「サスペンス部分よりも、子供との交流が見所」マーキュリー・ライジング ジョニーデブさんの映画レビュー(感想・評価)
サスペンス部分よりも、子供との交流が見所
クライムサスペンスとしての緊迫感はそれなりにあって、最後まで飽きずに見ることができたが、そもそも9歳の自閉症の子供(暗号を解読できる特殊能力があるが)が国家の機密情報システム「マーキュリー」の暗号コードの解読ができてしまうこと自体がちょっと嘘っぽい感じがする。しかも、解読されたことによってその子供を殺そうとすることも理解できない。
それよりも、両親を殺されてしまった子供への憐憫の眼差しを向けるブルース・ウィリスに感情移入すると、グッとくるものがあり、この映画の別の面の良さがわかってくる。冒頭、おとり捜査で犯人の子供が警官に殺されてしまうシーンが何度かフラッシュバックするのも、その面を強調するためだろう。最後、施設にいるその子供にブルース・ウィリスがパズルをプレゼントするが、目をそらすその子供に、「私を見て」と言ったら、彼を見てハグするシーンは感動的だ。
<気になった点>
・冒頭、自閉症の子供の両親が簡単に殺されてしまうのはかわいそうだ。父親の方は「ファーゴ」で、主人公の女警官の夫役だった人?
・最後にステイシーが車に乗っているシーンが出てくるが、ブルース・ウィリスと付き合っているということか?いまいち曖昧だ。彼女が見つめるビルが、自閉症の子供が学んでいる施設のようであるが(彼がプレゼントを渡しに行く)、そのビルに入ろうとするシーンも撮っていれば、付き合っているのがはっきりと想像できたはず。あるいは、二人がその車に乗っていて、ブルース・ウィリスが降りてくるシーンもあればよかった。映画的には彼女とのハッピーエンドより、自閉症児との交流を優先したかったのかな?
・ステイシー役の女性は、のちに「ゴーン・ガール」で女性警官役だった人ですね。現場検証時でも、常にコーヒを飲んでいたのが印象的だった。
・音楽がいいなと思っていたら(特にちょっと感傷的シーン)、あとでクレジット見たら007シリーズのジョン・バリーだった。まだこの頃も活躍していたんですね。