ミラレパ

劇場公開日:

解説

中世チベットに実在した直大な宗教家、ヨギー・ミラレパの旅を、一大学生の東洋研究の旅の中に追体験として織り込んで描く。監督は「愛の嵐」(74)のリリアーナ・カヴァーニ。チベットに伝わる古典『チベットの偉大なヨギー・ミラレパ』(めるくまーる社)を基にカヴァーニとイタロ・モスカーティが脚色。撮影はアルマンド・ナンヌッツィ、音楽はダニエル・パリスが担当。出演はラヨス・バラツォヴィッツ、パオロ・ボナチェリ、マリサ・ファッブリ、マルチェッラ・ミケランジェリ、ジョージ・ウォンなど。

1973年製作/イタリア
原題または英題:Milarepa
配給:俳優座シネマテン=ケイブルホーグ・フィルム
劇場公開日:1983年11月5日

ストーリー

学生のレオ(ラヨス・バラツォヴィッツ)は、大学でベネット教授(P・ボナチェッリ)について東洋の宗教を研究している。母規(マリサ・ファッブリ)は工場で働きながらレオの将来に期待をかけていた。ある日、ベネット教授の家に出かけたレオは、東洋旅行へ出かけるという教授と妻のカリン(マルチェッラ・ミケランジェリ)に同行しないかと誘われる。翌日、決心がつかないまま、一応、パスポートと荷物を持って教授夫妻の車に同乗するレオ。しかし、途中で教授はハンドルを切りそこね、車道から空地に転落した。意識が朦朧とした中で、教授はチベットの聖者ミラレパの名を呼び、その瞬間、意識を取り戻したレオはミラレパになり代わり、ミラレパの生涯を語り始めた。-ミラレパ(ラヨス・バラツォヴィッツ)は、チベットの豪農に生まれたが、父が早死したために一家は親戚の者たちの下で奴隷のような貧しい生活に甘んじていた。母(M・フアッブリ)は、親戚たちの苛酷な仕打ちに耐えられず、復讐のためミラレパに呪術を習いに行かせた。ミラレパは呪術の師を探す旅に出て、ラマ僧と出会い黒魔術の修行をつむ。そして、遂にミラレパは黒魔術で婚礼中の伯父一家を滅ぼしさらに故郷も滅ぼした。故郷に戻ったミラレパは、悲惨な故郷の様子を見て悔い、再び修行の旅に出た。一方、ラマ僧の偉大な智者マルパ(P・ボナチェッリ)は、自分と精神的に結ばれる弟子とめぐり会う夢を見た。旅を続けるミラレパは、やがてマルパと出会うが、マルパは容易にはミラレパを弟子にしようとはしない。一年以上物乞いをしながら修行してマルパのもとへ来たミラレパに、マルパは盗賊の村を全滅させ、その後もとに戻すことを条件に出す。それを果たした彼は、次に石で円筒型の塔を作ることを命じられる。体力の限りを尺くして実現させたが、それでもまだマルパは弟子入りを許さない。遂に病いに倒れたミラレパは、マルパの妻ダメマ(M・ミケランジェリ)の看病で元気になり、マルパの法を授かることになる。入口を閉ざした洞窟にこもったミラレパは、六つの法《生命の灯、幻身、夢、光照、中間の状態、転移》を瞑想し悟った。しかし、死を甦らせる再生の法だけは知ることができず、再び旅に出るミラレパ。その旅の途中、マルパが死にかかっているという知らせを受けた。間もなくマルパは死ぬ。その時、ミラレパにマルパの声がかぶさる。「……ふり返るな……ふり返るな……」-再び現代のイタリア。ベネット教授は死んだ。レオは、一人、その場を去っていった。

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スタッフ・キャスト

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受賞歴

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映画レビュー

2.5チベットの聖者ミラレパの伝記的作品

2012年7月15日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

知的

チベットの聖者ミラレパの半生を、現代に転生したミラレパとその師という設定(?)を起点として、ドラマが展開してゆく。(偉大な聖者とその師の生まれ変わりにしてはちょっとお粗末な存在感であるという気がするが)

内容的には、監督自らの解釈が特に存在するわけでもなく、現代とミラレパの生きた時代との出来事がシンクロする表現手法以外には、一般的に伝えられているミラレパの半生を淡々と描いている。

特別、名作とも、カルト的名作とも言えるほどの作品ではないが、チベットの偉大な聖者ミラレパの伝記的作品をイタリアの有名な監督リリアナカヴァーニが製作した作品ということで、貴重な映画であると言えるかもしれない。チベット仏教に興味のある人にとっても、一度は目にしておきたい作品であるとも思える。

また、悪人正機説を体現するような(厳密には完全に悪人というわけではなく、親を思う気持ちが高じるあまりに悪業をなした、という感じではあるが)聖者がこの世に存在したことを知るという意味においても勉強になる作品。

10年以上前にダヴィングしたものを整理中に鑑賞した。現時点ではなかなか手に入りづらい作品である。DVD化もされていないようである。(鑑賞手段は選択肢がなかったのでDVDになっています)

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k.mori