。
そして、ジョン・ウェイン。西部男! 口は達者で荒っぽいが優しい。
この二人のコントラストが凄い。法と秩序の東部男。銃が必要だと西部男。どっちも正しい。その価値観のぶつかり合い!
でも、二人が対決するのではない。悪役がいる。リー・マーヴィン! 彼の演技が見事。ジョン・ウェイン相手に見事な悪役っぷり。ボス感が見事!
そんな男たちの伊達比べが見どころです。
それで、伊達っぷりが頭一つ出ていたジョン・ウェインが終盤になると哀愁を帯びてくる。切ないです。
そして、最後の締めくくりのセリフがいい。あれが全て。伝説を作った男と背負わされた男。二人とも大きなものの為に殉じたんですね。その哀しさ。
ちなみに、映画は細部に渡って芝居ががっています。酒場の外へ突き飛ばされた酔っ払いの千鳥足まで名人芸! 脇役までも芸達者が揃ってます。
そんなところも見どころ。
ストイックなモノクロ映画
陰影の美しさ、哀愁を帯びたストーリー、沁みましたね。
良質な映画を観たという感じです。そりゃ暴力描写とかリアリティとかは昔の映画なので現代のレベルと比べたら勝ち目は無いですが、「スクリーンの向こう側」を感じさせる芸術作品で、個人的には大好きですね。
酒が旨く飲める、そんな映画でした。
誰が撃ったのかな?
2021年7月17日
映画 #リバティ・バランスを射った男 (1962年米)鑑賞
西部劇でよく見る勧善懲悪のフォーマットはありつつも、州昇格に向けた選挙とか法治国家らしい話も出てくる。
#ジェームズ・スチュアート と #ジョン・ウェイン って1つ違いなんだね、
演技面では対等にぶつかりあってます。
述懐の古典
いつか見ようと思っていながら、見ていなかったThe Man Who Shot Liberty Valanceを見た。
個人的にはあっさりした印象の映画で、往年を楽しんだけれど、ジョンフォードなら駅馬車や怒りの葡萄やわが谷は緑なりきや荒野の決闘のほうがいい。
あとでwikiを見たら『クライマックスの決闘のシーンを終盤に持って来ず中盤で行い、終盤で決闘シーンの謎解きの種明かしを行うという前代未聞の展開を持つ作品である。』と書かれていた。
が、「前代未聞の展開」において、名画になったわけではなく、助けた男に恋路を奪われるトムドニファンの哀感に主意がある。とはいえ、それが染みる感じはない。さらりと描き、どう見るか委ねている。
ただ、人がたくさん撃たれて死ぬ西部劇で、ひとつの殺人にどこまでもかかずりあう映画だったと思う。
ジョンフォードもジョンウェインもジェームズステュアートも最盛期は過ぎていて、なんとなく晩年の始まりを感じさせる映画だった。
ところで、往時の西部のダイナーの様子をこれほどつぶさに描いているのは見たことがなかった。その肉の厚みたるや、特大わらじカツにしか見えず、一人前の皿などオーバルのパーティープレートと言っていい。それをヴェラマイルズが給仕している側で、ジェームズステュアートが、たらいかなにかで、おおざっぱに皿をすすいでいる。忙しそうなのだが、口数に比べて動きは優雅。こんなダイナーで皿洗いをしたいと思った。
名作です
「捜索者」同様に後から評価が上がった作品だそうです、古臭さは無く胃は無いですがそれを上回る面白さでした。ジョン・フォードって素晴らしいですよね。
それにしてもジョン・ウェインって高倉健と一緒で背中で演技すると(というか普通に喋って演技していると大したことないけど)最高の味が出ます、男の悲哀を全身に背負う、良いですね~アッパレです。
主人公が青臭く魅力に欠けた
総合50点 ( ストーリー:50点|キャスト:50点|演出:55点|ビジュアル:55点|音楽:60点 )
主人公のランスは力もないくせに実現出来ない青臭い理想論ばかり主張してすぐに感情的になって行き当たりばったりの行動をとるし、トムは偉そうに講釈するだけで覚悟を決めて何か実行しようとしないしで、登場人物の魅力に乏しい。その間も敵役のリバティは誰に咎められるでもなく好き放題している。むしろ彼のほうが存在感がある。
物語は結局リバティとは別の主題であるはずの州への昇格を阻む悪の親玉の北部の農場のことは登場せず、悪党数人が南へ来て何か悪さをしているだけだし、展開も無駄に長くて退屈気味だった。結局トムはその後どう生きたんだろうか。
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