ラリー・フリントのレビュー・感想・評価
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アメリカだなぁという物語
アメリカのポルノ王の物語。破茶滅茶だけど、自由と性を貫く生き様は、後半の裁判シーンではアメリカという国の建国にまで遡り疑問を投げかける。裁判映画という側面でも興味深い。
名優ウディ・ハレルソンとエドワード・ノートンはもちろんだけど、主人公の妻役のコートニー・ラブが際立って良い演技だった。
ハスラー ワクワク
風貌や言動も普通の男だった。ちょっとエロい程度。ベトナム戦争の時代ということもあって言論・表現の自由とか謳ってるのかと思いきや、単なる雑誌の売りあげを伸ばすための男だったりする。有罪判決も受けるし、銃撃戦で巻き添えを喰ったこともある。なんだか波乱万丈な人生のようだけど、共感もできない・・・
撃たれて車椅子生活になってからのハレルソンの演技は独特の口調で面白かったけど、演技力としてはエドワード・ノートンのほうが上回ると思う。
ホントかネタか?
アメリカ人には有名でも、日本人には殆ど馴染みがない人なので、日本人が評価すると誤解しているはずです。
アマデウスも、カッコーも同様に、大げさにデフォルメするのが得意な監督なので、例によってどこまで真実でどこからネタなのか、そこが面白いです。主役確かに熱演ですが奥さん役もなかなか良いです。
ポルノ雑誌創刊者の常識をぶっ壊したような実話。 気が重くなった。 ...
ポルノ雑誌創刊者の常識をぶっ壊したような実話。
気が重くなった。
鑑賞日:2015.3.21
裁判沙汰のたたかいの記録
社会、道徳、法律、メディア、権力、そして神。あらゆるものに牙をむいた、なんともアナーキーな人物。サクセスストーリーというよりは、繰り返した裁判沙汰のたたかいの記録。
そして、この映画で重要なのが嫁の存在。ほんとか知らんが、まあ、派手な、というか飛びすぎ。後半はどうも演技とは思えんジャンキーぶり。だからこそ、死は儚く滲みます。キャスティングの勝利。コートニー以外ではここまでのインパクトを残せなかったはず。
内容も濃く、名作といっていいんじゃないでしょうか。
法と闘うポルノ野郎!?
開き直った感のあるC・ラブの脱ぎっぷりに軽い雰囲気が彼女に合っている。
カートは天国で何を思う!?
色々な雑誌がある中、ジャクリーン夫人の写真をハスラー誌に提供した理由が解らない。
夫婦破綻がお決まりな感じの自伝が多い中で最期まで愛し愛された夫婦仲だったフリント夫妻。
E・ノートン演じる弁護士よりも弁が立つラリー・フリントの存在感にキャラが破天荒過ぎてノートン弁護士の存在が霞む。
ラリー・フリントの破天荒な行動をテンポ良くその分、端折って話が進んでいる気もするが実在の人物の魅力は伝わってくる。
不愉快に基準はあるのですか?
本作は、「公人に対しての劇画化や、風刺画」を堂々と描けるようになった、アメリカの重要な裁判の映画化です。
ラリー・フリント( ウディ・ハレルソン)は、1970年代に「ハスラー」というポルノ雑誌を刊行した実在の人物です。この「ハスラー」は、ゴシップ、スキャンダルは勿論、タブーとされて来たことを敢えて記事にし、物議を醸し出すことで有名雑誌になりました。
また、ラリーは破天荒な人で、度々問題を起こしては裁判沙汰になったりします。しかもその裁判では、裁判官に暴言を吐き、暴れ、噛みつき、法廷を侮辱します。結果、エロ・グロ・ナンセンスなハレンチ雑誌「ハスラー」は、社会の良識派から敵視されます。ですが、ラリーは屈しません。
そんなある日、ラリーは高額な賠償請求をされます。ようは、訴えられたのです。
それはお酒の広告で、「(実在の)宗教家が、母親との性的な関係を告白する」というもの。勿論、嘘です。
宗教家は、誹謗中傷&精神的苦痛を受けたとして、ラリーに4000万ドルの損害賠償請求をします。しかし勿論ラリーは法廷で、いつもの破天荒ぶりを発揮します。結果、敗訴。「精神的苦痛」に対して、宗教家に20万ドルを払うことになります。バージニア州の地方裁判所は、誹謗中傷部分については、認めませんでした。
さて、ラリーは控訴します。
以下は、最高裁でのラリーの弁護士(エドワード・ノートン)の結語です。
”風刺というのはこの国の古くからの伝統なのです。
フォルウェル師(宗教家)が誹謗ではなく、精神的損害で訴えを起こせるなら、公共の人物は皆訴訟を起こせる。
風刺漫画家も訴えられる。テレビの司会者だって訴えられるかもしれない。どんな公人でも、自分が批判されたら精神的打撃を受けます。
だからといって、それで訴えられたら、反駁できません。
不愉快に基準はないのです。もしそうなったら、すべての不愉快な言論を罰することになる。
我々の国では、たとえ不愉快な言論でも、健全な国家にとって不可欠な活力であるという信念が基礎になっているはずです。”
結果、ラリーは勝訴します。
こうしてアメリカでは、公人の戯画化やパロディが、大手を振って描けるようになりました。
印象的なシーンがあります。
ハスラーは、法律では見せてはいけない部分を掲載してしまいます。その件でラリーは、「自由な出版を守る会」でこう主張します。戦争の写真とヌード写真を交互に見せて、「どちらか忌まわしいか?」と訴えるのです。流石(笑)
またラリーの奥さんに、コートニー・ラブが出ています。マナー無視の自由人ですが、なんかそこが可愛いです。
いろいろな形の自由
表現の自由とキリスト教的価値観を問う一作。
人種問題など世界的なものとは違えど、人にはいろいろな形の"自由"がある。 ハスラー誌を創刊したラリー・フリント波乱万丈の半生を通して、アメリカという国の自由をキリスト教や良識的価値観を絡めながら描いている。
ハスラーが俗悪か?キリスト教徒の偽善か?自分達の信念に反するものを受け入れることの出来ない宗教のもつ偏見を写し出している。 ウディ・ハレンソン、コートニー・ラブ、エドワード・ノートンそれぞれの主演キャストの熱演が光っている。 題材が余りにもエピソードに富んでいて半生を描こうとするあまりに一つ一つのエピソードに浅くしか踏み込めていない。(最後の最高裁のエピソードは例外。)
しかし、最終的には芸術的高みに作品を持ち上げている。
この作品は、1人の人間の半生のドラマという枠には収まりきらない。
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