リトル・ヴォイスのレビュー・感想・評価
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モンロー
マイケル・ケイン演ずるレイ・セイが有望新人を発掘したと喜び、母との結婚話はそっちのけとなる。元々胡散臭い芸能プロモーターという男と、若干クレイジーな母親の関係だ。
LVがマリリン・モンローを好きだと言う台詞に対して、「モンローと言えば、マット・モンロー」という答え。60年代音楽のネタも満載なのだ。「虹の彼方へ」を唄うLVに、「ジュディー・ガーランドとシャーリー・バッシーが家でココアを飲んでいる」という台詞は微笑ましい。前座のテイク・ファットや豚笑いするセイディも面白い。
やがてレイはLVを何とかブーの店であの手この手で歌わせようとするのだが、最初のステージではほとんど歌えず、ようやく1度だけステージに立つことになる。
ステージのセットが鳥篭になっていることやビリー(マクレガー)の飼っている鳩にも象徴されるように、閉じこもった世界から飛び出したいことを表現いると思います。それでもラストの展開はもうちょっと練ってほしいところだ。マイケル・ケインの切れた歌も最高でした。ただ、選曲や映画の台詞のチョイスはイマイチわからない。やっぱり出るか『オズの魔法使い』といった感じでした。
馬鹿母と陰気な娘の物語
母親である前に人としても失格な残念な母親に只管虐げられる娘の話、正直観るに堪えない。
プロットを見た限りでは往年の歌手の歌真似の得意な少女が才能を開花させてゆく成功物語かと思ったが酷い話、下卑た大人に振り回される娘に同情はするが地味顔で華が無いしショービジネスには向かない性格、鳩好きな男の子とは似た者同士、上手くやっていってほしい・・。
役者が悪戯に声を張り上げたりテンション過剰な演技、演出が仇になる例は舞台の映画化にありがちだ、おまけに感電をコメディにしょうとするセンスは漫画のギャグ並み、電気の故障は危険なのに放置して案の定火事になる、それのどこが面白いのだろう・・。コミュニケーションが苦手な小声の人たちへのハラスメントは止めましょうと言う社会派ドラマなのだろうか。
エルヴィー
利己的な大人に振り回されなかったのは、彼女の強さです。
彼女が用いる言葉は有名な女優の科白ばかり。
どこかで聞いた自分の言葉ではないセリフを使うのは
世界から閉じこもった彼女の拒絶の形です。
一枚レコードを挟んだ向こうに彼女がいる。
彼女が初めて自由に話した言葉は、拒絶や憤り。
だけどそれでもいいのです。
レコード越しではなく、生身のエルヴィが世界に触れた瞬間。
話を聞かない大人に一言言ってやれ!と彼女を応援していたので、感動しました。
鳥のように自由に飛べるのだから、良い人生を歩んでほしい。
ラストシーンで、飛び回るハトたちが彼女の旅立ちを象徴しています。
ユアン・マクレガーも初々しくて、寡黙な青年役がよく似合います。
こういう純粋な役が彼に似合いますね。清潔感があるからでしょうか。
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