砲艦サンパブロのレビュー・感想・評価
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昔TV洋画劇場で見た懐かしの作品集
昔(少年期に)テレビで見た作品の中で強烈に印象に残り、その後見返していない作品の記憶がどれだけあやふやなのかを確認するために再見する個人的シリーズです。
本作は前後編と分けてテレビ放送されていましたが、非常に印象深い作品の中の1本です。
巨匠ロバート・ワイズ監督作品で当時「サウンド・オブ・ミュージック」と同時進行で撮影していたらしいですね。
主演はスティーヴ・マックィーン、キャンディス・バーゲン他、豪華俳優共演の大作で劇場の大画面でも見たかったのですが、その後劇場で見る機会に恵まれませんでした。
今回見返して凄く面白かったのですが、歴史映画でもあり今の私が見て面白いと思うのであって、当時の私は一体何に興味を惹かれて強く記憶に残っているのかはよく思い出せませんでしたね。
一瞬“世界”というものが垣間見えたのかも知れません。
今だからこそ、揚子江に浮かぶアメリカ戦艦という構図の面白さや、後半の揚子江の戦闘シーンがまるでリアル“赤壁の戦い”の様な興味深さや、ホルマン(S・マックィーン)という1等機関兵の生き方や存在感が、その後のアメリカンニューシネマに登場する主人公像へと繋がるキャラクターであったりと、今の私だから楽しめる要素が満載だったので、見返して本当に正解でしたね。
当時は何を思って見ていたのかは不明ですが、教科書には無い歴史・風景・ドラマに惹き込まれていたのでしょうね。
マックイーンの存在感
世界大戦の前の中国
不穏な動きのある中
静かに任務をこなす
米国の海軍船があった。
監督はサウンド・オブ ・ミュージックで、20世紀フォックスを倒産から救ったとまで云われたロバート・ワイズ。荒野の七人、大脱走とヒット作が続くスティーブ・マックイーンを主役に取り組んだ作品だ。それぞれ作風は違うが、作品全体を風格あるものにする監督と、静かに機敏に演じるマックイーンと、この作品ではどちらが飛び出ているという訳ではなく、ある程度絶妙な物語進行をしていると思う。
悪くいえば「飛び出ない」部分に不満を持つ人もいるはず。
それでもロバート・ワイズ監督作品であり
スティーブ・マックイーン主演の映画である。
物語の中では規律に従わないマックイーン演じる水兵だが、仲間を大切にする強い思いと、正義に対する信念は揺るがない。それが悲劇につながるのだが、同時に彼の存在感はかなり強く残る。派手な映画ではないが、水上を静かに進むサンパブロ号を見ていると、平和を脅かす何者かの存在を忘れてしまうくらい「美しい」という意識が呼び戻される。
物語に綺麗事は無い
無いから胸を打つ
友情も愛も壊れ
音が響き闇がくる
静かに去る船が切ない。
※
リチャード・アッテンボロー
彼の演技がまた良い、すごい。
※
かもめの水兵さん
スティーブン・マックイーンとキャンデス・バーゲンの代表作
ニコラス・レイの「北京の55日」に続く混乱の中国を舞台にしたハリウッド映画。満州事変の数年前の時代背景で、西洋列強の植民地争いが激しいとき。
この企画は、スペクタクル映画に活路を見出す興行目的が最優先だったと想像します。でも監督がロバート・ワイズの御蔭で社会派映画の佳作になった。
マックイーンとバーゲンが素晴らしい。「荒野の七人」や「大脱走」のアクション映画のマックイーンも颯爽とかっこいいが、男らしさに独特の寂寥感の漂う「シンシナティ・キッド」や「パピヨン」のマックイーンもいい。その中でこの作品のマックイーンが一番役柄にマッチしているのではないか。デビューしたてのバーゲンは、この時二十歳の若さながら、確かな演技力を身に付けています。鼻から顎にかけてのラインが美しい、横顔美女の第一人者。後に監督業も兼ねたリチャード・アッテンボローと日系アメリカ人俳優マコ岩松も存在感ある好演を遺して、大味になりがちな当時のハリウッド映画大作では魅力的な作品だ。歴史の真実より、人間ドラマの価値がある、好きな作品。
正しいことを行うことが幸せな結果にはならない、その虚無感が深い余韻を残します
マックイーンが主演ですが、娯楽映画ではありません
戦争映画でもありません
カタルシスも得られません
見終わった後に広がるのは暗澹たる重い気分です
しかし3時間強もの大作にもかかわらず、短く感じられるほどなのです
間違いなく名作です
マックイーンの演技力はブリッドを上回るものです
正しいことを行うことが幸せな結果にはならない、その虚無感が深い余韻を残します
主人公も、フレンチーも、艦長も、乗組員も、中国人も、宣教師も
それぞれがみんな正しいと信じることをやるのです
それがこのエンディングを迎えるのです
本作製作の時代のベトナム戦争も、湾岸戦争も、対テロ戦争も、イラク戦争も、恐らくこれからもあるであろう戦争もそうなのでしょう
永遠の生命を持つ映画であると思います
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