柔らかい殻

劇場公開日:

解説

画家や小説家としても活躍するイギリスの鬼才フィリップ・リドリーが1990年に発表した初長編監督作。小麦畑が一面に広がる田舎町を舞台に、暴力や性、痛みに満ちた大人たちの不合理な世界と恐ろしい出来事を、幼い少年の目を通して幻想的かつ耽美的に描き、カルト的人気を誇る一作。

1950年代のアメリカ、アイダホ州。小麦畑が広がる田舎町に暮らす8歳の少年セスは、孤独なイギリス人女性ドルフィンにいたずらを仕掛けたことで母親に叱られ、謝りに行かされる。セスは、ドルフィンが語る亡き夫への愛や悲しみの話に衝撃を受け、父が読んでいた吸血鬼小説に描かれていた絵にドルフィンがそっくりだったことからも、彼女は吸血鬼なのではないかと思うようになる。ほどなくして、セスの友人のイーブンが行方不明になり、井戸の中で死体になって発見される事件が起こる。セスはドルフィンを疑うが、父に容疑がかけられ、そこから思わぬ悲劇が連鎖していく。

主人公セスの兄役で「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズで知られる以前の、キャリア初期のビゴ・モーテンセンが出演。ドルフィン役は、ローレンス・オリビエ賞受賞者で「アリス・イン・ワンダーランド」「アバウト・タイム 愛おしい時間について」などでも知られるリンゼイ・ダンカン。セスを演じたのは当時9歳のジェレミー・クーパー。2024年10月、リドリー監督自身の監修によるデジタルリマスター版でリバイバル公開。

1990年製作/93分/イギリス
原題または英題:The Reflecting Skin
配給:コピアポア・フィルム
劇場公開日:2024年10月4日

その他の公開日:1992年3月13日(日本初公開)

原則として東京で一週間以上の上映が行われた場合に掲載しています。
※映画祭での上映や一部の特集、上映・特別上映、配給会社が主体ではない上映企画等で公開されたものなど掲載されない場合もあります。

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映画レビュー

3.5名前のない記憶

2024年11月2日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

怖い

少し前にワイエスの展覧会を観たばかりなので、その風景が動きだしたように見えました。
でも、ストーリーには何も関係なく、歪んだ小屋、傾く屋根、湾曲する壁…?自分の目がおかしいのかと疑ってしまうほどのかすかな歪さがある画面。
子供のころの記憶や印象、思い込みがどれだけ不確かなものかをあらわしているのでしょうか。不自然で耳障りな音楽もわざとなのかな…?
ラストのできすぎた画面構成も、なんだかイヤ〜な後味を残し、それが意図的であるならほんとうによくできてると思います。
自分にもあり得ない辻褄のあわないような昔の記憶があります。誰もがもっている、名前のない記憶のスペースを掻き乱されるような映画でした。

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chili

4.0柔らかい殻とは

2024年10月16日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

30年ほど前の映画とは思えないほど、古びて見えない。それどころか、数年以内の映画だと言われても違和感がない。とても映像が美しい、鮮烈だった。
アンドリューワイエスの絵を見ているような美しい景色。
草原(ここでは黄金の麦畑)にポツンと立つ古びた家。
明るい太陽に青い空。これだけでも気分が晴れ晴れするだろうに、ここに住む人々の表情は沈鬱だ。乾ききった絶望感が漂う。この映像にしてこの雰囲気を醸し出せるのも、すごい。音楽のせいだろうか。
どの村人も心に思う過去がこびりついているのか、それともこの地を抜け出せない事を苦々しく思っているのだろうか。
ここでは吸血鬼、または変わり者と思われている後家になった中年女性。
しかし過去にとらわれてしまっているが、儚げな美しい女性だ。室内の誂えもセンスが良くて女性らしい丁寧な生活ぶりがにじみ出ている。
少年は、大して親に熱心な教育も受けず、過保護も受けず、時に虐待も受ける。それにも負けず、悪ガキだ。
しかし、彼も悪ガキというには美しすぎる。ほれぼれと、その瞳、艶やかな黒髪、つんとした鼻筋に見とれてしまう。
少年は無知で倫理観はない。全能感をまとって、歪んだ世界観で周囲をとらえている。物心、というやつが付いてない、という状態だろうか。
でも自分の幼いころもここまでではなくとも、自分の独自の世界観があった。
この少年は、写真で一瞬見ただけの、はるか異国の日本という国の赤ん坊には、同情や哀れみをおぼえるのに、目の前の不幸な女性には、全く残酷なんだ。
自分のせいで本当に世界を歪めてしまった、兄を悲しませてしまった、と思い知る事になって初めて、罪の意識をおぼえる。これが柔らかい殻で覆われた少年時代の終わりだったのだろうか。
あらためて、無知、無教育、という事の罪深さを考えてしまう、と、同時に
大人が当たり前と思っている道徳観や常識、知識というものに、本当は、飼いならされてしまって、引き換えに、いびつとは言え、とんでもない世界を想像、創造する力というものを失っているのではないか、ともちらっと思ってしまった。

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てらちと

3.5思考の過ち

Kさん
2024年10月9日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

麦畑が広がる田舎町で起きた悲劇の連鎖。
父親の焼身自殺に美しさを感じてしまっているセスの様子が強く印象に残りました。
幼い少年の無垢な眼差しと思い込みの思考が間違った方向へ。狂気な出来事を幻想的に映している作品。
セスにはこの先、自身の罪と共に歩む人生が待ち受けている…。

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K

4.0子供の頃の記憶とか噂話とかの、 曖昧さとか勝手さとかを映像にしたみ...

2024年10月8日
iPhoneアプリから投稿

子供の頃の記憶とか噂話とかの、
曖昧さとか勝手さとかを映像にしたみたいな作品だった

だから
お兄さんの性格が安定してなかったりとか、
所々で色々あるけど、
起承転結とか、
所々の細かいところとかは雑で仕方ない

B級前提でなかなかだった

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jung