リオ・グランデの砦のレビュー・感想・評価
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家族に揺れる騎兵隊長!
騎兵隊三部作第3作。
Amazon Prime Videoで鑑賞(吹替)。
アパッチ族との戦いの最前線に立つ騎兵隊長役のジョン・ウェインのカッコ良さにしびれました。家族との関係に頭を悩ます姿は人間味があって完全無欠じゃないのがいい。
ドラマとアクションの時間配分が抜群で、一切退屈しませんでした。荷馬車が教会の階段を駆け上がるシーンがダイナミック。銃撃戦もなかなかの迫力で手に汗握りました。
やはり共感の薄いままに終わった騎兵隊3部作目の鑑賞に…
正直なところ、
フォード監督の騎兵隊3部作の他の2作品には
あまり共感を得られることはなく、
この作品を観る予定にはしていなかったが、
NHKでの放映を機に
3部作完結の意味で初鑑賞した。
前半は、
出演者が本当にこなしているような
ローマ式立ち乗り乗馬等の
見事な疾走シーンは元より、
中佐一家の何やら訳ありげのような確執と
家族愛の展開に
「アパッチ砦」や「黄色いリボン」にはない
面白味を感じ期待が持てていた。
しかし、後半は、
主人公の心象を安直な歌謡ドラマを彷彿
させるような度重なる合唱シーンの挿入や、
合戦の御都合主義的展開は相変わらずだが、
各合戦の連続性そのものが散漫過ぎて
まとまりが悪く、
それほど長い作品ではないにも関わらず、
冗長感の中に追いやられてしまった。
また、最後は中佐が矢で射られて亡くなり、
息子がその意思を繋いでのエンドかと思った
ので肩透かしを喰らってしまった。
何か、ヒーローは最後の最後まで
亡くなってはいけないとの、
まるで娯楽イズムからの脱却出来ない、
フォード映画のテーマに対する執念の希薄性
が表れているような気がしてならなかった。
「怒りの葡萄」や「わが谷は緑なりき」では
テーマ性豊かな作品を監督していたような
気がしているが、
「駅馬車」は別として、
見事な騎馬疾走シーンのある西部劇に
限っては逆に、
テーマ性が薄くなる残念なイメージを
フォード映画には共通して感じている。
家族再会
1950年。ジョン・フォード監督。先住民族との戦いの最前線にいる騎兵隊指揮官のもとへ、生まれてすぐに別れた息子が士官学校で進級できずに一兵卒としてやってくる。別居中の妻も息子を追いかけてくるが、夫である指揮官とは南北戦争中のわだかまりが解けていない。期せずして家族再会となったところへ、先住民族の奇襲を受け、騎兵隊は討伐に出ることになって、、、という話。
親子関係、夫婦関係、といった家族にまつわるテーマと、新人教育、上下関係、という組織にまつわるテーマ、法と人情、南北対立、といった社会にまつわるテーマ、などが複雑さを表面化させずに丁寧に描かれている。名前の呼び方、軍隊の掛け声、合唱など広い意味での音響へのこだわりもすばらしい。人々が合唱に聞きいるいくつかのシーンには多様な感情が流れていて見事というほかない。
インディアンへの差別意識・偏見があって見るのに抵抗感を覚えた
監督
ジョン・フォード監督による1950年製作のアメリカ映画。
原題:Rio Grande、配給:NCC。
同じくジョン・フォード監督の1948年制作の「アパッチ砦」がとても楽しめたので、見たのだが。原作はジェームズ・ワーナー・ベラで同じながら、脚本がフランク・S・ニュージェントからジェームズ・ケビン・マッギネスに代わったせいだろうか、かなりガッカリしてしまった。
まず「アパッチ砦」と異なり、インディアンの扱いが野蛮人で、女まで殺し、子供達をかっさらう。ただし、子供たちには監視もなく、教会におり、簡単にジョンウエインの息子クロード・ジャーマン・Jr達に救助される。当時のお約束ごとかもしてないが、自分的には子供をさらう理由等、訳が分からない脚本と思わされた。
ギターを手にして歌うシーンも複数あり、歌も曲も自分的には良くなく、ひどく退屈してしまった。別居中だった妻との愛情復活、大学を落第して戻ってきた息子との関係生が映画の主題の様であったが、甘々なありふれた描写で楽しめなかった。
唯一、二頭の馬への立っての乗馬、及びインディアンが撃ち殺されての落馬のスタントの迫力には、感心させられた。
原作ジェームズ・ワーナー・ベラ、脚本ジェームズ・ケビン・マッギネス、製作ジョン・フォード メリアン・C・クーパー、撮影バート・グレノン、美術フランク・ホテリング、編集
ジャック・マレイ、音楽ビクター・ヤング。
出演は、ジョン・ウェイン、モーリン・オハラ、ベン・ジョンソン、クロード・ジャーマン・Jr。
適度なハラハラと笑い
主人公と妻、息子の家族との葛藤が中心の西部劇。
70年以上も前の映画で白黒。
原住民と戦うシーンもあるがなぜ、争っているのかはわからないまま。
原住民にとっては白人との争いは悲しい歴史と思うがその辺は深く描かれておらず残念。
とりあえず風景はモニュメントバレーであろうか。
訪れたことがあったので懐かしかった。
ジョン・ウェインが亡くなってもう50年、子供の頃、何本か劇場で見たがあの頃はかっこよさにすごいなあと思っていた。
また、こうして彼の作品を見ることができるのはうれしい限りだ。
それにしてもモーリン・オハラ、白黒でもめちゃ綺麗!
ホームドラマを内包した西部劇のフォードタッチに酔う
騎兵隊三部作の最終章。部隊全滅の悲劇の「アパッチ砦」、退役大尉の哀愁の「黄色いリボン」ときて、今度はフォードが愛して止まない騎兵隊と家族を同等に扱っている。西部劇作家としての評価が知れ渡っているが、フォード映画の真骨頂には郷愁作家としてのリリシズムと家族愛がある。その人間味豊かで詩的な表現が男性的活劇である西部劇を他の追随を許さない境地にしている。組織化された縦の関係を基本とする騎兵隊と家族をバランスよく描いたのが、この「リオ・グランデの砦」になる。家族がジョン・ウェイン、モーリン・オハラ、クロード・ジャーマン・ジュニア、騎兵隊メンバーはベン・ジョンスン、ハリー・ケリー・ジュニア、ヴィクター・マクラグレンのキャスティングで、撮影が「駅馬車」のバート・グレノンと、フォードタッチを味わうには最良です。痛快なユーモアから軽いユーモアまであり、二頭の馬に乗って疾走するアクロバットも楽しめる。完成度を求めず、多面的なフォード演出に酔える作品です。
ベストオブベストの西部劇
騎兵隊三部作の最後を飾るだけあって大変に面白い
突撃ラッパを響かせて爆走して救援に突入する騎兵隊!
これぞ騎兵隊という映像をたっぷりと堪能できる
しかも、お話が重層的であり見応えたっぷりだ
まずジョン・ウェイン演じる騎兵隊隊長の重責と厳しい中にも人情味溢れる指揮ぶりを描く物語である
そこに新兵として現れる息子
彼は仕官学校を成績不良で退学させらていたのだ
その息子をつれもどそうと彼を追ってくる妻
その二人とは指揮官は15年も会っていない
作戦上やむを得ず妻の実家の農園を焼き払ったことをきっかけとして、15年も妻も幼かった息子も放置して最前線で単身赴任しどうしだったのだ
この崩壊した家族の絆の再建の物語でもある
妻役はモーリン・オハラでプライドが高く気が強い、しかし実は心優しい女性を見事に演じていてジョン・ウェインとお互い見つめ合うシーン、並んで立つシーンの目の動き、気遣いと言った部分に演技以上の何かのケミストリーまで感じてしまうほど
また、その息子の男としての成長の物語でもあります
そして、それを見守る父な物語でもあるのだ
彼のまだ高校生のような風貌も配役の勝利で素晴らしい
そこに、保安官が殺人罪で逮捕しようとする息子の同期入隊の戦友のエピソードが絡む
そして、指揮官とは長い上司部下の関係であるクインキャノン曹長のコメディリリーフが挿入される
この曹長役のヴィクター・マクラグレンは騎兵隊三部作全てに出演し、さらにフォード監督の次回作の静かなる男にも出演している監督のお気に入り
本作では彼の出演シーンが大幅増量されている
彼のシーンは本当に生き生きしており楽しい
表情、仕草を見ているだけで面白い
その上、連隊歌手の歌のシーンも美しく、たっぷりある
しかも戦闘シーンの迫力は駅馬車並みなのだから
もう本当に楽しめる
冒頭は戦いから砦に帰投する騎兵隊のシーンから始まる
道の左右に並ぶ彼らの妻たちが心配そうに隊列の中に自分の夫がいるか探しているシーンから始まる
負傷者は馬が引きずる担架に横たわっている
その顔が夫ではないかと覗きこむのだ
そして終盤も同じシーンだ
騎兵隊が激戦を終え砦に帰ってくる
そこには夫と息子の無事を探す指揮官の妻の姿がある
ラストシーンは手柄を立てた息子達の表彰シーンだ
そこには殺人罪に問われている彼の戦友もいる
見事にすべてのお話が畳まれて大団円となり
最後にクスリと笑わせるオチをつけて綺麗に終わる
これ程見事な構成で見応えがあり、後味の良い西部劇はないだろう
ベストオブベストだ!
最前線の砦で何を描きたいのでしょうか
総合50点 ( ストーリー:50点|キャスト:60点|演出:55点|ビジュアル:60点|音楽:60点 )
最前線に駐屯中の軍隊に女が勝手に入ってきて普通にそこで生活してしまうし、そこでやたらと家庭内の問題を持ち込むし、恋愛の話にもなるしで、この砦でいったいどんな物語を展開したいのか。それにやたらと音楽を歌ったり奏でたりして、これは音楽劇ですか。何を描きたいのか焦点が散漫になっている物語は気に入らない。この当時は普通であったであろうが、夜中に呪文を唱える異質の野蛮人として登場する劇中のアメリカ先住民に対する扱いも気にくわないし、白黒映像も観辛いし、敵の村に突撃する戦闘場面もどうなったのかよくわからないまま勝ってしまっている。全体に古い映画という印象。ただし騎兵隊の馬術は上手かった。
心和むエンディング
騎兵隊が砦に帰還する場面から始まるが、馬を急に休めるのではなく30分歩かせてから水を与えるという指示に「なるほど」と感心して納得。隊員の労をねぎらい酒保を夜中まで開けるという気遣いなど、ヨーク大佐(ジョン・ウェイン)の指揮官としての人柄が出る。
描写も「黄色いリボン」の流れを汲んだ叙事詩的なところがあるが、ジョン・ウェインが演じるカービー・ヨークは「アパッチ砦」の主人公と同じで、「アパッチ砦」の続編と見なすことができる。階級は大尉から大佐に昇級している。
なお、名コンビとなったヴィクター・マクラグレンが演じるのは「黄色いリボン」と同じクインキャノンだ。こちらも軍曹から曹長になったようだ。
このクインキャノン、ヨーク大佐とは切っても切れない主従関係だが、今回はヨークの妻キャサリンとの過去に確執がある設定で、ふたりの閒のモヤモヤ感が笑いを誘う。陰険にならないところにキャサリンの人柄が出ている。
タイリー(ベン・ジョンソン)とサンデー(ハリー・ケリー・ジュニア)が、スタントなしで2頭の馬に跨るハイレベルな乗馬術・ローマ式立ち乗りをするシーンは見応えがある。昔は凄い俳優がいたものだと感心する。
このローマ式立ち乗りに挑戦する息子にカラダを硬くし、仲間と殴り合って治療を受ける姿を見ては微笑むヨークの親心がよく出ている。
冒頭、険しい顔で登場したキャサリン(モーリン・オハラ)の表情もラストでは和らぐ。夫婦は円満が何よりだ。ヴィクター・ヤングの“Dixie (End Title)”に乗せて日傘を回すキャサリンの姿が楽しそうで微笑ましい。
さて今作では、クインキャノンのトボけたお笑いのほかにも、賑やかなお嬢ちゃんマーガレットの無邪気さにも笑える。
さらにヨークの息子ジェフの盟友となるタイリーは、乗馬術に長けているだけではなく、馬を見る目があるというのがポイントで、笑えるだけでなくラストのオチに繋がる。
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