密告(1943)
劇場公開日:1950年11月11日
解説
アンリ・ジョルジュ・クルーゾーがドイツ占領下で作った一作。占領軍の指令で作られたこの映画は、フランスの地方都市の腐敗を描くという初目的がゲシュタポ批判に変ってしまっているとの理由で上映を禁止された。
1943年製作/フランス
原題または英題:Le Corbeau
配給:SEF=東宝
劇場公開日:1950年11月11日
ストーリー
フランスの田舎町。公立病院のジェルマン医師(ピエール・フレネー)のところに、からすというサインのある投書が舞いこんだ。精神科の部長ヴォルゼ(ピエール・ラルケ)の妻のローラ(ミシュリーヌ・フランセイ)との火遊びを指摘した中傷の手紙であった。これをきっかけにしてからすの投書が町の人々にくばられ始めた。入院患者のひとりは“からす”にガンであることを知らされ自殺した。ローラの姉で看護婦をしている醜女のマリー(エレナ・マンソン)が疑われ、逮捕された。しかし“からす”の投書は相変らず続き、どの投書にもジェルマン中傷の文句が入っていた。マリーは釈放された。筆跡鑑定もはっきりした結果は出せなかった。愛人ドニーズ(ジネット・ルクレール)の家にいったジェルマンは「ドニーズはお前の子を妊娠した、からす」という手紙を見つけた。問いつめると彼女は自分の妊娠をジェルマンに告げるために、にせの“からす”の投書を作ったのだといった。ローラの机の中から“からす”のサインのある吸取紙が発見された。彼女は狂人と見なされ、精神病院に送られることになった。そのあとでジェルマンはあることに気づきヴォルゼの部屋を訪れると彼は自殺していた。「ローラは罰せられた。呪いはとかれた。か…」という書置があった。“からす”はヴォルゼであった。