ブロンコ・ビリー

劇場公開日:

解説

拳銃の曲撃ちや荒馬乗りを披露する“ワイルド・ウェスト・ショー”を催すために、6人の団員と全米各地を巡業するブロンコ・ビリーの姿を描く。製作総指揮はロバート・デイリー、製作はデニス・ハッキンとニール・ドブロフスキー、製作協力はフリッツ・マーネイズ、監督は「ガントレット」のクリント・イーストウッド、脚本はデニス・ハッキン、撮影はデイヴィッド・ワース、音楽はスティーヴ・ドーフが各々担当。出演はクリント・イーストウッド、ソンドラ・ロック、ジョフリー・ルイス、スキャットマン・クロザース、シェラ・ペシャー、ダン・バディス、サム・ボトムス、ビル・マッキニーなど。日本語版監修は高瀬鎮夫。デラックスカラー、バナビジョン。1980年作品。

1980年製作/アメリカ
原題または英題:Bronco Billy
配給:ワーナー・ブラザース映画
劇場公開日:1980年8月16日

ストーリー

ブロンコ・ビリー(クリント・イーストウッド)は、“ワイルド・ウエスト・ショー”のリーダーだ。これは、西部男たちの向う見ずの荒っぽさを活劇ショーに仕立てて披露する旅まわりのショーだ。花形スターの彼の他には、司会役のドック・リンチ(スキャットマン・クロザース)、インディアン混血の中年美人ロレーン(シェラ・ペシャー)、彼女の夫でインディアン・ダンスや曲芸をこなすチーフ・ビック・イーグル(ダン・バディス)、投げ縄の名人レオナード(サム・ボトムス)、左きき2丁拳銃のル・バウ(ビル・マッキニー)、それに愛馬バスターなどがメンバーのメインだ。彼らはアメリカの中南部を巡業し、時には慈善公演もかって出るが、経済的にはいつも苦しかった。一座の移動は車で行なわれ、その日もカンサス州のジャンクション・シティに意気盛んに乗り込むと、ビリーは早速興業の許可をもらうために市の役所に出かけた。窓口で、ビリーはジョン・アーリントン(ジョフリー・ルイス)とリリー(ソンドラ・ロック)という金持ちのカップルを見かけた。彼らは結婚許可書をもらいに来ていたのだが、遺産相続のためにいやいやジョンと結婚するリリーは、欲ばりの母親をうらみつつも、はるばるニューヨークからカンサスに結婚式をあげる為に来ていたのだ。結婚式を済ませて、あるモーテルで初夜を迎えることになったリリーは、しかしどうしてもジョンに抱かれる気になれず、拒み通した。怒ったジョンは、リリーの持ちもの全てを奪い、町から姿を消してしまった。翌朝目ざめて、仰天したリリーはニューヨークの母親に連絡するために隣りのガソリン・スタンドにとびこむが、1セントのお金もない。困っているところに出くわしたのがビリーだ。彼に10セントを借りることにしたリリーは、その金を返すために、ビリーの一座に加わり危険なナイフ投げの的などの役をひきうけるはめになる。一方、ニューヨークでは、行方知れずになったリリーに、アイリンは大あわて。殺されたのかも知れないと思った彼女は、弁護士に相談した。それから間もなくジョンは警官につかまりニューヨークヘ護送されてきた。弁護士は、ジョンのところへやってきて、ある相談をもちかけた。ジョンがリリーを殺したことにすれば、アイリンに入り込んでくる遺産のうち、50万ドルは分け前としてジョンにあげるというものだった。弁護士の甘い言葉に乗ったジョンはすぐにその計画に賛成した。一方、リリーは、生れも育ちも違うビリーと何かにつけて衝突していた。しかし、時がたつうちにビリーのみんなに対するやさしさや、子供達から英雄視されている姿に少しずつ惹かれるものを感じるようになっていった。そして、ビリーが、かつて浮気をした妻を殺して投獄された過去を持っていること、それでも今は過去を忘れて、団員を家族のように愛していることをメンバーから聞き、深い感動を覚えた。ある夜、リリーは地元のカウボーイたちにつかまり暴行されそうになるが、そこへ現われたビリーやレナートに助けられる。しかし、レナートが保安官につかまり、その釈放のために、ビリーはせっかくためた貯金を悪徳保安官の前にさし出した。さらに突然の火事で残りの貯金や道具を失ったビリーは、やけになり列車強盗を計画するが、それも惨めな結果に終った。ある鉱泉サナトリュームで何とか幕をあけることが可能になった頃、リリー殺しの罪を引き受けて精神病院送りになっていたジョンがそのサナトリュームに来ていた。彼の口からアイリンらの陰謀の全てを知ったリリーは、事実を明白にするためニューヨークヘ帰っていった。リリーを失ったビリーの芸は精彩に欠け、一座のメンバーたちを心配させた。そんなある夜、アビリーンの町でショーの幕を開いたビリーは演技者入場口で衣裳をまとい艶然と微笑むリリーの姿を目にするのだった。(ワーナー・ブラサース映画配給*1時間56分)

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映画レビュー

4.0【イーストウッド監督作の中でも、コミカルで明るい雰囲気を漂わせる人間味溢れる作品。今作は正に”情けは人の為ならず”ムービーであり、観ていて気持ち良き作品でもあります。】

2025年1月9日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

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■ブロンコ・ビリー(クリント・イーストウッド)率いる旅一座“ワイルド・ウエスト・ショー”のショーマン達は、過去に様々な辛い経験をしている人ばかり。
 けれども、皆ビリーの人柄に惚れこんで、旅を共にし、芸を披露している。
 そこに現れた高飛車な美女アントアネット・リリー(ソンドラ・ロック)。彼女は父親の遺産を継ぐために愛のない結婚をジョン・アーリントン(ジェフリー・ルイス)としたのだが、そのツレナイ態度によりジョンに荷物一式を持ち逃げされ、一文無しになっていた。
 一方、ジョンもリリーの継母アイリーン・リリー(ビヴァリー・マッキンゼイ)と弁護士の入れ知恵によりリリーを殺した事にしたために、タイヘンな目に合っていた。

◆感想<Caution!内容に触れています。>

・序盤のブロンコ・ビリーの馬を走らせての曲芸や、二丁拳銃を使ってのアクションショーなど、サーカスを見ている様で楽しい。序でに毒蛇ショーを行うインディアン夫婦チーフとロレイン。(妻はインディアンではないが)チーフはショッチュウ、蛇に噛まれたりしている。

・ブロンコビリーの助手の女性がナカナカ見つからない中で現れたリリーを、助手にするシーンも最初は合わないが、徐々にタイミングが合って行くのも、二人が実は相性が良い事を示している。(そりゃ、そーだ。ソンドラ・ロックだからねえ。)

■この作品が良いのは、不遇な少年時代や最初の結婚で哀しき思いをして、牢に7年も入っていたビリーが、人間の善性を持っている所であろう。
 インディアン夫婦チーフとロレインに子供が出来た時には、皆で酒場に繰り出すし、その後、一座のレオナードが酒場で喧嘩し、脱走兵だと分かった時も、ビリーは全財産を保安官に渡し、彼を釈放させるのである。
 又、無一文になった彼らが、列車強盗をしようとするシーンも、クスクス可笑しい。イーストウッドの遊び心シーンであろう。
 彼の一座は、無償で孤児院を毎年、慰問しているし、彼らのテントが焼けてしまった時も精神病院を慰問するのである。
 そこで、ジョンと出くわすのだが、ビリーは精神病院で患者たちが作っている星条旗を使ってテントを修復するのである。

<ニューヨークに連れ戻されたリリーは、失意の余り自殺しようとするのだが、そこに掛かって来たロレインの電話。
 そして、彼女はギリギリ、“ワイルド・ウエスト・ショー”に間に合い、観客から拍手喝采を“ワイルド・ウエスト・ショー”の仲間達と共に浴びるのである。
 今作は、イーストウッド監督作の中でも、コミカルで明るい雰囲気を漂わせる人間味溢れる作品なのである。>

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NOBU

4.0ブロンコビリーと愉快な仲間たち

2023年12月20日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

楽しい

クリント・イーストウッドがウエスタン伝道師だなんて本人そのままじゃないか。
クリント・イーストウッド監督&主演の作品は、ハズレがないなぁ~。

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光陽

3.0この作品の後ではクリント・イーストウッド監督の偉業を知ることに…

2023年11月24日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

もうそんなに昔だったのかと思わされた
40年以上も前の
クリント・イーストウッド監督作品だったが、TV放映を機に初鑑賞。
画面上の若々しいイーストウッドと共に、
勢いはあるものの演出の若さも感じた。

この少し前に「クライ・マッチョ」を観て、
更にこの作品と、
そもそもがウエスタンで映画界に躍り出た
イーストウッドとしては
当然なのかも知れないが、
少しひねっていてはいるものの、
保安官との決闘や列車強盗のシーン、
ただただ彼のアイデンティティとして
盛り込みたかったのかなとの印象で、
説教臭いイメージも
ジョン・ウェインと同じで、
彼も正にカウボーイと西部劇の申し子
だったのだろうなあと感じさせられた。

しかし、脱走兵だったと判る一座の団員は
お金で釈放させたようなのだが、
その説明はなく想像するしかないし、
アントワネットの夫が精神病院の上階への
忍び込みが何故中途半端だったのかや、
一座はFBIの移送をどう逃れたのか、
お金持ちになったアントワネットは
再び銃とナイフの的になる?
等々のディテールは放りっぱなしの
メデタシ・メデタシの構成には
拍子抜けした。

目隠しをして銃やナイフで風船を割るなど、
この映画は喜劇なんだと思えば
事済む話なのかも知れないが、
「許されざる者」以降の作品のレベルには
まだまだ達していなかった印象だった。

しかし、その後の
クリント・イーストウッド監督については、
「許されざる者」
「スペース・カウボーイ」
「ミスティック・リバー」
「ミリオンダラー・ベイビー」
「父親たちの星条旗」
「グラン・トリノ」
「ジャージー・ボーイズ」
「ハドソン川の奇跡」
の8作品がキネマ旬報で第1位に選出され、
内、2作品がアカデミー作品賞受賞
という偉業を知ることになる。

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KENZO一級建築士事務所

5.0ブロンコビリー

2023年11月4日
iPhoneアプリから投稿

ベタなストーリーで典型的なハッピーエンドのアメリカ映画、だけど楽しめました。サンドラが美しかった。

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alextm