炎のランナーのレビュー・感想・評価
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人はなぜ、勝ちたいか。何のために走るのか。
公開当時、学生でしたが、これは凄い映画だと思ったのに、自分がいったい何に感動したのか、よくわからなかった。40年弱経たいま観ると、当時理解できなかった、この映画に込められた影の意味もわかる気がしました。
ラストシーン、そして流れるあの曲。相乗効果が生む圧倒的美しさは変わらず。素晴らしいの一言に尽きます。
NHK「いだてん」を観てたのもこんなところで役に立ちました。時代背景が重要。ファッションも興味深く、選手団のユニフォームなども楽しめる。昔はみなお洒落ですね。日の丸や日本選手団もちらと見つけました。
しかし時代はここから戦争へ向かって行く...エンドロールまで絶対に観ないと!そこまで込み、の作品だったのかと、今回よくわかりました。
二人の主人公の在り方、「陸上」という共通項を借りながら、宗教、差別、学歴、階級社会、実力主義、プロとアマの線引き、スポーツとお金、選考における裏事情、国家間のプライド、個人の信条と友愛など、考えさせられるテーマが小さなセリフとシーンに散りばめられています。
勝つ、ということの意味が、人によってこれほど変わってくるとは。学生だった私は、ユダヤ人のエイブラハムがただの勝ち組志向、エリート主義者だと、嫌な印象しかなかった。笑顔も少ないし。
でも今回は全く違うものが見えました。
ケンブリッジのお偉いさんに呼ばれ、努力を褒められるのかと思いきや、いや〜な釘の刺され方をします。The イギリスの上流階級。ユダヤ人が欧州で暗にどう思われていたか、同じくイタリア系、アラブ系も。勝ち組の彼もまた、誰よりも戦っていました。その辺の複雑な思い。セリフじゃなく、雰囲気で見せていく。
階級制度に安住しているおじ様たちが一番嫌がるのは、合理的な実力。お金払ってプロコーチをつけ、練習に励む彼に、水を指します。品格に欠ける、とか言っちゃって。やれやれ。そんなこと言うあなたたちこそ、品格があるとは、とても思えませんけど。そのくせ、勝たなきゃケンブリッジに泥塗る事になるぞ、って。ジャマおじは、どの時代、どこにでも、いるのですね。
宣教師を目指すライバルは、なにやっても、愛されキャラ。裏がない。清貧代表という感じです。神から授かった俊足。神への感謝と祝福のために走っています。だから無敵。
ユダヤ人であるエイブラハムが、なぜ勝ちにこだわったか。何に勝ちたかったのか。チャンピョンになっても、なぜ笑顔じゃないのか。彼の苦悩が見えてきました。
屈折しそうな彼の心を、恋人の理解が支えます。よかった。
このあと世界は大戦へとなだれ込んでいきます。
ラストの海辺を走るランナー達の姿。
そこには偏見や信条の違いなんてない。ただ命の躍動があるのみです。
学生の私にもそれが伝わったんでしょう。
殺し合いの代わりに、スポーツに命を賭けて戦う方が絶対にいい。オリンピックは人類の発明と言えるかもしれません。
今度の大会はコロナとの戦いにとって代わられました。やはりオリンピックができるというのは、平和の証だと思いました。
この音楽なら私なら光のランナーだよ、気持ちだけ、そうだろ
あまりに有名で観た気になっていた映画の中のひとつ。 宗教、人種問題...
個人的には名作
一般的にはあまり評価の高い作品だとは思いません、ストーリーが出来すぎ予定調和かも、衣装やセットか音楽が評判だったりしますが
・エイブラハムが主人公だと思って観れば、彼の屈折した感情がうまく描かれていて非常に魅力的な映画です。特に勝利への恐怖心、勝ったのになんだか気が弾まないところにも共感。凛とした主人公の表情にいつも見入ってしまう。
・多くの人はリデルが主人公で観ているようですが、全然共感出来ない、宗教心が無いからなんでしょうか????ばかり
※高校生時代、バンゲリスが好きで元々聴いて全米第一位を取った時に大喜びしてレコードを予約して届くのを待っていたのが良い思い出、ということもあり個人的には名作です
アカデミー賞作品賞受賞
DVD108円ゲットシリーズ。有名な感動作。 製作は約40年前、物...
3.5
感動が薄いのは、競技を中心に描いていないから
総合60点 ( ストーリー:60点|キャスト:70点|演出:75点|ビジュアル:75点|音楽:90点 )
演技・衣装・演出といった全体の質感は高い。しかしどうにものめりこめない。五輪で活躍するための努力や、そこで成果を出す感動といったものがあっさりとしている。それは競技に対する情熱や練習といったものではなくて、登場人物の人種やら背景やら生き方やら周囲の見方やらを描くことに力を入れすぎていて、本来の運動競技が持つはずの努力や達成感やらというものがおざなりになっているのだ。だから何を中心に描きたいのか主題もはっきりしないままに、五輪大会を迎えてしまった感じがする。もしかすると競技よりも、登場人物の、そして英国の品格を描くことが中心になっているのかな。
だがヴァンゲリスによる、夜明けから光が差し込んでくるかのような美しく透明感と力強さと荘厳さのある音楽に乗せて、砂浜を裸足で失踪する彼らの姿はとても素晴らしい。この映画でヴァンゲリスを初めて知った。この音楽だけで観た価値があった。
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