ララミーから来た男

劇場公開日:

解説

「ジェーン・エア」のウィリアム・ゲーツが1955年に製作した色彩西部劇。トマス・T・フリンの小説から「暴力団(1955)」のフィリップ・ヨーダンと「海賊船長」のフランク・バートが脚色、「遠い国」のアンソニー・マンが監督した。テクニカラー撮影は「麗しのサブリナ」のチャールズ・ラング、音楽は「長い灰色の線」のジョージ・ダニングである。主演は「裏窓」のジェームズ・スチュアートで、以下「探偵物語」のキャシー・オドネル、「赤い山」のアーサー・ケネディ、「長い灰色の線」のドナルド・クリスプ、アレックス・ニコル、アリーン・マクマホン、ウォーレス・フォードらが出演。

1955年製作/104分/アメリカ
原題または英題:The Man from Laramie
配給:コロムビア映画会社
劇場公開日:1955年3月15日

ストーリー

ワイオミング州ララミーからニュー・メキシコへ、ウィル(ジェームズ・スチュアート)という男が弟の仇を探してやって来た。弟は連発銃を持ったインディアンに殺された。彼はインディアンに連発銃を売った男を探しているのだ。町へ入った彼は、雑貨店で働くバーバラ(キャシー・オドネル)と知り合った。翌日、近くの鹹湖で塩をとっていたウィルは突然、デイヴやヴィック(アーサー・ケネディ)などバーブ牧場の連中に襲われ、とった塩や馬を焼き払われた。町に帰ったウィルはデイヴをつかまえて殴りつけた。そこへバーブ牧場の主人アレック(ドナルド・クリスプ)が来合せ、ウィルの損害を弁償すると約した。ウィルはバーブ牧場と仲の悪いハーフムーン牧場にやとわれた。翌日ウィルが牧場で働いているとデイヴやヴィック一味が彼を襲い、射ち合いになった。興奮したデイヴは山の上に行ってアパッチに合図した。アパッチを呼んでハーフムーン牧場を片付けさせるつもりなのだ。ヴィックはデイヴが荷馬車にかくした連発銃をアパッチに渡すのではないかと疑い、争ううちにデイヴを殺してしまった。荷馬車が1台足りないことに気づいたアレックはヴィックを追求してかくし場所に案内させたが、途中ヴィックに馬からつき落され、ウィルに救われた。アレックから事情を聞いたウィルはヴィックこそ探している仇ではないかと思い、彼を追って荷馬車のかくし場所に案内させた。仇はヴィックだった。ウィルは荷馬車を崖の下に落とし、折から襲って来るアパッチの前にヴィックを置いて去った。ヴィックはアパッチに殺された。ウィルはバーバラと再会を約してララミーへ帰って行った。

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映画レビュー

3.5ジャック・イーラム特集?!

2025年1月31日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

知的

難しい

 監督アンソニー・マン、主演ジェームズ・スチュワートの名コンビによる傑作西部劇。

 ワイオミング州のララミーから物資の運搬を請け負い(事実上の用心棒)、ニューメキシコ州の町コロナドにやって来た元陸軍大尉のウィル。バーバラの亡父の言葉を借りれば「欲と殺人の上に築かれた町」に君臨するのは大牧場バーブの主アレック。
 過去に手荒な手段で牧場を拡大したことを自覚し、今でも「農民や牛泥棒は追い出す」と容赦なく言い放つが、ステレオタイプの独裁者ではない。
 最愛の妻に先立たれたことを己の悪行の報いと思い込んだアレックは一家を滅ぼしにくる男の悪夢に苛まれていた。甘やかして育てた一人息子のデイブは町に着いたばかりのウィルと一悶着を起こすが、ウィルの登場にアレックは悪夢の男の影を感じ…。

 騎兵隊の斥候だった年若い弟がアパッチ族に殺された原因を辿って主人公が現れるという設定にもかかわらず、先住民を敵視した内容に描いていないのが本作の特徴。
 先住民に同情的な作品は1950年代半ば以降多く製作されるが、それ以前にも散発的ではあるものの無かったわけではない。それらの多くはあらたに渡米してきたヨーロッパの映画関係者や、ユダヤ系の人たちが製作に関わっており、本作のA・マン監督と脚本(共同)のフィリップ・ヨーダーンもユダヤ系。ヨーダーンの手掛けた作品には、『大砂塵』(1954)や『無頼の群れ』(1958)といった異色西部劇もみられる。

 子供の頃からマカロニ・ウエスタンの大ファンで、ハリウッドの西部劇映画も積極的に観るようになったのは、この十数年ほどのこと。
 それまで『グレン・ミラー物語』(1954、これもマン監督)のイメージしかなかったスチュワートは、西部劇ではけっこう荒くれた役もこなしているが、今回のウィルはひときわ血の気が多い。彼の役柄だけでなく、暴力的な演出が目立つのもこの映画の特徴。本作の製作から十年も経たずしてマカロニ・ウエスタンが誕生したのも、時代の必然だったのかも。

 当初、常識的な人物として登場する牧童頭のヴィック。実は彼こそがウィルの弟殺害の元凶で、保身と我欲に抗しきれずに闇に堕ちた揚げ句、ウィルの弟同様アパッチに惨殺される。結果的に悪い白人が先住民に成敗されるという結末を迎えるが、この場面も当時としてはかなり衝撃的。西部劇としては異色過ぎて、本作には修正主義的西部劇なんて評価も。
 弟の仇をとって町を去るウィルにはハッピーエンドだが、父親に続き恋人も失ったバーバラにとっては果たして…?!

 NHK-BSにて鑑賞。
 先々週の『夕陽に立つ保安官』(1968)、先週の『地平線から来た男』(1971)に続き、今回もジャック・イーラムが出演と、まるでJ・イーラム特集。ひょっとして次週はS・レオーネ監督の『ウエスタン』(1968)?!
 …なんてことはないみたい。

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TRINITY:The Righthanded Devil

3.5権力を持つ家族の裏切りと崩壊を描いた人間ドラマだ。

2024年11月3日
PCから投稿

復讐に燃える男と、牧場主の一家を軸に、嫉妬や恨み、親子関係の裏切りと崩壊を描いた異色の西部劇。話は全然違うが、『リア王』に通じるものを持っていると思った。

ウィルは、インディアンに連発銃で殺された弟の仇をとるため、インディアンに連発銃を売った男を探している。ウィルは、湖から塩を取っていたところを、町を牛耳るバーブ牧場の連中に襲われる。

バーブ牧場の牧場主アレックは、粗暴な息子デイヴと、親子同然に接してきたヴィックを抱えている。また、アレックには、美しい姪っ子バーバラがいる。その一方、バーブ牧場と対立する女牧場主・ケイトは、アレックの元婚約者だった。

血の通った人間関係こその苦しみや憎しみ、暴力を、深い洞察に基づいて描いた犯罪ドラマだ。西部劇というよりは、小さな町で権力を持つ一家を舞台にした、おおいに見ごたえのある人間ドラマと言える。

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瀬戸口仁

3.5J・ステュアート主演、なかなか面白い西部劇。 登場人物それぞれが曲...

2023年7月22日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

J・ステュアート主演、なかなか面白い西部劇。
登場人物それぞれが曲者揃い。一番怖いのはアパッチ(笑)
突如去っていく主人公、ラストがなんとも西部劇らしい。西部劇、苦手だったけど、最近なんだか少し面白く思えるようになってきた。どの作品も馬🐎がすごい、カッコいい。

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はむひろみ

3.0ジェームズ・スチュアート

2021年8月6日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

 広大な塩田。牧歌的な雰囲気になるのかと思ったら、いきなり乱闘だ。しかも燃やされた荷車とラバは弁償してくれるし・・・何かある!と結構ミステリアス。

 いやまぁ、手を撃ち抜かれるシーンは痛いです。しかも銃を持てなくなるし・・・デイブって奴はファザコンの上にわがままな奴ですなぁ。現代社会においても、社長の息子と血縁関係のないエリートの対立みたいな関係はありますよね。展開は違いましたが・・・

 J・スチュアートの男臭さは前半に爆発。後半はプロットの面白さだけになっていたようだ。

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kossy