ブエノスアイレスのレビュー・感想・評価
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やり直そう、と彼は言った
ウォン・カーウァイ監督作品。
ウィンは「やり直そう」という。彼は魅力的だ。凄くアプローチをしてくれる。愛してくれているとも感じれる。だけど彼には配慮はない。愛は容易に暴力になり得る。病気で寝込んでいるファイに、料理を作れなんて言う始末だ。それでも二人は付かず離れず共にいる。束の間のダンス。倒錯した愛。
ブエノスアイレスの物語は、香港の出来事とも表裏一体だ。それは反転させた香港の情景が映し出されることで示唆的である。
中国本土は「やり直そう」という。彼は魅力的だ。経済的に成長しているし、男らしい。凄くアプローチしてくれる。愛してくれているとも感じている。だけど彼には配慮がない。愛は容易に暴力になり得る。一つになった時、香港の自由は奪われる。要求は激しくなる。そんな不安がありながら、中国本土と香港は付かず離れず共にいる。束の間のダンス。倒錯した自由。
フェイは一人旅をしているチャンと知り合う。彼らの愛ももちろん時限つきだ。だけど彼との愛は、ウィンとの愛とは違う。性愛ではなく、友愛と言えばよいのだろうか。
チャンは調理場の掃除をするように、フェイを気遣い、フェイもまたチャンを思いやる。対等で尊厳に満ちた愛なのである。
しかしその愛は記憶されない。フェイの愛のメッセージが記録されないように。
チャンは世界の果てに行ってしまう。だけど彼はいつでも香港に戻ってこれる。それは香港との関係を断ち切れないことも意味する。フェイとチャンがダンスをすることはあるのだろうか。あり得ると信じたい。イグアスの滝でひとり待っている。激しく水は穴へ落ちていて、美しい。
トニー・レオンとレスリー・チャンの美しさ
トニー・レオンとレスリー・チャンのカップルが、関係修復のために香港を離れて、ブエノスアイレスへと旅だち、そこで延々と付かず離れずな関係を続けるという話なのだが、2人の美しさと、クリストファー・ドイルの撮影の見事さもあって、ぐいぐい引っ張られる。ウォン・カーウァイ監督の台本を使わない即興芝居の作り方も『恋する惑星』や『天使の涙』とくらべても洗練されている。
2017年アカデミー作品賞の『ムーンライト』で、主人公が想い人に再会に行くシーンで使われている曲は、本作からの引用だ。他にも似た構図のショットがいくつか発見できるのだが、たくさんの印象的なショットをたくさん見つけることができる。
イグアスの瀧を上空から捉えた長回しのショットは美しさで嘆息する。このショットのようなマジック・リアリズム的な映像と即興による自然な芝居が合わさって、まるでリアルな夢を観ているようなそんな気分になれる作品だ。
ホモの痴話喧嘩
好きだから憎いし、憎いほど愛しいんだよなあ。
愛は見返りを求めだしたら濁るというか、そういう意味では飲食バイトの後輩の彼の方がよっぽど純粋な愛をくれたのかもしれないし。
良い作品だと思う。「恋する惑星」よりも好き。そもそも論、こういう話が好き。友達は隣で寝てた。
中国系作品
初っ端から男のセックスシーンがあり吐き気がした。リアリティ感を出すためなんでしょうが、気持ち悪いのでやめてほしい。映画の雰囲気的に小汚い感はあんまりないのですが、どうみても小汚い空間ばかりでてきます。映画タイトル的に欧米の作品とおもったんですが、中国系の作品です。
1997年劇場公開時鑑賞。
ウォン・カーウァイとクリストファー・ドイルを追っかけてた頃。ドイルは手持ちカメラで追っかけていくのが好きだったからはっきりしているのだけれど、カーウァイの何が好きだったのかは、いまだにうまく言語化できない。
ラブシーンにもまだ狼狽えてたなあ。
良い《ウォン.カ-ウァイ監督ワールド😍素敵な映像と音楽》
観て良かった→4
映像・音楽 →5
テンポ →4
ストーリー →4
心に残る →4
茶々の独り言‥⤵︎
やっと映画館でブエノスアイレスを観れた。
ウォン・カーウァイ監督を知ってまだ1年半。
ぺーぺーだけど、監督の作品は映画館で見てこそ
良さが倍増するのはわかっていたのでビデオを我慢してやっと観る事が出来てシネマート心斎橋に感謝。
情欲的な映画は苦手だが、監督の映画は別物である。
素晴らしい映像と音楽は後から後から残像として
脳裏にも感覚にも心にも残る。
ただ(おまけの独り言⤵︎)
いろんな描写やタバコシーンはメチャ素敵だけど
どうしても白いブリーフ姿はどうも好きになれない(^^;)
監督の他の映画の白ブリーフ姿を見てどうしても
「オヨヨ!」となる茶々なのでした(≧∇≦)/
扇町キネマで 結構満員 ゲイカップルらしき二人連れがいたこの映画を...
扇町キネマで 結構満員 ゲイカップルらしき二人連れがいたこの映画を恋人同士でみてどうするのかとも思う。
冒頭当たりで激しいセックスシーンがあった。それ以降は思ったより絡みは少ない。ほぼケンカシーン。嫉妬からくるものだと思えばそれもラブシーンに含まれるかもしれないがキュンキュンすることがなかった。どっちが攻めか考えていたがやはりトニー・レオン(ファイ)がそうだ。セックスも彼が挿入していたし。レスリー・チャン(ウィン)は挑発的ないわゆる誘い受けだ。私が嫌いなカップルパターン。心情的に入り込みにくいから。でも彼らに関しては特別にハマっていた。ファイはウィンとでなければモテるだろうと脳内設定。攻めはやはりいい男でいてもらわなくては。いい男が振り回されているというパターン。そのパターンもウィンが男でないと嫌。女だったら全く共感できなくなってしまう。だからこのカップルは奇跡的に上手いこと許される設定なのである。
二人のタンゴシーンが一心同体溶け合っているかのようで残る。いわずもがなアストル・ピアソラ(バンドネオン)曲素晴らしく男女二人のタンゴシーン出色。この曲は気持ちいい。
ウィンが寝ている間は思う存分愛情表現できるのだが普段は嫌な面の見せ合い正反対の
本性を出しお互い譲り合う気配もなく衝突し合う ファイは友人とは穏やかな時を一緒に過ごせるいい意味で普通の男なのだが ゲイカップルの喧嘩は激しい大変だと思った物を投げる怒鳴るわめくとにかく暴力的だ 私も暴力的になったことがある自分の過去を悔いるその気持ちが少し軽くなった
二人の男優のそれぞれの違った魅力の競演 ウォンカーウェイ監督はゲイなのだろうか トニー・レオンにいちず+誠実+やはり制服がよく似合う+ゲイの立ち役 レスリー・チャンはまるで素顔の彼そのままであるかのような華やかなゲイ
音楽が素晴らしい
会いたいとさえ思えば、いつでもどこでも会うことができる
王家衛とトニーレオンの相性は最高やし、王家衛とレスリーチャンの相性もまた最高なので、この映画は本当に好き。奇跡の一本。
大昔に一度観たときに終わり方がよくわからなくて、久しぶりに観直したが、やっぱりよくわからない。ただ「会いたいとさえ思えば、いつでもどこでも会うことができる」という台詞が本当に好き。孤独を感じない術を得たファイは強いし、きっと未来は明るい。対してウィンの未来は…
王家衛の映画は、気怠い雰囲気でダラダラ進む中でのちょっとした瞬間の演出が細かいので、ちゃんと集中してないと見逃しがち。モノクロからカラーに切り替わるタイミングが2人がまた一緒になった時だったり、寝顔を見つめてるつもりが見つめられていたり。
まるで人生そのものみたいに、かけがえのない瞬間がふいに訪れるので、一つ一つのシーンが愛おしくなる。
レスリーチャンの、女豹みたいに挑発してきたかと思えば子猫みたいにじゃれついてくる魔性の男っぷりがたまらないわ。こんなん、トニーレオンじゃなくてもパスポート隠すわ。
ウィンはファイのこと利用してるように見えて実は心の支えにしているし、ファイはウィンを手放したくないように見えて意外とすぐ切り替えられる。一緒にいると幸せだけれど、どうしてもすれ違ってしまうのが悲しい。2人が一緒にいる瞬間の幸せは、現実にしてしまうとうまくいかなくなる。会いたくなったときに相手のことを思い出して、一緒にいた頃の幸せを思い出すが正解なのかも。
観たかった度◎鑑賞後の満足度◎ パスポートは返さず仕舞い?『浮雲』香港版兼ゲイ版か?でも男女の“愛”と男同士の“愛”とは似て非なるものの様にも思えた。何より映像美と紛れもなく「映画」であることに酔う。
①ウォン・カーウェイ監督作品、初体験。いや~、“映画”ですわ。
②中国語原題が『』『』
愛しのブリーフ
色もののビキニやトランクスでなく、今どき小学生でも着用しないであろう、純白のブリーフ! んー、まぶしいぜ! ブリーフ姿が絡み合うところは、いやらしさが全然なく、逆に神々しさを感じたよ。いいもの見させていただきました。あざーす。
ストーリーはあってないようなもので、映像美を楽しむ映画。イグアスの滝を上空からとらえる画は、すごかった。でっけえ。人間なんて小せえ。
あと音楽がしゃれてる。タンゴもいいし、ボサノバかな、「トーク・トゥ・ハー」、「ムーンライト」に続き、3度目に聴いた、「ククルククパロマ」。おおーこの曲また来たよ、と思い、タイトルを知りたくなって検索してしまった。愛する女に死なれて悲しむ男が、鳩になって鳴くとかいう歌詞らしい。パロマは鳩、ククルククが鳩の鳴き声。語感はかわいいが、なかなかウェッティ。歌詞の内容から言うと、「トーク・トゥ・ハー」の使われ方は合っているかも。しかも御本人が映画に出演しているし。「ムーンライト」は「ブエノスアイレス」へのオマージュ。そういうのが調べてようやくわかった。エンディングの曲も、妙に能天気だけど良かった。
レスリー・チャンを誰かに似てる…と思いながら見てて、終わり頃にわかった。決してそっくりではないし、角度しだいだと思うが、中村倫也に似てる。
BS松竹東急の放送を録画で鑑賞。
トニー・レオンとレスリー・チャン
二人の男(トニー・レオンとレスリー・チャン)はアルゼンチンで愛し合っていたが、いつも喧嘩別れしていた。
傷ついたレスリーがトニーのアパートに転がり込んでくる。
相変わらずの二人で、それぞれが男遊びをし、・・・。
イグアスの滝の空撮映像は素晴らしい。
最高!
レスリーチャンは永遠に手に入らない魔性の女。手に入れたと思っても、手のひらをすり抜けてどこかへ行ってしまう“旅人”。
移り気で、一人にすると周りの男も放っておかないから心配で仕方ない。
無償の愛を求める乳児のようなわがままも、全部丸ごと惚れているから仕方ない。
トニーレオンはしっかり働き、部屋を整え、料理が上手い“生活者”。旅人ではない。
怪我をしたレスリーチャンを甲斐甲斐しく世話を焼く。幸せで充実した日々だけど、レスリーチャンは怪我か治ればまたどこかへ行ってしまう。
今度こそ、こんな関係にケリを付けるぞ、簡単に体は許さない!って強がってる時点で全然終わってないよね。
言葉を使わず身体で会話をしているような感覚がもたらされるタンゴ。相手の手を取りリードしたり、背中の手に誘惑されたり。人生はタンゴを一曲を踊るようなものかもしれない。
愛しているけど、一緒にいると自分が前に進めないやるせなさ。バイト先のチャンチェンには電話の声でわかっていた。
世界の果てで苦しいものを捨ててきてあげますよ。トニーレオンの無言の声が震える。
世間知らずの旅人が、自由に飛び回るパスポートを奪われると、果たしてどうなるのか。あっけなく命を落としそうな危うさに、堪らなく想像力を掻き立てられる。
冒頭のトニーレオンの唾液、体を拭く洗面器の汚れた水、屠殺場の血、イグアスの滝。液体が効果的に使われていたためか、私は百人一首の一首を思い出した。
“瀬をはやみ岩にせかるる滝川のわれても末に逢はむとぞ思ふ”
90年代に凄い
酔っている様な独特なカメラワークと共に、自分も彷徨っている感覚がありました。「何処か遠くに行ってしまいたい」という絶望と希望が美しく描かれています。今よりLGBTやBLなどがフツーではない90年代に、凄い作品。特にレスリーチャンが魅力的です。
(韓国映画「チャンシルさんには福が多いね」に出て来る白いパンツを穿いた「香港スターの幽霊」はこれだったのか?)
アルゼンチン ゲイ イグアスの滝
ゲイのカップルがアルゼンチンにて…
僕はゲイじゃないので感情移入できなかった。
差別するワケじゃないです。
ごめんなさい。
アルゼンチンの景色と監督らしい映像美が、印象的で美しい作品です。
ほんとに憎いわウォンカーウァイ
どんだけセンスいいんだよ
ただの愛憎の話なのに、
ここまで惹きつけられちゃうのはなんなんだろうね
撮り方なのかな
あの陰から覗く様なカメラアングルが
覗き見してる気分にさせてるのか
にしてもウィンくん可愛過ぎましたな
あれは夢中になってしまうわ
あと香港とアルゼンチンってどんな関係性にあたるのか
まさにブエノスアイレス。
WKW特集4K版にて鑑賞。実は初めてのWKW作品。
すれ違ってばかりのゲイカップルのファイとウィン。関係修復のためイグアスの滝目指して車で旅に出るが途中でケンカ別れしてしまう。その後ブエノスアイレスで運命の再開を果たすが、いやはや…。モノクロからカラーへの切り替わりが二人の心情とリンクしていてお見事。何よりトニー・レオンとレスリー・チャンが美し過ぎる。タンゴを踊るシーンは必見です。今でこそ当たり前ですけどこの題材を97年に、しかもアジア映画ですからね。すごい挑戦ですよね。
ドローンもない時代に撮影されたイグアスの滝の俯瞰映像の迫力と壮大さと何故か感じる儚さ。レコーダーから聞こえる涙の音。その全てが捨て去られてゆく。新しい旅立ちは故郷から。全体通してとても美しかった。
イグアスの滝は、先住民グアラニ族の言葉で「大いなる水」という意味。...
イグアスの滝は、先住民グアラニ族の言葉で「大いなる水」という意味。だけど、別名は「悪魔の喉笛」。
イグアスの滝は、ふたりのあいだで、愛や性の喜びが迸る象徴であり、理想像、でもある。まさに、大いなる水、なのだ、
しかし、大喧嘩をして、イグアスの滝にふたりで辿り着くことはできないし、いつもすれ違ってしまう。部屋にあるのは、イグアスの滝がデザインされたランプ。ふたりのあいだにあるのは、本物のイグアスの滝ではなく、光で照らし出されるイメージ(幻影)でしかないことが暗示される。まるで、悪魔がふたりを惑わせてるのではないか、というくらい、2人の関係はうまくいかない、
圧倒的なイグアスの滝とは真逆の性質を持つ、澱んだ川で、ファイがボートで当てもなく漂うシーンがある。それも苦悩に満ちた表情で。
そして、ファイは旅の最後にひとりでイグアスの滝に行くのだけれど、ウィンがこの場に一緒にいないことに虚しさを感じるだけだった。
愛や性の喜びはふたりのあいだでは実現されない、
台湾にかえったファイは、旅先で親しくなったチャンの実家を見つけて、会いたければ会える、と希望を見出す。最後はモノレールに乗って、夜の街の灯りに照らされて、再出発が暗示される。だけれど、あんなに、耳が良くて、人の声をきくだけで、その人の感情がわかると言っていたチャンは、録音されたファイの声を「機械が壊れてしまっていたのかもしれない」「泣き声のような音」しか聞こえなかったと、彼の悲しみを理解することが、できない。悲しいすれ違いは、ここでも再生産されてしまう、
パスポートを奪われたままのウィンはどうするのだろう、出国もできず、ブエノスアイレスを漂うことしかできない、
メモ✏️
・「ここにウィンがいないことが悲しかった
と」
・「ウィンのやり直そうがこわい」
4Kレストア版(シネマート新宿は2K)
クラシカルサウンドにて鑑賞
大自然の力と恋の魔力
大自然と恋の魔力には勝てない。自分の力ではもうどうすることもできないのだ。
ファンもウィンも愛し合っているからこそ、うまくいかない、素直になれない…。
香港とアルゼンチン、地球の真逆の場所で真逆の性格の2人の心がすれ違う…。
傷ついたウィンを介抱するファン、きっと幸せな日々だったんだろうね。
揺れたり、スローになったり、一瞬止まったりするカメラワークが登場人物たちの心情を表していた。
ファンが住んでいた海の近くの部屋が素敵だった(ノミだらけのベッドやソファはリアリティあって気持ちの良いものではないけれど)。
色調、揺れるカーテン、美味しそうな料理…、画がとにかく美しく、ずっと眺めていたいくらい。
空から撮ったイグアスの滝は絶景だった。死ぬまでに行きたい場所の一つだ。最南端の岬も素敵だった。
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