「不断のサービス精神」フライングハイ odeonzaさんの映画レビュー(感想・評価)
不断のサービス精神
ジム・エイブラハムズ&ザッカー兄弟:通称ZAZの脚本・監督とくれば笑いを取ることに全力投球、30秒に一回は何かしら仕込まれているから真面目に観ると脳がやられるのでご注意を・・。
彼らの偉いところは四六時中ギャグを考え、早期試写で学生に見せて笑いの薄かったギャグは惜しみなくカットして撮りなおす真摯さでしょう、とはいっても日本で受けるかは別物ですが・・。
彼らにしてみればストーリーは笑いを盛るための皿のようなものだからあまり拘らない、大体が話題作のパロディ、本作も「Zero Hour!(1957・日本未公開)」の権利をわずか2500ドルで仕入れて使っている。俳優陣も拘りがあって主役は地味で脇が凄い、端役で使うことあるがコメディだからと言ってコメディアンに頼ることはしない、笑いのツボはギャップ、真面目な人のドジにあると徹している。神髄はご本人登場でのパロディ、本作でもバスケのカリーム・アブドゥル・ジャバーやエセル・マーマンがでています、飛行機パニック映画では欠かせないジョージ・ケネディを使いたかったのだがユニバーサルが許さなかったらしい。
パロディは多すぎて全部は分からないが冒頭から飛行機の尾翼をヒレに見立ててジョーズのテーマ、いきなり馬鹿々々しさにやられました、インド映画顔負けのダンスシーン、サタディーナイト・フィーバーもかっこよかった(原曲を10%早回しなのでビージーズからクレームがついたらしい)、古典の「地上より永遠に」の浜辺のシーンなど年配の映画フアンへのくすぐりも忘れていない。
ジェット機なのにプロペラ機のような音だったり、酒を浴びるように飲むとは言うが本当に浴びてどうする、煙草を嫌悪する老婦人がコカイン吸引とはブラックすぎる、しなびたビニール人形の空気入れが股間からと言う下ネタとかギャグの大半は酷いのだがこれだけ乱発されると時には当たるからたまらない。いつもながらザッカー兄弟の不断のサービス精神には頭が下がります。